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新聞社とコラボレート
地方創生とコミュニケーションの新たな起点となる四国水族館

瀬戸大橋の袂、四国の玄関口に位置する四国水族館は、四国全体の活性化、地方創生を掲げて2020年に誕生した水族館だ。その水族館が読売新聞とパートナーシップを結ぶことで、新たなコミュニケーションの起点にもなり始めている。

株式会社四国水族館開発 清水洋平氏

四国の玄関口に誕生

香川県宇多津町にオープンした四国水族館は、高松空港からも近く、まさに四国の玄関口という立地にある。コロナ禍で当初3月に予定されていた開業が6月に延期され、開館後も感染対策の入館制限が行われる不運に見舞われたが、その中で四国水族館は、ユニークなオープン告知、様々な体験プログラム、オンラインイベントなどの企画を実施。地元の人たちのサポートもあり、開館1年余りで来館者100万人を達成している。

株式会社四国水族館開発 清水洋平氏

株式会社四国水族館開発
四国水族館 管理部管理課
課長補佐 清水洋平 氏

四国水族館の最大の特色は、民間主導の施設であることだ。水族館は自治体主導や大手企業が親会社となって作られるものが多いが、水族館を運営する四国水族館開発は、地方創生に取り組む民間企業、趣旨に賛同する地元企業などの出資で作られた会社だ。水族館が立地する土地を所有する宇多津町とも連携し、2020年9月には香川大学と観光振興や教育の分野などで相互協力する包括連携協定も結んでいる。四国水族館開発にとって水族館は地方創生の手段だと言う。

水族館名には都市名や愛称を冠するのが普通だが、水族館に「四国」という広域名を冠したのは、地元宇多津町や香川県だけでなく、四国全体の活性化を目的としているからだ。こうした狙いから、四国水族館の集客エリアも当然広域になる。四国水族館の清水氏は「日帰りもしくは一泊での四国への旅行を考えると関西や広島もターゲットに入ってきます。高松−羽田の飛行機を使えば首都圏も対象エリアに入ってきます。ただ、当館だけを目的として来ていただくのではなく、当館を起点に四国のほかの観光地を巡ってもらいたい。四国水族館を四国の入り口と捉えてもらいたい、というのが我々の考えです」と語る。

大人も楽しめる水族館をアピール

「四国水族館を四国の入り口とする」考えは、水族館のテーマ、展示にも反映されている。四国水族館では「四国水景」をテーマに、日本最大の内海・瀬戸内海、世界最大の暖流・黒潮が流れる太平洋、人々の生活を支えた人造湖や四万十川をはじめとする清流など、四国各地のさまざまな水景とそこに息づく生き物約400種14000点を、水槽69基を使って展示している。

四国の水景を切り取ったようなレイアウト

四国の水景を切り取ったようなレイアウト

SNSでも注目を集める水槽

SNSでも注目を集める水槽

中でも最も人気を集めているのが、瀬戸内海を背景にイルカが泳ぐ「夕暮れの景」。瀬戸内海の島々の向こうに沈む夕日は四国の絶景の一つだが、四国水族館自慢の「映えスポット」にもなっていて、「夏の夕暮れになると大きなカメラを携えたたくさんの大人が集まる」(清水氏)。また、夕日を眺めながらデッキでビールを楽しむこともできる。「大人も楽しめる水族館」であることが、四国水族館のもう一つの魅力になっている。

「夕暮れの景」

「夕暮れの景」

この四国水族館とメディアとしてスポンサーシップを結んでいるのが読売新聞大阪本社で、水族館のオープンからその後の展開まで、さまざまな提案を行ってきた。

水族館のオープニングキャンペーンをトータルにプランニングしたのが、広告主のマーケティング支援やコンテンツ制作を統合的に行うYOMIURI BRAND STUDIOだ。「ドキドキ オトナの水族館」をコンセプトに、テレビCM、WebCM、新聞広告、OOHなど幅広い媒体を用いた統合キャンペーンを実施。同時に、読売新聞本紙では瀬戸内の見どころを紹介するタイアップ企画も定期的に掲載し、水族館を起点とした四国観光も促すことを狙った。

2020年1月28日大阪本社版朝刊

2020年1月28日大阪本社版朝刊

他メディアでの展開

他メディアでの展開

2022年7月16日大阪本社版朝刊

2020年7月16日大阪本社版朝刊

窮地を救ってくれたサポーター

ただ、こうしたオープニングキャンペーンは、当初の3月20日オープンを目指して実施されたもので、四国4県の居住者のみを対象とした4月1日のプレオープン5日後には緊急事態宣言で全面休館に。正式オープンは6月1日に延期された。

この間は民間企業である四国水族館開発にとって、最も苦しい時期だったと言う。休館でも、施設の維持管理は必要になる。生きものたちの餌代はもちろんだが、それ以上に大きいのが水槽の水を循環させる電気代だ。水族館の窮地を救ってくれたのは、地元の人たちや水族館を応援する人たちだった。

窮余の策として四国水族館が実施したのが、休館中のサポーターズパスポートの販売だった。年間パスポート機能、同伴者1名無料などの特典が付くものの価格は22,000円。それが4月24日2000枚限定で販売されると、わずか5日で完売した。「本当に命が救われたと思いました。皆さんの当館へのサポートの気持ちの強さ、期待値の高さを知りました」と清水氏は当時を振り返る。

