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STORYストーリー

社長交代の節目に新聞広告で企業メッセージを発信
コーポレートコミュニケーションに読売新聞を使う理由

ブラザー工業は6月26日、池田和史氏が代表取締役社長に就任したことを機に、企業としてのメッセージを伝える新聞広告を掲載した。創業から116年を迎え、ミシンからプリンター、工作機械、産業用印刷機器などさまざまな製品を手掛け、積極的なグローバル展開も推し進めてきた同社。

――これからも、At your side.

広告に掲載されたコーポレートメッセージからも誠実さがうかがえるが、多角的な事業経営をしているからこそ国や地域、年代によってブランドイメージが異なることに課題感を抱えていたという。

そのような課題解決のために新聞広告を選択した理由とは。

(左)主幹 岩田 俊夫 氏 (右)チーム・マネジャー 伝宝 敏晃 氏

ブラザー工業株式会社
CSR&コミュニケーション部ブランド推進チーム
(左)主幹 岩田 俊夫 氏 (右)チーム・マネジャー 伝宝 敏晃 氏

国や地域によって違うブラザーのブランドイメージ

――ブラザーは、ミシンやプリンターを製造している会社というイメージがあります。

伝宝氏:売り上げの6割はインクジェットプリンター、レーザープリンター、ラベルプリンターなどのいわゆる情報機器です。自動車や一般機械向けの部品加工に使われる工作機械やコーディング・マーキング機器など産業用領域の製品にも力を入れています。

岩田 俊夫 氏

岩田氏:ラベルプリンターは食品表示や物流用のラベルなどを印字する際に使われます。コーディング・マーキング機器は、例えばペットボトルや食品の包装などに賞味期限やロット番号などを印字する機械のことです。それから、自動車部品の加工には工作機械が使われています。食品表示ラベルや賞味期限の印字まで考えると、実はブラザー製品が関わっているものを日常生活で目にすることは多いと思いますね。創業時から扱っている家庭用ミシンも高いシェアを保有しています。

――海外での動きはどうでしょうか。

岩田氏:実は、2023年度の売り上げの約85.8%が海外です。当社は早くから海外へ進出しており、1954年にはニューヨークに販売会社を設立しています。現在40以上の国と地域に拠点がありますが、地域によって主力製品が違います。

――国によってブラザー工業に対して持たれているイメージが違うということですか。

伝宝氏:そうなんです。日本では売上比率の高いプリンターだけでなく歴史の長いミシンのイメージも強いです。欧米では歴史的にタイプライターのブラザーというイメージもあり、情報通信機器のイメージが強いと思います。同じ情報通信機器でもBtoCかBtoBなのかや販売方法などは国や地域ごとに異なっています。国や地域によってブランドイメージが違うというのは、私たちの課題でもあります。

新社長が登場した新聞広告の狙い

2024年6月26日付 全国版朝刊

2024年6月26日付 全国版朝刊

――6月26日に掲載された新聞広告の狙いはなんでしょうか。

伝宝氏:広告掲載日前日の6月25日、池田和史が代表取締役社長に就任しました。新社長就任をきっかけに広くステークホルダーの皆さまに日頃の感謝とブラザー工業の企業姿勢や品質へのこだわり、さまざまな事業を展開していることを、新社長の写真と各事業の製品と共に伝えることが狙いでした。

――キャッチフレーズは「これからも、At your side.」でした。

伝宝氏:“At your side.” はブラザーのコーポレートメッセージで、今回のキャッチフレーズにはブラザーのビジョンにもある「多様な独自技術とグローバルネットワークを強みに」「世界中の“あなた”の生産性と創造性をすぐそばで支え、社会の発展と地球の未来に貢献する」という企業としての姿勢を今後も続けていきたいという気持ちが込められています。この思いを皆さんに知っていただくことが、今回の広告の一番の目的でした。ブラザー工業は国や地域によってブランドイメージが違うことが課題だと言いましたが、お客様の年代によっても変わってきます。国内では50代、60代の方はミシンや編み機、20代、30代の方はプリンター。さらに、工作機械や産業用印刷機器などのBtoB製品は、一般のお客様にはなじみがありません。BtoC、BtoBの両面で暮らしを支えるさまざまな事業を展開していると言うのが、今回の新聞広告で伝えたかったことです。

――“At your side. ”の精神というのは?

