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ブランドメッセージは「水の先をつくれ。」
社員にも、一般の方にも、想像してもらいたい“挑戦の決意”

水ing(スイング)が水の日の8月1日、新聞を使ったブランドメッセージ広告を出稿した。浄水場や下水処理場、民間施設などの設計・建設から維持管理まで全国の水のインフラを担う同社。維持管理事務所は全国約300か所あり、全国に散らばる4,000人余りの社員を未来に向けて一つの方向にまとめるのが、今回の新聞広告の大きな狙いであるという。社内の組織風土改革を推進するプロジェクトに取り組むお二人に話を聞いた。

水ing 株式会社 企画開発本部 グループ戦略推進室 室長 石上 尚人 氏、管理本部 総務統括部 広報部 松本 好未 氏

水ing 株式会社
企画開発本部 グループ戦略推進室 室長 石上 尚人 氏
管理本部 総務統括部 広報部 松本 好未 氏

2025年8月1日「水の日」朝刊掲載

2025年8月1日「水の日」朝刊掲載

インナーブランディングを企図した新聞広告

――水ingの事業について、改めて教えてください。

石上氏 生活や産業に必要となる飲み水などをろ過、消毒などの技術を用いてきれいにする浄水場の建設や維持管理、そして市民生活や企業活動で使用して汚れた水を適正に浄化して環境保全をはかる下水処理場の建設や維持管理などを、全国で展開しています。水ingは1977年、荏原製作所の水処理部門を母体として設立された会社で、約100年前に国産初の急速ろ過装置を開発しています。また、高度成長時代の1976年にはし尿、汚水から窒素やリンを取り除く技術を開発しましたが、その技術を独占せず、業界に広く公開共有しました。水ingグループは現在、北海道から沖縄まで全国で300か所以上の維持管理事務所を持ち、設計や建設、営業、コーポレート部門まで含め、さまざまな場所で、異なる特性を持ち、多様な働き方をする社員がグループ全体で4,110人(2025年4月現在)います。

※水ingグループは、オペレーション事業を行う「水ingAM」、設計建設とメンテナンスを行う「水ingエンジニアリング」、グループ全体の経営計画やIT化を行う「水ing」の3社で構成されている。また「水ing」は、三菱商事、日揮、荏原製作所の資本参加を得て、2011年に社名をそれまでの「荏原エンジニアリングサービス」から現在の「水ing」に変更している。

――8月1日の「水の日」に、新聞全ページ広告(15段広告)を出稿しました。ねらいについてお聞かせください。

石上氏 今回の新聞広告は、水ingグループのインナーブランディングを企図したものです。水ingはBtoC企業ではないため、これまで一般消費者向けの広告の必要性をあまり感じてきませんでした。今回、初めて新聞本紙に15段広告を出稿したのは、一般消費者に「水ing(スイング)」という社名を知ってもらう狙いもありますが、グループの社員への発信が大きな目的でした。全国で水インフラを支える社員たちに「自分たちの会社はこれからどんな未来を目指しているのか」というビジョンを示し、取引先や関係者、ひいては社員の家族などからの評価や反響を社内に還元することで、一体感を高めたいと考えました。そしてその先に、当社に共感を持って働きたいと志望する人材の獲得にもつなげられると良いと考えています。

石上 尚人 氏

水ingグループは中期経営計画で、2023年に共通の価値観「水ingバリュー」を策定し、「さあ続けよう、地域の未来のために。」をキーワードにした新しい時代を切り拓くヒトとカルチャーづくりを進めています。持続的な成長を目指す中で、この価値観をさらに企業文化に根付かせるために掲げたのが、今回の新聞広告で伝えたかったブランドメッセージ「水の先をつくれ。」です。社員一人ひとりが地域の課題に向き合い、未来をつくっていく。その決意と誇りを込め、生活に欠かせない水を支えてきた歴史の延長線上に新たな挑戦への決意を示すものとして掲載したのが、8月1日「水の日」の新聞広告です。

水ingグループの企業理念体系

水ingグループの企業理念体系

「日々の安全・安心な生活」を支えていることを社員に再認識してもらう

――「水の先をつくれ。」というメッセージに込められた思いはどんなものでしょうか。

非常用膜ろ過装置

避難所に設置されたポータブル水再生システム「WOTA BOX(ウォータボックス)」は断水状況下でのシャワー浴を可能にする

石上氏 水インフラを担う水ingには、日常的な水の管理・運営だけでなく、災害復旧支援という大きな責任があります。2024年の能登半島地震では、発生当日に従事者の安否確認、翌日から被害調査と支援を開始しました。地震の影響により断水していた七尾市内の能登島小学校には「非常用膜ろ過装置」を設置し、2か月間生活用水を供給しています。また、避難所にはシャワー浴が可能な水再生システムを、投資先企業と協力し導入しています。近年多発する豪雨災害でも、受託先の自治体や企業と連携し、必要な場合は近隣拠点の応援を得て早期復旧に努めることが多くなっています。

