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STORYストーリー

兵庫県移住者の自然体の姿を動画に
YBSが制作した等身大のストーリー

兵庫県が移住促進のために動画制作を公募。選ばれたのはYOMIURI BRAND STUDIO(YBS)からの提案だった。「等身大の移住ストーリー」を心掛けた人選を行い、取材時には対象者の日常を切り取るような自然体の姿を撮影、編集。動画を一覧できるサイト「ひょうご移住ストーリー」では、「きっかけ」「仕事」「子育て」といった移住検討者の関心、興味別に動画が見られる構成になっている。

ひょうご移住ストーリー

移住した人たちのリアルな姿を知らせたい

岩切 玄太郎 氏

兵庫県企画部計画課
課長
岩切 玄太郎 氏

――神戸や芦屋市などがある兵庫県には、移住政策を積極的に進めている県というイメージはあまりないですが。

岩切氏:日本海と瀬戸内海の両方に接している兵庫県は、実は田舎が非常に多い。「多自然地域」と兵庫県では呼んでいますが、自然が豊かな地域がたくさんあります。もちろん、大阪などから広い戸建て住宅を求めて川西市や宝塚市など北摂エリアに転居、移住される方もいらっしゃいます。県としては都市部、多自然地域の両面で移住政策を進めています。

――移住者の動画制作を公募することになった経緯をお聞かせください。

岩切氏:移住サイトとしては「夢かなうひょうご」というポータルサイトがもともとあって、そこにも移住者の動画を掲載していました。しかし、移住のきっかけや普段の暮らし、仕事などを自然な形で紹介した動画ではありませんでした。兵庫に移住した人たちのリアルな姿を見ていただくことが兵庫に関心を持っていただくことにつながるし、移住を考える人たちの心に響くものになるのではないか、ということで今回新たに動画制作を企画しました。

例えば、近くに病院や保育所、学校があるかどうかや公共交通機関がどうなっているかは調べれば分かりますが、実際に移住を考えている人は、そこに住んでみて夏は暑いのか冬は寒いのか、あるいは、そこでどんな仕事をして、子供がどんなところで遊んで、休みの日には家族でどんなことしているのか。そういう日々の姿を知りたいと思うのではないかということです。

1件に2日間かけて移住者の自然な姿を撮影

――今回の動画制作にYBSの提案が選定されました。どのような点が評価されたのでしょうか。

岩切氏:YBSからは、「自分ごと化できる等身大の移住に関する24のストーリー」という提案をいただきました。しかも、都市部と多自然地域含めて移住者を取り上げるというもので、まさにわれわれが意図するところにぴったりの提案でした。

――どういう人に登場していただくかも、今回は重要な点だったと思います。

岩切氏:そうですね。従来、テレビの移住番組などで取り上げられる移住者は、芸術家やクリエーティブな仕事に携わるような人が多かったと思います。移住者の中にはそういう人たちも確かにいますが、ごく一部です。ほとんどの移住者は一般の人、普通に暮らす人たちです。むしろそういう人たちの暮らしに光を当ててクローズアップしていくのが、今回の動画の狙いでした。そういう移住者のインタビューは読売新聞の県版(神戸・阪神版、播磨・丹波版)にも掲載されています。また、われわれも各地域で移住の相談窓口を設けており、移住者との直接のつながりがありますので、今回の企画では県と読売新聞社の両方から候補者を出し合いました。

――オールロケで撮影を行ったとのことですが、動画制作において特に工夫した点やエピソードがあれば教えてください。

岩切氏:1件の撮影にかなりの時間をかけていただきました。移住者の自然体の姿を撮影するため、撮影チームは移住者の住まいの近くの民宿などに泊まり、親しくなった上で2日間かけて撮影を行っています。また、シナリオをあえて用意せず、長時間かけて撮影した中から、自然な会話を編集して動画を制作しています。

