「360度VRコンテンツ」で大和奈良の歴史と地理を知る
~王寺町の明神山からタイムスリップ 世界遺産トラベル~
聖徳太子のゆかりの地、奈良県
古代~現在までの様子を楽しめるVRコンテンツ公開の経緯と思いをご担当の王寺町地域交流課 文化資源活用係 文化財学芸員 岡島永昌様におうかがいします。
「住みここちランキング」全国1位の町
王寺町地域交流課
文化資源活用係
文化財学芸員
岡島 永昌 氏
――王寺町のプロフィルについて、ご説明ください。
岡島氏:奈良県の北西部にあり、西は大阪府と接しています。南北でいうと奈良盆地の中央ぐらいで、奈良盆地を流れる川が、最後に王寺町で大和川として一本になり、大阪湾に向かいます。地形的に低い場所にあることから、古くから交通の便がよく、飛鳥時代には聖徳太子が利用した道があったと言われています。大阪のベッドタウンとして、平成以降、人口が増え、7.01km2という狭い面積ながら、人口は約2万4,000人にのぼります。昨年は、民間業者の調査で、「住みここちランキング」全国1位(※1)に選ばれました。
――VRコンテンツの舞台となった明神山はどのような所にあるのでしょう。
岡島氏:王寺駅からですとバスで約10分ですが、ハイキング目的の方は駅から歩く方も多くいらっしゃいます。麓のバス停まで4キロ弱ですので、歩いて約50分、麓から標高273.6mの頂上までは約1.8キロで、30分くらいで登ることができます。
(王寺町観光協会HPより転載)
VRで明神山の眺望の意味と魅力を伝えたい
――今回、VRコンテンツを制作した経緯について、お教えください。
岡島氏:明神山からは、奈良盆地が全体を見渡せると同時に、大阪平野から大阪湾、明石海峡、さらには百舌鳥・古市古墳群も見渡すことができます。ただ、明神山は単に景観がよいだけではなく、全体の眺望を見ていただくと、なぜ大和奈良に、古墳時代以来、歴代の都が置かれてきたのか、地勢と歴史の関係性がよくわかってきます。そうした眺望の意味と明神山の魅力をよく知ってもらうのが制作を企画した一番の理由です。
――制作にあたって、ご苦心された点はどこでしょう。
岡島氏:眺望を360度で表現するということで、VRは欠かせませんでした。また、現代の情報だけでなく、歴史を遡り、時代時代によって変化する眺望の変遷も再現したいと考えました。それを実現するために、YBSさんには、「ここに池を作ってください」とか「ここは道が通っていたはずなので、道をつけてください」とかなり細かい注文を出させてもらいました。そうした注文を出すにあたっては、実際に昔の眺望を見たわけではないので、その根拠を求めるのに苦労しました。
古代、中世・近世、近代、現代と眺望のタイムスリップが楽しめる
――できあがったコンテンツの評価、ご覧になってのご感想は?
岡島氏:360度ぐるっと回って、時代ごとにその眺望を見ることができる上に、ポップアップで解説を読むことができ、明神山に行くことなく、その眺望の意味がよくわかるつくりになっていて、周囲の評価は高かったです。明神山から見える眺望について、ひとつひとつ説明が加えてあるので、じっくりと学びたい方にも存分に楽しんでもらえるコンテンツに仕上がっており、個人的にも、よいものができたと満足しています。
――4月に町のHPで公開されてからの評判は、どうだったのでしょう。
岡島氏:「時代ごとの景観が見られてよい」とか、「解説がついていて内容がよくわかる」といった評価する声が寄せられています。当初、予想していた以上にPVも伸びています。
明神山から見える世界遺産や歴史的建造物、地理を丁寧に解説
次は「VRゴーグル版」にチャレンジ
――今年度も引き続き、ゴーグルを使ったVRコンテンツの制作をYBSと進めているそうですが、どのような内容なのでしょうか。
岡島氏:今年、ブラウザー版を始め、続いてゴーグル版というのが計画としてありました。どこからでもアクセスできるブラウザー版に対して、ゴーグル版は実際に明神山に足を運んでくださった方を対象に、そこから見ることができる眺望の映像ストーリーを楽しんでもらえるような内容になる予定です。
――今後、王寺町として、どのようなことにチャレンジしていくのか、ご予定をお聞かせください。
岡島氏:明神山を価値あるものと知っていただき、できるだけ多くの方に王寺町に足を運んでいただくための取り組みとして、今回、ブラウザー版のVRコンテンツを制作し、引き続き、ゴーグル版の制作も進めています。これから先は、これらコンテンツを広く知っていただき、うまく活用することで、地域の活性化に結びつけていきたいと考えています。
王寺町公式マスコット「ゆきまる」が登場の明神山360度VRコンテンツPR動画もYBSが制作
――YBSとの協働作業については、どのように評価されていらっしゃいますか。また、今後、YBSに期待したい点があれば、お願いします。
岡島氏:制作期間が限られているなかで、こちらからの細かい注文に根気よく応えてくれました。技術面での期待も前もってあったところ、十分に期待に応えてくれたと思います。今後は、今回制作いただいたVRコンテンツの周知、発信に向け、よいアイデアなり、ご提案に期待したいと思っています。
――ありがとうございました。
※1 大東建託(株)街の住みここち 「自治体」ランキング全国版・2020より
YOMIURI BRAND STUDIOはコンソーシアムの様々な経験を持つ人材がクライアントの課題に応じて適切なチームを編成し、信頼性の高い、最適なソリューションを提供してきました。
時を経て、その経験と実績をさらに積み上げ、あらゆるニーズに応えるべく、活動領域を拡大しつつ新たな価値を提供し続けています。コミュニケーションをより信頼できるものに、より心を動かすものにするために。YOMIURI BRAND STUDIOがお手伝いします。