もう一つ水族館の窮地を救ってくれたのが、県内や近隣県の小中学校を中心に修学旅行や校外学習で多くの来館があったことだ。「コロナ禍で香川が修学旅行先として注目されたのでは」と清水氏は指摘する。

新聞社との協働で水族館をメディアに

6月の正式オープン以降、読売新聞から新たな提案が行われていった。四国水族館を企業のPRの場として活かしていこうという提案だ。

■2021年3月 「みらい水族館」(NTT西日本)https://www.yomiuri-osaka.com/lp/nttw-shikoku3/

コロナ禍で遠足が中止になった大阪の保育園と四国水族館をオンラインでつなぐ「みらい水族館 オンライン遠足」を実施。子どもたちが遠く離れた水族館をタブレットを通して体験する新たな課外授業の様子を紙面とWebで伝えた。これは高画質のVRコンテンツをストレスなく送信できるNTT西日本の「VR 高効率配信技術」を体験型授業でPRしたものだ。

2020年3月29日大阪本社版朝刊

2020年3月29日大阪本社版朝刊。NTT西日本と四国水族館が連携、水族館オープン前から遠隔授業の開発に取り組んだ。ウェブサイトはこちら

オンラインで水族館を楽しむ園児たち

オンラインで水族館を楽しむ園児たち

2021年3月24日大阪本社版朝刊

2021年3月24日大阪本社版朝刊

この企画をヒントに清水氏が課外授業として水族館に来る学校に提案しているのが「来館前のオンライン授業」だ。実際に要望を聞くと、水族館で課外授業を行う学校はSDGsや環境問題に対する関心が高く、海ごみ問題などの話を聞きたいというところが多い。実は四国水族館長の松沢慶将氏は国際ウミガメ学会会長を務めたウミガメ研究者で、海ごみ問題にも造詣が深い。オンライン授業では館長が登場し、ウミガメと海ごみ問題を子供たちに学んでもらうことを始めているという。

■2020年11月~12月 「未来の水族館」プロジェクト(桃山学院大学)https://www.yomiuri-osaka.com/lp/miraibusiness/

桃山学院大学ビジネスデザイン学部(2020年度当時は経営学部ビジネスデザイン学科)の1、2年生に四国水族館の現状を踏まえた「未来の水族館」のビジネスプランの提案をしてもらうという企画を実施した。

四国水族館担当者のオンラインセミナー後、質問をする学生たち

四国水族館担当者のオンラインセミナー後、質問をする学生たち

2021年1月17日大阪本社版朝刊

2021年1月17日大阪本社版朝刊

桃山学院大学学長や四国水族館長らが審査員となり、学生らしい新鮮なビジネスアイデアが披露され、大学の訴求目的と四国水族館のPRを効果的に両立させた。

■2022年3月 海のがっこうin四国水族館(大阪・関西万博)

四方を海に囲まれた夢洲(ゆめしま)で開催される大阪・関西万博「海の万博」に対する国民の関心を高めることを目的として開催されたオンラインスクール。瀬戸内海に隣接する四国水族館を教室に、海の無限の可能性を子どもたちに学んでもらうという趣旨で、親子約900組が画面を通じて参加した。

海のがっこう
水槽をバックにしたオンライン授業配信の様子

水槽をバックにしたオンライン授業配信の様子

こうした企業や団体との取り組みについて清水氏は、「2025年に開催される大阪・関西万博は、『海の万博』として周辺自治体との連携を深めていますが、水族館への集客につながることを期待しています。また、実感したのは、新聞社とタイアップすることでさまざまなところとのつながりが生まれることです。先ほどの『来館前のオンライン授業』もそうですが、そこから水族館としての新しい取り組みも生まれてくると思います」。

認知を高め、新しい挑戦へ

四国水族館もオープンから2年を迎えようとしているが、現段階で四国水族館の広告・宣伝の課題はあるのだろうか。清水氏は「コロナ禍で広告宣伝費を大きく抑えてきたというところがあります。地元メディアで取り上げられることもあって四国四県と岡山県はある程度認知されてきていますが、関西、広島方面の認知はまだまだ低い。認知の獲得という広告の原点に返ったアプローチも必要だと思っています」と語る。行楽シーズンを前に、大阪本社版朝刊に6週連続で広告を掲載したのは、その意図からだ。

2022年3月26日大阪本社版朝刊

2022年3月26日大阪本社版朝刊

4月2日

4月2日

4月9日

4月9日

4月16日

4月16日

4月23日

4月23日

4月30日

4月30日

四国水族館の今後について清水氏は、「さまざまな企業と繋いでいただくことで、新しい展開が生まれてくることを実感した2年でした。水族館は集客施設であり、メディアでもあるわけで、水族館をPRの場として使ってみたいという企業や団体がいらっしゃれば、ぜひいっしょにやっていきたいと思います。そして、読売新聞とは我々水族館単体ではできないことを、力を借りて挑戦していきたい。特に教育や環境問題、SDGsといった分野は全国規模のメディアでこそ取り上げていただきたいテーマだと感じています」と語る。

地域創生を掲げて生まれた四国水族館が、四国を訪れる人たちの入り口になり、新しいコミュニケーションの場になりつつある。

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