「日本ぐっすりプロジェクト」始動!
春の健康睡眠週間に「日本ぐっすり新聞」掲載
「世界で一番寝ていない国」とも言われる日本(※)。慢性的な寝不足や不眠に悩む人も少なくない。そのような状況を踏まえて、眠りを通じて世の中を元気にしようという「日本ぐっすりプロジェクト」を、博報堂と読売新聞が立ち上げた。プロジェクトの第一弾として春の健康睡眠期間中の3月21日に、「日本ぐっすり新聞」と銘打った企画広告を掲載した。
企画を担当した博報堂のクリエイター 鈴木翔氏と、協賛社の1社 薬王製薬の市川奈都子氏に話を聞いた。
※OECD(経済協力開発機構)加盟33カ国を対象にした2021年の調査で、加盟国中最下位


2025年3月21日朝刊(全国)
ぐっすり眠る子どもの布団が、記事広告スペースになっている。男の子バージョンと女の子バージョンがあり、掲載エリアによって原稿を切り替えた。

博報堂 関西支社
マーケットデザインビジネス推進局 総合プランニング部
アクティベーションディレクター 鈴木 翔 氏
※所属・肩書は取材時
健康と深く関わる「睡眠」がテーマ
――今回、「日本ぐっすりプロジェクト」を立ち上げた経緯を教えてください。
鈴木氏:博報堂関西支社と読売新聞大阪本社とで互いに企画出しをする中で出てきたテーマのひとつに「睡眠」がありました。ミーティングでの議論の盛り上がりや世の中の関心の高さなどを鑑みて決定しました。
――これまでにも、「睡眠」に関する仕事に携わったことはあるのでしょうか?
鈴木氏:初めてです。ただ、健康をテーマにした案件は何度か担当したことがあり、その都度、健康と睡眠は密接に関わっていると感じていました。また、スリープテックについて見聞きする機会もあったので、その技術を広く知ってもらえるような仕事にも興味がありました。
――ところで、ご自身はぐっすり眠れていますか?
鈴木氏:子どもが生まれてからは早寝早起きで生活リズムが落ち着き、特に眠りに関して悩みはありません(笑) ただ、遅い時間まで寝ずに仕事をしてパフォーマンスが落ちるような経験もしているので、睡眠の大切さは身をもって感じています。
読者に安心感をもたらす「かわいさ」と親しみやすいレイアウト
――「日本ぐっすり新聞」は、どのように実施に至ったのですか?
鈴木氏:当初はアイデアフラッシュでさまざまな案を出していました。たとえば、スマホで夜更かししてしまう人のための「スマホ封印新聞広告」や、折りたたんでアイマスクになる「顔かぶせ新聞広告」などの個性的な広告や、音楽を聞いて眠るためのコンサートといったイベントなど、手段も方向性もさまざまです。最終的には新聞の企画広告に落ち着きましたが、こういったアイデアがあったからこそ実施できたと思っています。
――一般的な記事広告と比べると、とてもかわいらしいですし、レイアウトも変わっていますね。
鈴木氏:「かわいさ」やいい意味での「驚き」といった、引っ掛かりを作るよう心掛けました。睡眠で深刻に悩んでいる人は少なくありません。その人たちに情報を伝えるにあたり、説教臭くなったり堅苦しくなったりせず、紙面をみて安心してもらいたいと考えたとき、自然と子どもが布団で寝ているデザインに行きつきました。
結果的に「上が記事広告、下が純広告」といった領域が区切られたレイアウトと比べ、情報が分断されず、子どものイラストが目に入ったその流れで記事広告部分も読んでもらえたように思います。
プロジェクトの広がりで「眠り」への意識を変える
――プロジェクトを立ち上げてみての気づきや感想はありますか?
鈴木氏:まずは1回目を立ち上げられたことがうれしいですね。ここを皮切りに多くの人に関心を持ってもらい、プロジェクトを大きくして次のステップに進みたいと思います。
また、今回、はじめて新聞社の人と一緒に企画を進めたのですが、アイデアや対応が柔軟で、楽しく仕事ができました。媒体同様に信頼感がありながらも、新しいことにも積極的な印象を受けました。

