「お金」や「経済」の仕組みを楽しく・わかりやすく・面白く!
「未来のマネーフェス」開催
6月24日土曜日、よみうり大手町ホールで中学生以上へ向けたイベント「未来のマネーフェス」(主催:読売新聞社、後援:金融庁、特別協力:吉本興業、協力:日テレ アックスオン)が開催された。難しいと思われがちな「お金」や「経済」について、お笑い芸人やタレントを聞き役に銀行、証券、カード、保険4社の講師が分かりやすく解説。会場の約330名とオンラインの参加者は楽しく金融の知識を学んだ。7月28日には読売新聞朝刊本紙にイベントの採録企画を掲載、また同日から授業の動画配信も実施した(8月6日まで)。
イベント動画はこちらから見られます(8月6日まで)
4業種が集まった金融経済教育イベント
学校教育の現場では、小・中・高校で新学習指導要領に基づいた金融経済教育の授業が始まっている。キャッシュレス決済をはじめ金融サービスが高度化する現代社会で生きていくために必要な金融経済の知識を高校卒業までに身に付けることで、将来的に日本全体の金融リテラシーを高めることが狙いだ。金融庁が金融経済教育を推進する流れの中、金融各社もCSRの観点から金融経済教育に取り組むところが増え、教育プログラムの開発も進められている。
今回実施の「未来のマネーフェス」では、吉本興業所属のお笑いコンビであるオズワルドとジョイマン、タレントの高山一実(乃木坂46元メンバー)さんを「生徒」、協賛各社の社員が「先生」という設定で、お金にまつわる「授業」が4コマ、約3時間にわたって行われた。協賛企業は、銀行:みずほフィナンシャルグループ、証券:SMBC日興証券、カード:ダイナースクラブ(発行会社:三井住友トラストクラブ)、保険:太陽生命の4社。同時に会場の隣の小ホールで協賛各社がブースを設け、参加者からの質問に直接答えたり、金融ゲームの体験を実施するなどした。各社の人気キャラクターも登場し、参加者の関心を高めた。
授業はリアルとオンラインのハイブリッド形式。参加者の募集は、読売新聞本紙と特設サイトに加え、10代向け新聞で発行部数No.1の読売中高生新聞や、企業と大学、学校間の交流を支援する読売教育ネットワークの持つ媒体でも行った。
読売中高生新聞 2023年5月26日号・6月9日号
タレントとの掛け合いで進行する授業
舞台にまず登場したのはオズワルドの2人。新人時代の貧乏生活のエピソードで会場を和ませた後、「お金に困らないよう、きょうは勉強していきましょう」というオープニングトークで授業はスタート。日本テレビの後呂有紗アナウンサーを進行役に、1時間目はみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)、2時間目がSMBC日興証券、3時間目がダイナースクラブ、4時間目に太陽生命の社員が順に講師として教壇に立った。それぞれの授業の台本は、事前に協賛各社との綿密な打ち合わせを重ねて作成。休憩時間には各社のCMを放映した。
1時間目 みずほFG
まず1時間目のテーマは「身近な存在の『お金』『銀行』ってナニ?」。講師は、みずほFG経営企画部総括チーム次長の池田邦恭氏。「お金」の役割・暮らしとの関わり(「お金」の機能)について、舞台中央のモニターにオズワルドの2人に似た原始人がアニメで登場し、面白くてわかりやすい解説が行われた。また、「銀行」の説明では、来年から新一万円札になる渋沢栄一が1873年に日本初の銀行「第一国立銀行」を設立したこと、同銀行は、みずほFGのグループ会社である「みずほ銀行」の源流の一つとなっていて今年で開業150周年となることも紹介された。授業の最後には、来場者からの事前の質問に答えるコーナーが設けられた。
2時間目 SMBC日興証券
2時間目の授業のテーマは「投資を知れば“社会”がわかる!」。講師は、SMBC日興証券経営企画部サステナビリティ推進室の清水友香氏。「銀行の役割はお金を必要とする人や企業にお金を貸すことですが、証券会社の役割はお金の出し手とお金を必要とする企業などの間に立って、そのやりとりを仲介することです。お金を必要とする企業や地方自治体などに、お金の出し手が直接お金を出すことを『投資』といいます。『投資をする』ということは簡単に言うと『お金に働いてもらう』ことです」と、中学生にもわかる「投資」の本質をつく説明から授業はスタート。「投資はギャンブルか」という素朴な疑問にも答えながら、投資知識を身につける勉強方法をクイズ形式で教えた。