こうした有事には社会的使命を強く意識しますが、私たちの役割はそれだけに限りません。日々の活動の中で、人々の安全・安心な生活を支えていることにも使命感を持って仕事に取り組んでいます。そうした気持ちを、社外への発信を通して再認識できることが社員のモチベーションにもつながると考えています。「水の先をつくれ。」には、未来という時間軸の意味だけではなく、普段はあたり前のように受け止められている水インフラの安全・安心、安定的な供給にも思いをめぐらし、今後も社会に貢献し続けるという決意を込めています。

――新聞広告のパステル調のノスタルジックなイラストも印象的でした。

石上氏 今後のリクルーティング活動やそれぞれの地域で働く若い社員のモチベーション、帰属意識についても考えると、未来への希望を感じさせ、人の気持ちを明るくさせるようなイラストがいいなという考えがありました。そこで、『誰かがみた風景』をコンセプトにさまざまな街を描き、若い世代にも人気を得ているSaigetsuさんのイラストを起用しました。Saigetsuさんのイラストは、ブランドメッセージと合わせ、今後の広告でもさまざまに展開していく予定です。

読売中高生新聞 2025年9月5日号

読売中高生新聞 2025年9月5日号

――今回のブランドメッセージ宣言は、読売中高生新聞と題字横にも出稿していますね。

松本氏 読売中高生新聞(毎週金曜日発行)には将来のリクルーティングも見据えて、継続的に出稿してきました。こちらも8月1日の「水の日」に合わせて掲載し、以降はブランドメッセージと新しいビジュアルへ刷新しています。

また、朝刊の一面題字横広告については、当社がBtoC企業ではないため一般的な知名度が高くないことから、これまでは「水ing」の社名ロゴによる認知向上を目的に出稿を続けてきました。こちらもブランドメッセージ「水の先をつくれ。」を組み込んだデザインへと変更しています。

今回の新聞本紙の全ページ広告で当社が伝えたいブランドメッセージと世界観を明確化できたことで、今後、一貫性のある情報発信をするための基盤が整ったと考えています。

2025年9月10日朝刊一面 題字横

2025年9月10日朝刊一面 題字横

多様な社内にあって、社員共通の価値観を浸透させるために

――社内外での反応、反響はいかがでしたか。

石上氏 広告出稿後に社内アンケートを実施しましたが、好意的なコメントが多数寄せられました。「新人社員の時の初心を思い出させてもらった」「家族と勤め先について話をするようになった」「今の仕事への誇りとこれからの拡がりに期待を感じた」「自分たちの仕事が日々の生活に直結していることを再認識した」など多くの社員の感情を揺さぶることができたと感じています。

J-MONITOR(新聞広告共通調査プラットフォーム)の結果を見ても、興味度や好感度が平均値を上回る結果で、ポジティブな印象を与えることができていたようです。とりわけ、「広告の印象」という部分で、「共感できる」、「センスが良い」、「タイミングが良い」などの項目で一定の効果を確認出来ました。

――今後のビジョンやパーパスについてお聞かせください。

松本氏 今回の新聞広告で打ち出したブランドメッセージと世界観を基盤に、メディアの力やクリエイティブの力を活かしながら、社内のエンゲージメント向上とともに採用にもつなげていくことが大きな課題だと考えています。具体的なプロモーション展開はこれからになりますが、今後は動画やWebコンテンツなど、さまざまな媒体を通じてアプローチを広げていければと思っています。

石上氏 水ingグループには、全国300か所の管理事務所、7つの支店、開発拠点1カ所に4,000人を超える社員がいて、働く年代や地域、職種もさまざま、価値観や働き方に多様性があります。こうした違いを尊重しながら、社員一人ひとりがやりがいを感じ、同じ目標に向かって進んでいけるような環境づくりが、今後の成長に向けた重要なテーマだと考えています。今回の新聞広告は増し刷りしてもらい、全国の維持管理事務所や支店、開発拠点にも配布しました。これもグループをまとめるための良い試みの一つになったと思っています。今後は、それぞれの社員が業務で(あるいは生まれ育った)縁のあるさまざまな地域で、水を通じた社会貢献をし続けられるよう、「さあ続けよう、地域の未来のために」という社員共通の価値観を浸透させて、2050年を目標年に掲げる“水ing 流街づくり”の実現に向けてー丸となって進んでいきたいと思います。

石上 尚人 氏

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