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STORYストーリー

紙面を通じて読者の「おいしい記憶」を引き出す
キッコーマンのこだわり詰まった企業広告

キッコーマンは2008年にコーポレートスローガン「おいしい記憶をつくりたい。」を制定してから、新聞広告を中心にコーポレートブランディングのPR(企業広告)を展開してきた。今年の3月に掲載された二連版の新聞広告にはクリエイティブを飾る千代紙の絵柄を切り取った手芸作品が送られてくるという嬉しい反響が見られた。

2024年3月22日付 全国朝刊

2024年3月22日付 全国朝刊

黒川 博子 氏

キッコーマン
経営企画室 コーポレートブランド担当マネジャー
黒川 博子 氏

――キッコーマンではコーポレートスローガン「おいしい記憶をつくりたい。」のもと、さまざまなコミュニケーション活動に取り組まれていますね。

黒川氏:「おいしい記憶をつくりたい。」は、2005年からグループを挙げて取り組んだ食育プロジェクトのスローガンとして策定したものです。「何を食べるか」だけでなく「誰と、どんな気持ちで食べるか」も大切にしたこのメッセージは、お客さま・社員の共感を得て、2008年にコーポレートスローガンになりました。「おいしい記憶」は、食にまつわる体験を通じて積み重ねられます。地球上のより多くの人がしあわせな記憶を積み重ね、豊かな人生をおくれるようお手伝いをしていきたい、という想いをこめています。

読者から広告紙面で作った手芸作品が届く

――今回の新聞出稿について、その狙いやターゲットを教えてください。

黒川氏:コーポレートスローガン「おいしい記憶をつくりたい。」への想いを多くの方と共有することを目的に出稿いたしました。食を通じた人と人とのつながり、よろこび、しあわせが感じられる紙面を表現し、ご覧になった方にご自身の「おいしい記憶」を想起いただいて、あたたかく、しあわせな気持ちになっていただきたい、そして、明日ヘ一歩踏み出すことを応援したい、という願いを込めています。

――色彩豊かなクリエイティブと、産休中の妻を支える夫の口調でつづったストーリー性のあるコピーが印象的でした。

黒川氏:華やかな紋や柄の豊かな和紙でつくられた、色とりどりの「千代紙」の世界を、季節の食材をつかった和の食の彩り、料理をするよろこびと重ねて描きました。色鮮やかな世界を、料理で楽しみ、伝えながら、おいしい記憶がひろがっていく。そのよろこびを、すべての人に届けたい。そんな想いを、「多様性」という言葉に込めて表現しました。

――読者から広告紙面を使った作品が届いたと聞きました。

黒川氏:読売新聞で広告をご覧になったお客さまから、当社の「お客様相談センター」に、紙製の靴の手芸作品が届きました。広告で使われている千代紙の絵柄やキッコーマンの商品写真が細かく使用された作品です。靴メーカーでデザインの仕事を長年手掛けてきたという読者の方が「広告がきれいだったので形にして残したい」と製作してくださったそうです。

キッコーマン本社に届いた作品

キッコーマン本社に届いた作品

この手芸作品のほかにも、広告を活用した折り紙の作品が複数届きました。また、広告の感想も多数いただいていて、「美しくすてきな広告」「あざやかな色彩で思わず歓声を上げた」などの感想も当社宛てにたくさん寄せられました。コピーも共感を呼び、「写真も言葉も優しくてあたたかく心が潤う」という声もありました。出稿した新聞広告に共感いただき、お客さまがかわいらしい姿に変えてお届けしてくださることや想いを発信してくださることは大変うれしい反響でした。

――これまでの広告にも同じような反響があったのでしょうか。

黒川氏:これまで広告を見たお客さまの声が寄せられることはあっても、広告紙面を使った作品が送られてきたのは初めてでした。千代紙というモチーフが、こうした反響を生んだ要因の一つだと思います。毎回J-MONITORで広告を見た読者の反応を確認していますが、今回のようなリアルな反響は、数値で表す広告効果とは違う感激がありますね。

「おいしい記憶」を共有するしあわせ

――昨年の「おいしい記憶をつくりたい。」の新聞広告は、貴社の協賛で開催している「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください。」コンテストの第1回入賞作品のエピソードが題材でした。

2023年3月25日付 全国版朝刊

2023年3月25日付 全国版朝刊

黒川氏:毎年「おいしい記憶をつくりたい。」をテーマにした新聞広告を制作していますが、「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください。」コンテストには、食にまつわる思い出が詰まったエッセーが集まるため、広告制作のヒントになっています。広告の制作ディレクターも、「おいしい記憶」は、その人その人の生き方や体験と深く結びついており、自分たちでは思い浮かばない世界があるとおっしゃっています。

――応募作品の映像化にも取り組まれているそうですね。

黒川 博子 氏

黒川氏:「おいしい記憶きかせてください」という番組を、毎月第3土曜日にBSフジで放映しています。エッセーコンテストへの応募作品をもとに、調査員と記憶さん(エッセー作者)が忘れられない思い出の味を再現することによって、新たな「おいしい記憶」が生まれる瞬間を描く映像番組です。MCはタレントの藤井隆さん、進行はフリーアナウンサーの吉竹史さんで、同時にキッコーマン特設サイトYouTubeでも公開しています。エッセーコンテストに寄せられた心あたたまる本当の「おいしい記憶」が、笑いや感動を呼び、多くの方にご視聴いただいています。食の記憶には人生そのものの記憶を思い起こさせる力がある、といったご意見も頂戴しています。

――今後の広告施策として取り組んでいきたいことをお聞かせください。

黒川氏:「おいしい記憶をつくりたい。」というコーポレートスローガンを、消費者の実体験に基づくエッセーや映像を交えながら発信し続けることで、私たちの想いを、お客さまと共有し続けたいと考えています。また、商品やレシピなどの提供と併せて「想い」を共有することでも、食でお客さまのしあわせに貢献することにつなげていきたいと考えています。

【「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください。」コンテスト】とは?

2010年3月14日付 全国朝刊
「あなたの『おいしい記憶』をおしえてください。」コンテスト 初回開催時の広告

食にまつわる思い出やエピソードを通して、食材や人とのつながりや喜びを再発見し、笑顔と活力を得てこころゆたかになってもらうことを目的に、2010年にスタートした読売新聞、中央公論新社主催、キッコーマン協賛のエッセーコンテスト。今年で15回目の開催となる。第7回からは小学生の部を設け、2023年は全体の3割弱を小学生からの応募が占める。一般の部は10代が最多で、次が70代と、各年代から幅広く応募があるのも特色。審査は直木賞作家の山本一力氏、オレンジページ取締役の姜明子氏、料理研究家の牧野直子氏らが行い、キッコーマン賞、読売新聞社賞、優秀賞など18作品が選出される。累計応募総数は2023年までで6万3千通を超える。

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