3時間目 ダイナースクラブ
3時間目の授業から生徒役のオズワルドがジョイマンと交代した。授業のテーマは「あなたの人生を豊かにするクレジットカードの使い方」。突然、舞台が暗転し、「クレジットカードクイズ」がスタート。舞台に登場した講師の三井住友トラストクラブ執行役員商品統括本部長・野泉和宏氏が世界初のクレジットカードであるダイナースクラブカードの誕生エピソードをスライドで披露した。キャッシュレス時代にクレジットカードが果たす役割や「フィッシング詐欺」への対策をはじめとした情報セキュリティの話など、大人に必須のカードの知識を紹介した。
4時間目 太陽生命
4時間目のテーマは、「人生の“足りない”を支える保険」。講師は、太陽生命広報部広報課長の登信太朗氏。「若いうちから保険のことを知っておけば、より“豊かな”人生を送ることができる。ぜひ今日は『自分ごと』として聞いてほしい」という言葉で授業はスタート。公的保険と民間保険の違い、多種多様な民間保険がなぜ必要なのか、どういう場面で保険が役立つのか。保険の重要性を自分ごと化して認識してもらうため、ジョイマンの高木さんの人生グラフを用いて説明。最後は、太陽生命のマスコットキャラクター「いかなキャット」が舞台に登場。来場者と一緒に、ジョイマンの「ジョイササイズ」をみんなで踊って3時間に及ぶ授業が終了した。
これまでにないコンセプトを協賛各社が評価
協賛各社に今回のイベントへの協賛参画の感想、イベント開催の意義などについて聞いた。
【みずほFG】「未来かるた」で参加者とコミュニケーション
みずほフィナンシャルグループ
経営企画部総括チーム
司茂 亜依子 氏
みずほFGでは、金融経済教育を「サステナビリティ重点項目」の主な取り組みの一つとしています。小学生から社会人まで幅広い年代を対象に職場体験や出張授業、寄附講座などを開催しており、2023年度までに6万人の受講を目指しています。また、子どもたちへの金融経済教育が特に重要と考え、2006年から12年かけて東京学芸大学との共同研究プロジェクトで金融経済教育の教材や手法の開発も進めてきました。
金融経済教育を楽しく学べる「未来のマネーフェス」への参加は、そうした私たちの活動にも沿うものでした。今回の授業でも、楽しく学んでもらうことに特に重点を置いて、高山一実さんやオズワルドさんと講師との掛け合いで飽きさせない内容にするよう台本の段階から心がけたつもりです。また、ブースでは「自分のマネーライフプランに向き合ってもらう」という趣旨から、「未来かるた」に未来の夢を記入してもらい掲示しました。イベントに登壇されたタレントの方にも記入していただきました。皆さまのカルタの書き込みには、ジーンと心に来るものも多かったですね。
今回は会場の反応を含め、参加者とのコミュニケーションが楽しくできたイベントだと思います。また、オンライン配信もあって、こうしたイベントに関心がありながら、リアル会場へは訪れにくい、例えば遠方の方にも参加しやすいものであったかと思います。ハイブリッド型の授業やデジタルを活用した教育機会の提供は、コロナ禍においても私たちが試行錯誤して取り組んできたものでもあり、今後もあらゆる多くの方に、金融経済教育を学んでいただけるよう取り組んでまいります。
【SMBC日興証券】投資についての興味関心が高まってきていることを実感
SMBC日興証券
経営企画部サステナビリティ推進室
川西 麻美 氏
SMBC日興証券は2001年頃から金融経済教育に取り組んでおり、小学生から社会人までの幅広い年代に対する金融経済教育活動として、出張授業や企業見学を実施しています。また、今年はコロナ禍により、2020年以降実施を控えていた小学校高学年とそのご家族を対象とした「家族でワクワク体験DAY」を、約4年ぶりに全国の各本支店で開催しています。このプログラムはお金に関するクイズや動画鑑賞、支店見学を通じて、子どもたちに社会とお金の仕組み、証券会社の仕事を楽しみながら学んでもらうことを目的にしています。
ただ、これまで当社が実施してきたイベントには「堅苦しい」「とっつきにくい」という声があったのも事実で、入口をいかに入りやすいものにするかが課題でした。こうした観点で今回の「未来のマネーフェス」は、高山一実さんやオズワルドさんと一緒に面白く、そして楽しくお金の世界を伝える有意義な機会になったと思っています。