――制作した動画を一覧できるサイトの制作も行いました。

岩切氏:当初、予定にはなかったのですが、ポータルサイトの「夢かなうひょうご」に収めるより、そこに人を呼ぶための動画を一覧できる別サイトを制作したほうがいいということになりました。それが「ひょうご移住ストーリー」です。これはYBSからの提案でしたが、サイトでは、動画を「きっかけ」「暮らし」「仕事」「子育て」「休日」「地域」の「切り口別」と「淡路」「但馬」「丹波」「播磨」の「地域別」に分けて、それぞれの関心に沿って動画が見られるようになっています。1組の移住者のインタビューはかなりの時間になりますが、それをこのキーワードごとに分けた複数の動画に再編集しています。そのため1本1本の動画は数分間の見やすい長さになり、結果として、非常に使い勝手の良い動画になったと思います。

6つのキーワードと4つの地域ごとに動画を見られる

――動画は、どういう使い方をしているのでしょう。

「ひょうごe-県民制度アプリ」の画面

「ひょうごe-県民制度アプリ」の画面(登録などはこちら

岩切氏:移住に関心のある人が「ひょうご移住ストーリー」にアクセスして見るだけでなく、例えば移住イベントなどで流したり、SNSなどで発信したりといろいろな使い方ができます。具体的には、「ひょうごe-県民制度」のアプリでの利用を考えています。この制度は、兵庫にゆかりのある方や、興味がある方ならだれでもスマホアプリから登録でき、ふるさと情報が提供されたり、県産品の購入ができたりします。このアプリ中で動画を紹介すれば潜在的に兵庫に興味を持っていただいている方に訴求ができるわけです。

――「ひょうご移住ストーリー」サイトへの誘客のため、「YxS Ad Platform 」やSNSの広告配信も提案させていただきました。

岩切氏:移住は特にそうですが、まったく興味のない人たちにアプローチしても効果はほとんど望めません。興味がある人たちに効果的に情報を届けることは重要で、今回ご提案いただいた広告配信の方法は、今後の広報のやり方に非常に参考になると思います。

YxS(ワイ・バイ・エス)Ad Platform:読売新聞グループの保有する、新聞読者をベースとした440万IDのデータ基盤「yomiuriONE」とSMNの保有するインターネット接続テレビ約900万台の視聴データ「Connected TV Data Bridge(「TVBridge」)」を連携させ、新聞とテレビの接触データを掛け合わせて精緻なターゲティングを行うサービス。今回はYxS Ad Platformでは「子育て層」「移住関心層」、Facebook/Instagramでは「自然」「在宅勤務」「兵庫」、YouTubeでは「移住」「兵庫」の関心層などに広告配信を行い、「ひょうご移住ストーリー」への誘客を行った。

子育て世代の移住者にアプローチ

岩切 玄太郎 氏

――今回の動画制作では、ターゲットを設定したのでしょうか。

岩切氏:最近の社会移動の状況を見ると、兵庫県は年約6,000人の転出超過です。年代別に見ると、20代が約8,000人の転出超過になっている。ところが、ファミリー層(~14才、30代、40代)は2,000人以上転入超過になっています。東京や大阪で挑戦したい、世界に出て行きたいという若者がいるなら、われわれとしても応援したい。そう考えると、30代40代の子育て世代の転入をいかに促進していくかが大事になると思っています。今回の動画もまさにその30代40代の方たち、兵庫県に転入してくる人たちと同年代の方をインタビューの対象として選んでいます。

――今後はどういうところに力を入れていきたいと考えているのでしょうか。

岩切氏:人口移動に関しては、人それぞれさまざまな要因、思いがあります。行政がこうやったから人が動くというものではありません。やはり、いろいろな人の思いに応えるようなさまざまなメニューを用意し、情報を届けることが重要です。実は今年度から兵庫県では、「ひょうご移住プロジェクト」という移住に力を入れた取り組みをスタートしました。プロジェクトでは、移住を「知る」「探す」「試す」「決める」として、四つのフェーズに分けています。「探す」というのは、例えば自分が転職したいのか、会社を起こしたいのか、お店をやりたいのか、その地域でどういう可能性があるのか具体的に探す、それを支援するプログラムを考えています。「試す」というのは、例えば移住体験、実際にそこに行って一定期間住んでみる、そういうプログラムを用意します。この中でわれわれが最も重視しているのが、入り口の「知る」という部分です。その取っ掛かりがまさに今回の動画で、移住プロジェクトの入り口、フックとして非常に重要な役割を果たすと考えています。今回の動画で、「知る」という部分の一つのひな形はできました。今後は、そこに何を追加していくかだと思っています。

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