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【帝人フロンティア】B to B企業が取り組んだ
生活者ターゲットのサステナブルコミュニケーション

エコ素材の開発を他社に先駆け取り組んできた帝人フロンティアが、「サステナブルファッション」をテーマにしたトップ対談を読売新聞に掲載した。BtoB企業がなぜ生活者をターゲットにしてサステナブルに関する取り組みをアピールするのか。その狙いを聞いた。

2023年3月21日全国朝刊

2023年3月21日全国朝刊

環境戦略「THINK ECO®」を策定

沖本 智美 氏

帝人フロンティア株式会社
技術・生産本部
サステナビリティ戦略推進部
沖本 智美 氏

――帝人フロンティアはメーカーと商社、両方の機能を持った会社と聞いています。

沖本氏:帝人フロンティアは、繊維メーカーの帝人ファイバーと繊維専門商社のNI帝人商事が2012年に統合して誕生した帝人グループの会社です。生活者に近い衣料繊維や産業資材を中心とした素材を作るメーカーであると同時に、商社機能も併せ持つユニークな企業で、製造から最終製品の販売まで一貫して行うことも可能で、市場ニーズをいち早くつかみ、企画開発し、製品化につなげることができることが最大の強みです。

――帝人フロンティアは2020年、環境戦略「THINK ECO®」を策定していますね。

沖本氏:環境戦略となったのは2020年からですが、「THINK ECO®」という言葉はそれまでも環境活動や指針のスローガンとして帝人フロンティアの設立当初から使っていました。環境への取り組みは前身である帝人ファイバーの頃から行っていて、なかでもリサイクルポリエステル繊維の生産・販売は1995年から開始しています。

――「THINK ECO®」を策定した理由というのは?

沖本氏:当社が取り扱っている素材は、もともと環境負荷低減につながるサステナブル素材が多いため、今までもグローバル展開しているアウトドア・スポーツアパレルからは、サステナブルな素材や機能的なテキスタイルの開発の要望を受けていました。これに始まり、SDGsが多くの方に理解浸透していくなかで、産業資材やファッション衣料までもサステナブルであることが求められるようになってきました。そこで、2030年に向けて、具体的な目標数値を掲げ、事業全体で推進する必要があるとして、「THINK ECO®」という環境戦略を策定しました。

新聞広告で広くステークホルダーに知らせる

――通常はどのような訴求活動をしているのですか?

沖本氏:BtoBのビジネスが主流となりますので、広告という点では繊維専門紙への広告出稿がほとんどです。一般生活者に向けた「THINK ECO®」の紹介は、エコプロダクツ展などの一般の方も入場できる展示会、エコパートナーとして協賛している阪神甲子園球場やFC東京、ガンバ大阪との環境啓発活動、それから野外音楽フェスなどの分別回収リサイクル活動などを通してのみの活動でした。今回、帝人フロンティアの環境に対する取り組みや思い、そして「THINK ECO®」という言葉自体を、もっと多くの生活者やステークホルダーに知ってもらおうというのが総合紙を選んで訴求する理由です。

沖本 智美 氏

――「サステナブルファッション」をテーマにしたトップ対談をテーマにしたのは?

沖本氏:ファッション産業は、製造にかかるエネルギー使用量やライフサイクルの短さなどから環境負荷が非常に大きい産業と指摘され、大量生産・大量消費、ファッションロスなど国際的な課題となっています。しかし、SDGsの採択をきっかけに「サステナブル」であることが求められるようになり、その中で生まれたのが「サステナブルファッション」という考え方です。「サステナブルファッション」という身近で注目のテーマをトップが語ることで、弊社の取り組みについて一般の方に広く理解してもらえるのではと思いました。

――なぜ一般の生活者にも広く理解してもらうことが必要なのでしょうか。

沖本氏:かつては回収したペットボトルからポリエステル綿を作り、それらを加工した紡績糸、生地などを展開していましたが、今では長くて細い機能的なリサイクル長繊維も生産できるようになっています。また、繊維の「水平リサイクル」となる、繊維くずを原料にして化学的に再生するリサイクル繊維もあります。現在は、私たちが製造しているポリエステル繊維素材の全てをリサイクル原料に置き換えることが可能になっています。お客さまの要望、選択によって、どのような機能的なものにも、ファッショナブルなものにもできるのです。そこで重要になってくるのが、生活者を含めた全てのステークホルダーの循環型社会やサステナブル素材に対する理解だと考えています。

