BtoB企業にも欠かせない生活者とのコミュニケーション ── インタビュー( I )
もっと知りたくなる新聞広告で
ステークホルダーと価値を共有
三菱ケミカルホールディングス
- ◆ 機能商品、素材、ヘルスケアの3分野で事業展開する総合化学メーカー
- ◆ 独自コンセプトを掲げ、共有価値としてコミュニケーション
- ◆ 信頼性が高いのが新聞広告の決め手
以前は一般向けの意識が弱かった
株式会社三菱ケミカルホールディングス
広報・IRグループマネジャー
清水 治 氏
三菱ケミカルホールディングス(MCHC)は、炭素繊維やリチウムイオン電池材料などの機能商品、自動車などに使われる樹脂原料といった素材、そして医薬品や健康支援サービスなどのヘルスケアの3分野で多彩な事業を展開しています。MCHCの設立は2005年で、今年4月に傘下の化学系3社を「三菱ケミカル」として統合し、田辺三菱製薬、生命科学インスティテュート、大陽日酸と合わせ計4事業会社体制で運営しています。
グループ内では化学製品、医薬品、ヘルスケアソリューション、産業ガスなど約2万種の製品を扱っており、BtoBのビジネスが中心となります。そのため、以前は製品・サービスを通じて個々の事業でお取引のある方々に認知いただくことで満足し、広く一般の方々に弊社の姿や取り組みを知っていただこうという意識が希薄だったかもしれません。
独自コンセプト「KAITEKI」をベースにコミュニケーションを開始
そんな中、2010年の中期経営計画発表時に、「KAITEKI」という独自のコンセプトを掲げました。「時を越え、世代を超え、人と社会、そして地球の心地よさが続く状態」を意味しており、事業活動を通じ、持続可能な発展のための共有価値として「KAITEKI」を社会に拡げていくことを指向しています。漢字の「快適」でなく、あえてアルファベットで「KAITEKI」と表現したのは、単に人間が心地よいということではなく、社会や地球との共存を含む新しいコンセプトとしてグローバルに浸透させていきたいという思いがあるからです。
こうした弊社の姿勢を広く知ってもらうために、2010年以降は「KAITEKI」をベースに新聞広告を毎年出しています。出稿するマス媒体を検討する中で新聞は他のメディアと比較して信頼性が高いことが決め手となりました。
弊社の事業はさまざまな産業分野と関わりがありますが、素材や部材等が多く、最終製品はほとんどないため、事業内容がわかりづらい。そのため、まず広告で興味をもってもらい、後で調べてもらえるような引っ掛かりのある内容にしたかった。印象に残って共感してもらえる広告が理想です。
2017年3月2日 朝刊
新聞広告のクリエイティブでは典型的な化学の
イメージにとどまらないものを心がけている
2013年の広告は大きなカエルで多彩な事業を紹介、2014年は江戸時代の生活が「KAITEKI」を実現するためのヒントとなるという浮世絵風のクリエイティブで展開した。
2014年11月19日 朝刊
2013年11月7日 朝刊
広告によって、目指すべき方向性を共有
広告をはじめとする様々な活動を通じて、就職活動の学生なども含め、一般の人の認知度は徐々に高まっています。それに加え、「KAITEKI」というコンセプトを社内に周知させることにも役立ちました。「新聞に広告が出ていた」ということをきっかけに、多種多様な事業に取り組む社員の士気が高まり、企業として目指すべき方向性を共有する一助となりました。
そうしたこともあって新聞広告はポスターにして国内主要拠点および海外グループ会社に配布しています。海外へ配布するポスターは英語や中国語に翻訳しています。特に浮世絵風の広告は海外で好評で、追加配布の要望が数多く寄せられたほどです。
弊社の場合、広告は社全体のあり方を伝える広報的な要素が強いわけです。多くの人に信頼されている新聞というメディアも活用しながら広告展開をしていくと思います。
アジアと日本でテレビCMを展開
重要な海外市場として位置づけているアジア向けに2012年からテレビCMも放映している。シンガポールやタイ、マレーシアなどで企業の知名度を高めるのが目的だ。アジアで「Mitsubishi」という名前は知られているが、「三菱ケミカルホールディングス」の知名度向上が必須だという。日本では2013年から一部BSで放送。年に1回、新作CMを制作している。
「Like a cat」篇 2016年11月
「Moves the worid」篇 2015年11月