岩田氏:ブラザー工業は世界40以上の国と地域でグローバルに事業を展開していますが、創業以来真摯にモノづくりを行い、家庭的な風土の会社です。派手さはありませんが、お客様にきちんと向き合って、使う方のお役に立てるような商品を作ってきました。ですから、今回の広告も奇をてらわずに、当社の誠実さが伝わるものにしたいと思ったのです。

――その広告を読売新聞に掲載された理由というのはなんですか。

岩田氏:新聞は情報を能動的に獲得しにいく読者が多い媒体ですので、今回のようなコーポレートメッセージを伝え、理解してもらうために最適な媒体だと思っています。その中で読売新聞を選んだ理由としては、発行部数が最も多く読者が全国にいることです。今回の広告は、ビジネスマンだけでなく、もっともっと幅広い皆さんに伝えたいという意図がありました。

伝宝氏:より多くの方に見ていただくことで、当社の従業員がお取引先様とお会いした時に「新社長が新聞に出ていましたね」という話の種になりますし、従業員と家族の間にも、「この製品は自分が関わっているんだ」といった会話が生まれると思います。

伝宝 敏晃 氏

――広告の反響はどうだったのでしょうか。

伝宝氏:掲載後、社内外から多くの「広告を見たよ」という声をいただきました。また、J-MONITOR調査の結果を見ると、想像以上に良い反応が多かったです。広告の平均広告接触率も首都圏82.5%、近畿圏88.0%、中京圏84.1%と高スコアでした(下図参照)。フリーアンサーでは、具体的な商品を紹介した広告ではないにも関わらず、製品に言及している方が多い印象です。また、広告に社長が登場したことに意見を述べている方もかなりいました。これらのフリーアンサーをAI分析したところ、ポジティブな意見が7割、ネガティブな意見が2割、ニュートラルな意見が1割という結果でした。その中には「芸能人ではなく、社長自らが会社を語ることが広告本来の姿だ」という意見もあり、当初狙った通りの広告効果があったと思っています。

<J-MONITORの主な結果>

今回のJ-MONITORでは首都圏、近畿圏、中京圏の3地区で調査し、結果を比較している。

① 広告接触率

広告接触率(「確かに見た」+「見たような気がする」)は、同業種(家電・精密・事務機器【全体】、2001年4月1日~2024年3月31日掲載/首都圏)の平均が81.7%であるのに対し 、首都圏82.5%、近畿圏88.0%、中京圏84.1%と、いずれも上回った。

広告の平均接触率

② 広告商品の購入・検討意向

広告商品の購入・検討意向は、企業広告であるにもかかわらず、同業種の平均(41.1%)に対し、首都圏48.3%、近畿圏54.3%、ブラザー工業の本社がある中京圏は67.1%と特に高かった。

広告商品の購入・検討意向

③ 改めて「ブラザー工業」に注目した

広告を見て「改めて「ブラザー工業」に注目した」割合も高かった。同業種の平均が31.9%であるのに対し、 首都圏45.0%、近畿圏45.7%、中京圏60.3%と、いずれも大きく上回った。

改めて「ブラザー工業」に注目した

フリーアンサーより一部抜粋

  • 扱っている製品を見ることでどんな会社か分かりやすくいいと思う。社長自ら出ているのも好感がもてる(男性・29歳以下、中京圏)
  • 伝統のある企業というイメージだったが、昔ながらのことを続けているだけでなく、未来に向かって改革していく企業姿勢を感じて応援してみたくなった。(男性・50代、首都圏)
  • ミシンで親しみのある会社なので、好感度がアップした。青色が製品の高度を表している気がする。(女性・60代、近畿圏)

新聞広告共通調査プラットフォーム J-MONITOR 調査概要

▶ 調査地域:首都圏、中京圏、近畿圏  ▶ 調査対象者:読売新聞を朝夕刊セットで定期購読する15~69歳の男女個人(中京圏は朝刊定期購読)  ▶ 調査実施日:2024年6月27日  ▶ 調査方法:パソコン・スマートフォン等を利用したウェブ調査。  ▶ 調査実施機関・レターヘッド:株式会社ビデオリサーチ

オフィシャルな情報を伝えるメディア

――今後、コーポレートコミュニケーションはどのように進めていく考えでしょうか。

伝宝氏:ブラザー工業は歴史があり、さまざまな事業を展開しているため、当社と関わりのある方それぞれで当社に対するイメージが異なります。それを一つにまとめていくには、“At your side. ”という メッセージに込められているお客様第一の精神と共に現在の事業内容を紹介していくことが必要だと思っています。

岩田氏:国内だけでも世代によってブランドイメージに違いがあります。特に課題と感じている若年層のタッチポイントを意識したコミュニケーションも今後は必要になってくると思います。

――コーポレートコミュニケーションにとって、新聞はどういうメディアなのでしょうか。

岩田氏:今はさまざまなメディアがありますが、情報の信頼性を高く伝える力が強いのは、多くの記者と読者を抱えている新聞だと思っています。ライトなコミュニケーションであれば、SNSなどでもよいかもしれません。しかし、企業のメッセージを深く伝える場ではない。ライトなメディアの受け手はオフィシャルなメッセージを受け取るような姿勢でメディアと接していないからです。逆に新聞を通してなら、企業のメッセージを正面から受け取ってもらえます。

伝宝氏:「ブラザーのミシンは知っていたが、この広告でブラザーがさまざまな事業をやっていることを知った」という年配の方がいらっしゃいました。読売新聞を使った今回の広告で、ビジネス層だけではない多くの人たちに「これからも、At your side.」というメッセージを伝えられたのではないかと思っています。

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