朝刊の小枠広告をジャック!
MUFGのサステナビリティ・ブランディング
3月29日、読売新聞朝刊の小枠広告を含めた全11枠分の広告枠が三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)によってジャックされた。題字横の「裏から支えつづける。」と書かれた小枠広告のあとに続く交通、食品、船舶、旅行などの幅広い業種の広告・・・これらは全てMUFGがサポートする活動だ。カーボンニュートラル社会の実現に向けてMUFGが目指すサステナブル・ブランドとは?
2023年3月29日 全国朝刊
お客さまの脱炭素を支援
――MUFGのサステナビリティへの取り組みについてお聞かせください。
三菱UFJフィナンシャル・グループ
経営企画部
サステナビリティ企画室
手塚 大典 氏
手塚氏:脱炭素、気候変動への取り組みは「赤道原則※」を採択した2005年頃から進めてきましたが、2020年の政府による「2050年カーボンニュートラル宣言」をきっかけに、さらにスピードアップしました。2021年5月には我々もグローバルな金融機関として「MUFGカーボンニュートラル宣言」を行い、2030年までに自社活動の温室効果ガス排出をゼロ、2050年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出ゼロという二つの目標を掲げました。
※赤道原則とは
プロジェクトに起因する環境・社会に対するリスクと影響を、資金の貸し手として、または資金調達に関するアドバイザーとして、お客さまと協力して体系的に特定、評価し、管理するため、民間金融機関が中心となり策定した枠組みです。2022年6月末現在、世界で134の金融機関が赤道原則を採択しています。(MUFGホームページ「赤道原則への対応」より)
――「投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出ゼロ」というのは?
手塚氏:投資・融資による温室効果ガス排出量をゼロにするということです。極端な話、投融資活動をしなければ、自社が排出する温室効果ガスをゼロにするだけで目標達成になります。しかし、このようなアプローチで温室効果ガスをゼロにしても、世界全体の温室効果ガスが減るわけではありません。我々が関係する世界中のお客さまの脱炭素を支援して世の中を良くしていく。環境問題や社会課題の解決とMUFGの経営戦略を一体と捉えて価値創造に取り組むことが、我々の目指すサステナビリティ経営です。
サステナビリティ領域でのブランディング
三菱UFJフィナンシャル・グループ
経営企画部 ブランド戦略グループ
カティング ジェームズ 氏
――今回の新聞広告の狙いをお聞かせください。
カティング氏:今回の出稿はMUFGのサステナビリティ・ブランディングの一環です。MUFGは2021年の中期経営計画で「サステナビリティ経営の高度化」を掲げていますが、「サステナビリティ」という領域は、グローバルな金融グループとして社会を支える使命感を打ち出す上で重要なテーマだと認識しています。その第一弾として2021年に制作したのが「赤い球の冒険~MUFG Soul Movie~」という動画でした。
MUFGグループ公式サイト「赤い球の冒険」
MUFGのロゴマークから「赤い球」が立体的な球体となって飛び出し、いろいろな装置の中を転がっていき、橋を開通させて社会インフラ整備を表現したり、再生可能エネルギーでライトを点灯させる演出で気候変動対応・環境保全を表現したりと、MUFGのサステナブルな取り組みを表す装置を仕掛けています。
――2022年12月にも新しい動画を作成していますね。
カティング氏:2021年の動画はMUFGが環境・社会課題の解決に取り組む姿勢や価値観を広く伝える目的を持っていましたが、2022年に制作した動画は我々の具体的な取り組みの認知と理解を目指したものです。金融機関は間接的に社会や生活者を支援する立場ですので、その取り組みをダイレクトに紹介する難しさは常に感じていました。生活者の身近なシチュエーションに隠れている“サステナブル”をアイキャッチに仕上げ、金融機関の少し難しい取り組みをシンプルに理解していただける内容にしたいという思いで制作したのが「サステナブルしちゃう日。」でした。
MUFGグループ公式サイト「サステナブルしちゃう日。」
誰もが日々の生活の中で「サステナブルできちゃう」世の中をMUFGがつくる。冒頭のシーンで女性が乗っているバスは、実は水素を燃料として走行する燃料電池バスです。MUFGは寄付という形でこの水素バスの導入を支援しています。そのほかにも、クリーンエネルギーでキノコを生産しているホクト、温泉排水や直水力発電で宿泊施設のグリーンエネルギー化を図る星野リゾートなど金融面から支援している取り組みとしてとして4社の例を紹介しています。
取り組みをインパクトある形で伝える「小枠広告」
――3月29日朝刊の新聞広告は、1面、2面、スポーツ面、第一社会面の広告枠を11枠分ジャックしたインパクトのある展開でした。
カティング氏:先述の「サステナブルしちゃう日。」では金融支援の例を4社しか取り上げることができなかったのですが、MUFGはあらゆる業種のお客さまのサステナブルな活動を支援しています。今回の新聞広告では小枠をジャックし、さまざまなグラフィック広告を散りばめることで取り組みを紹介しました。15段広告ではなく小枠広告やアイランド広告のジャックにしたのは、MUFGが支援している多種多様な業種を、よりインパクトのある形で伝えたいという意図があったからです。
――初めに目に入る、1面題字横の小枠広告には「裏から支えつづける。」というメッセージが書かれていました。
カティング氏:我々金融機関の取り組みの特徴の一つとして、「サステナブルな活動を行っている企業を金融の面から間接的に支援する」という面があります。今回の広告デザインは、それをどう表現すれば一般の方に理解をしていただけるのかを意識しました。その結果、サステナブルな企業活動を広告風のデザインとして表現し、その広告をめくると、実はMUFGがその活動を支援しているということをコピーで説明するデザインを採用しました。
全10業種分のサステナブルな取り組みを表した架空の広告をめくった裏側には
MUFGがどのような支援をしているかが説明されている
――水素バスもそうですが、それぞれ実際に支援や投融資をしているわけですね。
カティング氏:そうです。一つ一つの広告の裏には必ずファクトがあります。コピーを読んでいただければわかりますが、そのファクトをテキストで補足しています。金融機関のサステナブルな活動が一般の方には分かりづらいということもあり、言葉だけで説明しようとすると難しい。そのためMUFGはどういう活動を支援しているのか、それがイメージだけでも伝わる広告表現にし、コピーは平易で読みやすい雰囲気を意識しました。
――これまで動画を中心に訴求してきたなかで、今回は新聞を使った理由を教えてください。
カティング氏:「赤い球の冒険」や「サステナブルしちゃう日。」は主にデジタルでの展開でしたが、カーボンニュートラルな社会の実現に向けたMUFGの取り組みを広く発信するために、新聞広告を選びました。今回は11種類10業種の広告だったこともあり、弊社のSNSでもシリーズでツイートし、幅広い層に発信できたと思っています。
パーパスをベースにメッセージを発信
――今後はどういう展開を考えているのでしょうか。
カティング氏:私たちは「持続可能な環境・社会がMUFGの持続的成長の大前提である」という考えをもっており、環境に関する課題を自分ごととして捉えて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。まだまだ解決すべき課題が多くありますが、これからもサステナブルな取り組みにより注力していくことで、「世界が進むチカラ」になれたらと願っています。我々の取り組みの認知と理解を上げる努力や工夫は今後も継続します。