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万博で触れる“未来”を、次の「あたりまえ」へ
関西電力が「55年の時を超えてつながる」新聞広告を掲載

関西電力は、大阪・関西万博開催中の8月25日、読売新聞および朝日新聞の2紙(いずれも大阪本社版)に、「万博におけるゼロカーボン社会実現への挑戦」をテーマとした広告を掲載した。読売では2025年大阪・関西万博、朝日では1970年大阪万博を楽しむ家族の姿をイラストで表現。2紙を並べると、一つの家族が55年の時を超えてタイムスリップしたかのような構図となっている。広告の狙いや背景について、同社広報室メディア広報グループの福岡直也課長と上野沙耶さんに話を聞いた。

(左)関西電力 広報室メディア広報グループ 課長 福岡 直也 氏、(右)関西電力 広報室メディア広報グループ 上野 沙耶 氏

(左)関西電力 広報室メディア広報グループ 課長 福岡 直也 氏
(右)関西電力 広報室メディア広報グループ 上野 沙耶 氏

変わらない関西電力の使命を、イラストの対比で伝える

――今回の企業広告は、「万博」が舞台になっていますね

福岡 直也 氏

福岡氏:当社は、大阪・関西万博に、太陽光発電、水力発電、原子力発電および水素発電を組み合わせたゼロカーボン電力の供給や、EVバス停の建築など、様々な形で携わっています。万博が日々盛り上がりを見せ、関連情報があふれかえる中で、広報としてはいかに当社の取り組みを埋没させずPRするか、ということが一つの課題でした。そこで思いついたのが、過去も未来も万博に対して挑戦的なアプローチを行っている当社の姿勢を発信するということです。70年万博会場へは原子力、今回は水素と、いずれも新たな技術による電力の供給という、チャレンジングな取り組みをしています。これは、当社だけの強みではないかと思い、「万博におけるゼロカーボン社会実現への挑戦」というテーマに至りました。

2025年8月25日朝刊(大阪本社版)

2025年8月25日朝刊(読売新聞 大阪本社版)
2025年 大阪・関西万博をイメージした広告ビジュアル

――広告で伝えたかったメッセージやターゲットを教えてください

上野 沙耶 氏

上野氏:70年万博の時も今回も、電力の安定供給という当社の取り組みは変わっていません。その変わらない使命のために変わり続けていくという思いと、未来を叶えるエネルギーで人々の暮らしを支え続けたいというメッセージを、ぶれずに届けたいと思いました。当時を知る方にとっては懐かしく、一方でその時に生まれていなかった方には、今回の広告をフックに当社に興味を持ってもらえたらと思っており、幅広い年齢層に訴えることを考えていました。

1970年開催の大阪万博をイメージしたビジュアル

1970年開催の大阪万博をイメージしたビジュアル(朝日新聞に掲載)

――新聞1ページを大胆に使ったイラストが印象的ですね

上野氏:思いをストレートに伝えるのではなく、自然に共感していただけることを大切にしました。「原子力」や「水素」だけを前面に出すのではなく、あくまで万博会場や、訪れた人にフォーカスし、かつ、2紙どちらか一方だけを見ても完結できるようコピーも工夫しました。1970年と2025年ということで、イラストレーターの方もそれぞれ別の方にお願いし、字体や色みも変えるなど、雰囲気を伝えられるようこだわりました。

福岡氏:当社が伝えたいことを広告にしようとすると、発電所や設備の写真など、どうしてもお客さまになじみのないものになりがちです。イラストだと、表現の方法が自由になりますし、対比もすごく分かりやすくできました。電気が届いた結果、万博会場や家族が温かく照らされているという光景が、柔らかく表現できています。

2紙のビジュアルを並べると一つの家族が55年の時を超えてタイムスリップしたかのような構図となっている

2紙のビジュアルを並べると一つの家族が55年の時を超えてタイムスリップしたかのような構図となっている

信頼度の高い新聞をきっかけにSNSで話題が広がる

――広告媒体に新聞を選ばれた理由を教えてください

福岡氏:万博の入場者数の増加が見込まれる8月に、複数のメディアを通したプロモーションを考えていました。媒体はいくつもありますが、いずれも単独ではリーチが限定的になる。その中で、新聞は社会的な信頼度が高く、一度に何百万の世帯に届くうえ、手元に残るという紙媒体ならではの魅力があります。しかも、今回は2つの新聞に同時に掲載されるという話題性が、注目を集めるのではと考えました。信頼度の高い新聞を起点として、SNSで情報が拡散されていくことを狙い、今回の掲載となりました。

上野氏:実際、新聞掲載後にSNSなどで大きな反響をいただきました。2つの新聞を並べると1つのイラストになるという企画に興味を持っていただいた方、気づいていただいた方の声をXなどで拾い、手応えを感じているところです。

――新聞のほかには、どのような展開をされましたか?

上野氏:JR大阪駅中央口にある柱に、新聞と同じイラストを2枚並べる形で、広告掲載日の8月25日から31日まで掲出しました。デジタルサイネージでイラストが光るため、非常に目立ち、紙の媒体とはまた違った雰囲気で、これもまたSNSで話題となりました。今回のクリエイティブ展開は、交通広告と新聞広告、これに付随してウェブで話題化されるという取り組みで、オールターゲットに対してのアプローチができたのではと思います。

「あたりまえ」が次の「あたりまえ」を創るための挑戦

万博会場内(大阪市)の未来社会をイメージしたバス停

万博会場内(大阪市)の未来社会をイメージしたバス停

――万博で実施している未来の暮らしを支える新技術の取り組みについて、教えてください

福岡氏:関西電力は今年から、姫路第二発電所(兵庫県姫路市)で、燃料である天然ガスに水素を体積比で最大30%混ぜて発電する「水素混焼発電」の実証試験を実施しており、ここで発電した電力の一部を、大阪・関西万博の会場に供給しています。水素は燃焼時にCO2を排出しないため、ゼロカーボン社会の実現に向けて大きな役割を果たすエネルギー資源として期待されています。社会課題であるCO2排出量削減を実現するクリーンな電気の供給は、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に合致するものだと考えています。

上野氏:水素混焼発電による電力供給以外にも、会場内で走るEVバスの停留所3か所への協賛も行っています。EVバスの一部は、道路に埋め込まれた機器の上を通過することで充電される「走行中給電システム」を採用していますが、その仕組みがわかるように一部の停留所では、模型やデジタルサイネージ、トリックアートなどを活用して新技術の理解につなげるよう工夫しています。

――万博での取り組みが、今後どのような形で社会に実装されるか、展望を教えてください

福岡氏:当社の企業理念は、「『あたりまえ』を守り、創る」です。70年万博では〝夢のエネルギー″と呼ばれた原子力が、55年の時を経て、今では日々の電気をお届けする重要な役割を担っているように、水素混焼発電も、今は実証段階ですが、いずれ未来の「あたりまえ」になるかもしれません。日本が、どうしても資源を輸入に頼らざるを得ない中で、エネルギーの選択肢が一つ増えるということは非常に意義のあることだと思います。新しい技術が「あたりまえ」になり、次の「あたりまえ」を創る、という思いで実装に向けて取り組んでいければと考えています。

上野 沙耶 氏、福岡 直也 氏

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