――今後、このプロジェクトでどのようなことに取り組みたいですか?
鈴木氏:リアルなイベントを実現したいですね。コンサートに限らず、実際に眠ることができるイベントを形にしたいです。広がりを持てるテーマなので、メディアや商品の垣根を越えて、輪を広げていきたいです。人のためになる、見た人にとってプラスになる仕事を残していきたいと常々思っていますが、「睡眠」はそれが叶えられるテーマです。
もちろん引き続き新聞も活用したいです。役に立ったり、共感されたりする情報を発信したときに広がっていく感覚は、SNSとは違うマスメディア独特のものがありますし、生活者からの前向きな意見や反響も感じやすいです。
さまざまな展開で実績を重ねて、眠りに対する世の中の意識を変えていきたいですね。
取締役企画開発部部長 市川 奈都子 氏
創業130年超ではじめての新聞広告
――はじめに、貴社について教えてください。
市川氏:薬王製薬は、明治20年(1887年)に奈良で創業した製薬会社です。配置薬の製造からスタートしましたが、社会の変化に合わせ、現在は市販薬を中心に展開しています。奈良の地で培ってきた漢方薬の知見と西洋薬とを組み合わせた、独自の製品開発に強みを持っています。最近ではインバウンドの方にも、お買い求めいただく機会が増えています。
――今回の広告掲載商品は、どのようなものでしょうか?
市川氏:一時的な不眠を改善する「スリーピン」、漢方薬の抑肝散が神経の他ぶりや緊張感を抑えて眠りやすくする「スリーピンα」、歯ぎしりを改善する「薬王 抑肝散エキス錠」の3商品です。
――これまで、どのような広告やプロモーションをされていたのですか?
市川氏:実はほとんど行ってきませんでした。業界紙への出稿や、ごく限られた路線での交通広告のみで、多くの方に向けた情報発信は今回の「日本ぐっすり新聞」がはじめてです。
――はじめての全国展開には、どのような経緯があったのですか。
市川氏:読売新聞の営業さんから提案を受けたのがきっかけです。はじめてのことなので不安もあったのですが、社の代表が前向きに検討し決定しました。年代が上がるほど睡眠に悩んでいる方も多くなるため、新聞の読者層と合っていること、また、お薬なので信頼感のあるメディアで伝えたいということがベースにありました。そのうえで、「日本ぐっすり新聞」では眠りを改善するために複数の方法やアイテムを紹介し、その一つとして我々のお薬も「選択肢として知ってもらう」という点に共感したというのも大きいです。
――実際に広告を掲載してみて、いかがでしょうか。
市川氏:薬局に新聞紙面を持ってお見えになった方もおられたと聞き、うれしく思っています。また、弊社の営業もお取引先に持参し、「読売新聞に載っているのであれば...」と検討していただく一助にもなっているようです。BtoBでの影響も実感しています。
不眠解消の選択肢として、生活者の身近にありたい
――今回の広告をきっかけにした、今後の展望はありますか。
市川氏:頻繁に広告を実施するのは難しいですが、やはり何かしら発信していかないと商品認知は広がらないという思いはあります。今回、「日本ぐっすり新聞」はとてもかわいらしく、内容的にも読みやすいものでした。眠れないときの身近な存在として、弊社のお薬も選択肢に加えてもらいたいと考えていますので、今後もこのような柔らかいアウトプットには興味があります。
――最後に「日本ぐっすりプロジェクト」に期待することをお聞かせください。
市川氏:睡眠に悩まれている方は老若男女問わず多く、その原因や影響も人それぞれです。対策や解決策も一つではないですので、これからもお薬はじめ、多様な選択肢を発信していってほしいですね。