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STORYストーリー

新聞広告がSNSで広がっていく ── 紙拡散「よみバズ」の力 ── インタビュー(II)

「名探偵コナン」 新聞広告で事件仕立てにして爆発的拡散

小学館

  • ◆ 新聞広告で「2億冊事件の容疑者になれる」ことを告知
  • ◆ 合わせて「PR号外」配布で大きな反響
  • ◆ ファンもファン以外も盛り上がることができる

PR施策を“事件”というニュースにするには新聞広告だと思いました

株式会社 小学館
マーケティング局 コミックSP室
宣伝グループ 主任

内山 雄太

コミックス累計2億冊突破キャンペーン

小学館の看板雑誌「週刊少年サンデー」で20年以上、トップの人気を誇る『名探偵コナン』は、弊社にとってなくてはならないコンテンツ。そのコミックスの累計発行部数が2億冊を超えるタイミングで、キャンペーンを行うことにしました。

「2億冊突破」と言えば聞こえはいいですが、その実、手前みそな話でしかありません。弊社からファンの皆さんへ「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えるだけでなく、ファンの方はもちろん、漫画を読んだことはないけれど『名探偵コナン』は知っているくらいの方々も一緒に盛り上がることができる企画を念頭に、今年初めから企画を検討してきました。

企画のベースとなる仕掛けとして、名探偵コナン風の似顔絵が作れるwebサービス「コナン顔メーカー」がまず決まりました。名探偵コナンファンなら、原作に載れば絶対にうれしいはず。そこで、作者の青山剛昌さんにもご協力いただき、このwebサービスで自分の似顔絵を作成・応募し、当選すると「容疑者」として物語に登場できるというキャンペーンを組み立てたのです。ただ、これだけでは世の中に広がらない。デジタルなものを、いかにリアルに体験させるか。それには新聞広告だと思いました。

2017年4月26日 朝刊

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読売新聞全国朝刊の全面広告の顔の中に主要登場人物が隠れていることも話題に

容疑者応募のための「コナン顔メーカー」は広告掲載後2日間で100万ユーザーに達した。

コナン顔メーカー

SNS拡散後の「出口」メディアとしての新聞

2014年5月8日 朝刊一面記事

今回の「2億冊事件」キャンペーン。口にすると「3億円事件」と言い間違えるんですよね(笑)。つまり、すぐに連想されてしまうわけです。そこで、「3億円事件」のモンタージュ写真から企画を膨らませていきました。だだし、小学館として伝える「2億冊事件」は、ニュースというよりPRです。そこで、本当の事件のように新聞に大きな見出しを打ち、号外を発行することで、実際の事件のように演出をしました。このアイデア、実は読売新聞さんのお陰で思いついたのです(笑)。3年前、女性ファッション誌「プレシャス」創刊10周年の時に、宣伝担当として「空中ファッションショー」というPRイベントを東京・銀座で企画したことがあります。その様子が読売新聞の一面に掲載されたのです。PRイベントが一つのニュース、事件になった。「これはすごいな」と。新聞の潜在能力を知るきっかけになりました。

その経験から「2億冊事件が大事件だとしたら、号外が出るよね」と発想し、全面広告の掲載に合わせてPR号外を出すことを思いついたのです。事件として号外を配布するのですから、『名探偵コナン』のファンがいそうな所ではなく、不特定多数の方が集まる場所(渋谷、原宿、汐留)で配ったのですが、反響は狙った以上でした。この効果もあって、最終的にキャンペーン全体のSNS上でのリーチが7000万を超えました(集計期間:4月26日〜5月20日)。最初、その数字にぴんとこなくて、「それって、すごいの?」と周りの人に聞くと、「日本の人口の半分以上ですよ」と言われ、「それはすごいわ」と。思わずガッツポーズが出ましたね(笑)。

ところがツイッターの反応を見ていると『名探偵コナン』のファンの方、本当にPR号外を手に入れたい方のところに届いていないということがわかりました。そうした方々の希望に応えるために、『サンデーS増刊10月号』では読売新聞のPR号外を付録にすることにしました。

SNSが普及し、おもしろい事象があれば写真を撮る文化が生まれました。さらに、それを見るだけで満足できなくて、実際にモノを欲しがる人も出てきました。これまで新聞は、情報を入手する「入口」メディアとして捉えていましたが、今回を振り返ると、SNS拡散後に、多くの人が欲した「出口」メディアとなったのが発見でした。仕掛けた私としては、あまりの反響の大きさに、やり方次第でもっと『名探偵コナン』のことを知ってもらえるのでは、もっと好きになってもらえるのではと、目を見開かされた思いです。

あまりの反響の大きさで
『サンデーS増刊10月号』でPR号外を付録に

PR号外を手に入れたいというファンの要望に応えた。作者の青山剛昌さんや小学館が“ファンに感謝の気持ちを還元したい”という気持ちから実現に至った。PR号外の付録というかつてない企画で、SNS上でもさらに拡散された。“2億冊事件”は、まだまだ終わらない。

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