――新聞の中でも読売新聞を選択した理由を教えてください。

沖本氏:今回のテーマが「サステナブルファッション」だからです。読売新聞はファッション関連記事が多く掲載されていて、ファッションの最新トレンドなど生活者の知りたい情報が充実していると思います。ファッションに関心がある一般の方々が読まれるということを意識して、選択しました。

環境問題への関心が高いトラウデン直美さん

――トラウデン直美さんを対談相手に選んだのはどうしてですか。

沖本氏:トラウデン直美さんはモデルであると同時に、環境問題に対しても関心が深く、ご自身の意見をはっきり述べられる方です。以前から機会があれば、弊社の環境に関する対談企画などにご出演いただき、ご意見をうかがいたいと思っていました。今回驚いたのは、トラウデンさんから、当社のサステナブル素材がどんなブランドに採用されているかを知りたいなど、事前にいくつか質問を受けたことです。十分な議論ができるように、ご準備されているのだと思い、当日の対談を非常に楽しみしておりました。

――読売新聞オンラインのタイアップページでは対談内容に加えて、帝人フロンティアが研究開発したサステナブルな素材についても、コラムで紹介されています。

沖本氏:対談場所に当社の製品を用意していたのですが、トラウデンさんが非常に興味を持たれて、素材開発内容にまで話が及びました。例えば、撥水加工に使われているフッ素化合物の一部は、近年、人体や環境に悪影響を及ぼすことがわかり、フッ素フリーの撥水素材の開発が進められてきました。そこで開発されたのが、雨具の蓑(みの)に使われているイネの葉の表面の構造をヒントに織り方を工夫することによって「水を滑らせ、雨をよける」という仕組みを再現した「ミノテック」という素材です。最先端の化学繊維の開発も、実は自然の動物や植物の構造が素材開発のヒントになることが多いという、当社社長の説明には共感をいただいたようで、非常に盛り上がった対談になりました。

――対談広告の掲載後の反響はどうでしたか。

沖本氏:工場やグループ会社、取引先からも反響がありましたし、さらには社員の家族から「お父さんの会社、こんな製品作っているんだ」という声もあったようです。一般生活者の反応は直接的には把握しにくいですが、掲載と同時にコーポレートサイトへのアクセスは確実に増えましたね。

「THINK ECO®」サイトを立ち上げ情報発信

沖本氏:実は対談広告掲載後の3月31日に「THINK ECO®」専用サイトを立ち上げています。

「THINK ECO®」専用サイト

――新しく「THINK ECO®」のサイトを作った理由は何ですか。

沖本氏:コーポレートWEBサイトの中に「THINK ECO®」のページは設けていましたが、階層が深くなり、ユーザーが「THINK ECO®」についてアクセスしようとしてもなかなか辿り着けない欠点がありました。また、専用サイトになると、デザインやカラートーンなどによっても「THINK ECO®」が目指す世界観を表現できます。今後は、協力関係にある会社や団体とのコラボレーション企画の紹介や、当社がプレス発表した内容についての補足情報、わかりやすい解説などのコラムなど掲載していきたいですし、キッズ向けのコンテンツも増やしていきたいと思います。サステナブルな企業活動の発信は、海外に対しても重要ですので英語版も今年中には作っていく考えです。

――今後、サステナブルコミュニケーションについて、どのような展開を考えていますか。

沖本氏:今回の対談企画はトップ対談の形式を取りましたが、もともと計画していたのはリアルに体感いただけるパネルディスカッションイベントでした。コロナ禍がなかなか終息せず参加者も見込めないということでイベントはできませんでしたが、紙面とウェブサイトで十分手応えを感じました。今後はリアルなイベントと新聞紙面が連携するような形を展開できたら、と思っています。

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