ブースにお越しくださった来場者には「投資やNISAについて聞きたい」という方もいらっしゃり、投資について一般の方の興味関心が高まってきていることが実感できました。また、土曜の午後開催ということで、授業の後に参加してくださった中高生もいました。今後も様々な活動を通じて、若年者層を含めた幅広い世代の方に金融経済教育をご提供できるよう、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
【ダイナースクラブ】学生向けの教育活動を積極的に実施したい
三井住友トラストクラブ
執行役員商品統括本部長
野泉 和宏 氏
日本は他の先進国に比べてクレジットカードやキャッシュレスに対し、「怖い」「現金のほうが安心」などの抵抗感を持つ人が多く、その結果キャッシュレスの決済比率は低い傾向にあります。そのため、当社が行う金融教育イベントでは、クレジットカードやキャッシュレスサービスとの正しい付き合い方や、それによって得られる安全性・メリットを分かりやすく伝えることを重視しています。
「未来のマネーフェス」に参加したのは、昨年、広島大学で講師をされているダイナースクラブ会員から「クレジットカードやキャッシュレスについて講義をしてくれないか」と依頼があり、学生向けに講義をしたことがきっかけです。そこで学生たちが非常に熱心に耳を傾ける姿を見て、会社としてこうした活動をもっと積極的にすべきだと感じたのです。社内で施策案を練っていた最中に「未来のマネーフェス」のお話を伺い、すぐ参画させていただく返事をしました。講師として授業も行いましたが、緊張しました。高山さんやジョイマンさんとのやりとりもアドリブが多く、用意していたQ&Aを2つ残してしまいましたが、それくらい授業が盛り上がったということなので、その点は良かったと思っています。
世界で初めてクレジットカードが誕生したのは1950年代のアメリカで、それが我々のダイナースクラブカードです。その最初のカードは紙のカードで、今回のブースで展示させていただき、かなりの反響がありました。
ダイナースクラブは、レストランの支払いから始まったこともあり、金融教育以外にもフードロスを子どもたちと考える食育の取り組みや、レストランでのマナー教室イベントなども行っています。そういったことも今後広く伝えるような機会を作っていきたいと考えています。
【太陽生命】保険は人生を明るくするポジティブなもの、と若い人が思ってくれたら
太陽生命 広報部広報課課長代理
多田 夏子 氏
太陽生命は、愛知県名古屋市で名古屋生命保険株式会社として1893年創業した会社です。創業以来家庭マーケットを中心に保険を販売している会社で、直接お客様と接点を持つ営業職員が一番重要だと考えています。同時に、事務を中心としていた一般職をLC(ライフカウンセラー)と名称を変更し給付手続きやニーズに応じた商品・サービスの提案などお客様と接点を増やす活動に取り組んでいます。全国に現在148の拠点がありますが、各地でセミナーを開催したり個人宅へ訪問することで金融経済教育へ広がればと考えています。太陽生命の金融経済教育への全社的な取り組みはこれからで、「未来のマネーフェス」がそのきっかけになればと思い参加しました。
「未来のマネーフェス」が若い人たちをメインターゲットとしたイベントであることも参加の理由でした。近年の保険商品は、安さだけが注目されがちですが、適切な保険を選ぶには正しい保険の知識が必要です。若いうちから保険のことを知っておけば、より“豊かな”人生を送ることができる。「自分ごと」として今日の授業を聞いてほしいというのが、私たちの思いでした。
私たちの授業は4時間目で、途中で帰られる方もいるのではと思ったのですが、みなさん最後の「ジョイササイズ」も、太陽生命のキャラクター「いかなキャット」と一緒に踊ってくださった。今日の授業で保険というのは人生を明るくするポジティブなものというイメージが若い人たちの心に残ってくれたらうれしいですね。
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中高生から社会人まで参加し、しかも銀行、証券、カード、保険の異業種が一堂に集まって、それぞれのサービスの必要性を伝える機会はこれまでなかった。「未来のマネーフェス」は、その最初の試みだというのが、協賛4社共通の回答だった。
2023年7月28日全国朝刊(クリックで拡大)