第41回読売広告大賞/第6回読売マーケティング賞/
第17回読売・日テレAOY 贈賞式レポート
読売新聞社は7月4日、「第41回読売広告大賞」と「第6回読売マーケティング賞」の贈賞式を都内で開催し、読売広告大賞「グランプリ」を受賞した雪印メグミルクと読売マーケティング賞「グランプリ」を受賞した味の素にトロフィーを贈呈しました。引き続き、日本テレビ放送網とともに主催する「第17回読売・日テレ アドバタイザー・オブ・ザ・イヤー(AOY)」の贈賞式も開き、味の素を表彰しました。
第41回読売広告大賞 贈賞式
読売広告大賞は、1984年に読売新聞創刊110周年記念事業としてスタートし、第41回を迎えた今年は、2024年度(2024年4月~2025年3月)に読売新聞に掲載された広告を対象に選考委員が審査を行いました。その結果、「グランプリ」1作品、「準グランプリ」2作品、地域性や話題性の観点で各本支社の推薦があった作品から選考委員が優秀と認めた作品の広告主に贈られる「エリア賞」3作品、8つの部門ごとに選考委員が優秀と認めた「部門賞」16作品(最優秀賞8作品、優秀賞8作品)を選定しました。
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グランプリ 雪印メグミルク(2024年12月27日朝刊)
準グランプリ タイガー魔法瓶(2024年9月1日朝刊)
準グランプリ Uber Eats Japan(2024年6月21日朝刊)


2025年7月3日 夕刊
読売新聞グループ本社 山口寿一社長あいさつ

読売新聞グループ本社
山口 寿一
贈賞式の冒頭、主催者を代表して読売新聞グループ本社の山口社長があいさつしました。
この中で読売広告大賞と読売マーケティング賞について、「受賞者の皆様、まことにおめでとうございます。読売広告大賞が今年41回目を迎えることができましたのも、広告主の皆様のご高配のたまものと深く感謝申し上げます。受賞作を見ますと、新聞広告の新しいアイデアは、こんこんとわき出す泉のように次々と生まれ続けていて、広告に関わる皆様の豊かな才能に改めて目を見張る思いであります。読売マーケティング賞は6回目となり、受賞作品はますます多様に多彩になってまいりました」と述べました。
また、「おかげさまで読売新聞の発行部数のシェアは全国紙の中で45%、首都圏では50%を超えるにいたりました。皆様のマーケティング活動のお役に立てる可能性が広がっていると思っております。昨年は私ども創刊150周年の年で、『新聞社を超える新聞社』というビジョンを掲げました。新聞社の枠にとらわれない様々なご提案をして皆様の課題解決に貢献できますよう努力してまいります」と読売新聞社の新たな取り組みを紹介し、広告主をはじめ新聞広告にかかわる方々への感謝の言葉とともに締めくくりました。
山口社長のあいさつの後、選考委員の座長を務めたクリエイティブディレクターの谷山雅計さんが審査講評を行いました。
読売広告大賞 谷山雅計 選考委員座長 審査講評

谷山 雅計 氏
クリエイティブディレクター
コピーライター
人の心の深い部分に届けようとする試みに注目
「今年度は、グランプリの選考が接戦となり、審査員の中でかなりの議論が交わされました。改めて新聞広告というメディアが今の社会を映す鏡であると実感しました。
グランプリの雪印メグミルクの作品は、『母さん、少し小さくなった?』というコピーがいきなり目に飛び込んできました。審査の時期は、母が倒れ、実家で介護をしながらリモートで仕事をしていたこともあり、作品を客観的に見ることができているか自問自答しましたが、写真をはじめアートディレクションも素晴らしいクリエイティブでした。
同じくらい評価が高かったのが、準グランプリのタイガー魔法瓶の作品です。9月1日の防災の日に出稿し、新聞というメディアで、『この新聞を燃やしてください』という。大胆な企画で、実際に新聞を丸ごと燃やすと、ごはんが炊けます。この2作品は、どちらも社会的なテーマを扱っていますが、表現の方法は正反対です。前者は情感に訴えかけてくる強さ、後者は企画性と意外性とインパクトの強さを持っています。このように入賞作品には、新聞広告の特性を生かしつつ、人の心の深い部分に届けようとする試みが非常に多く、審査の時間を楽しむことができました。
最近、タイムパフォーマンスを意味する『タイパ』という言葉が流行しており、広告のコミュニケーションにおいても、せっかちな方向に気持ちが向きがちになっています。新聞広告は、新聞をぱっと開けたら一瞬で伝わるというタイパ的な使い方もできれば、じっくり読ませてじんわりと伝わっていく届け方もできます。新聞広告は、工夫の仕方によって、使う価値があり、工夫のしがいのある媒体であると思っています。来年も、今年に負けない、今年以上のクリエイティブで審査員を驚かせて楽しませてもらいたいと思います」
グランプリを受賞した雪印メグミルクの稲葉聡取締役常務執行役員には、読売新聞東京本社の村岡彰敏社長からトロフィーが贈られました。

右:雪印メグミルク 稲葉 聡 取締役常務執行役員
左:読売新聞東京本社 村岡 彰敏 社長
受賞者あいさつ
読売広告大賞 グランプリ受賞 雪印メグミルク
稲葉聡取締役常務執行役員

雪印メグミルク
稲葉 聡 取締役常務執行役員
みんなで骨の健康について考える機会に
「雪印メグミルクグループは今年、創業100周年を迎えることができました。節目の年に広告大賞グランプリをいただき、役職員一同喜びもひとしおです。
100年前のわが国は、まだまだ十分な栄養をとることが難しい時代でした。そのような中、当社の創業者たちは、『健土健民』を唱えました。健康な牛を育て、その堆肥が土を豊かにすることで、良い牧草が育ち、その牧草を食べた牛から生み出された牛乳、乳製品を人々が取ることによって、健やかな精神と健康な肉体が生まれるという考え方です。当時の社会課題であった安定的で豊かな食生活の実現に挑みました。
私達は、この『健土健民』という言葉を『社会課題を解決する精神』と捉え直し、未来を切り拓いていきます。この社会課題を現代の視点に捉え直しますと、その一つとして、超高齢化社会の中で、骨密度の低下による骨粗しょう症の増加があげられるのではないかと思っています。当社は乳製品メーカーとして、骨の健康を通じて人々の挑戦を応援する『骨太な未来プロジェクト』を立ち上げ、全国でさまざまな啓発活動を行っています。骨の健康は自覚症状がなく、自分ごと化しにくい問題です。そこで今回、私達は『身長の低下が骨密度の低下のサインかもしれない』という啓発メッセージ、『CHECK-2cm』を訴求いたしました。これは旭化成ファーマ様が骨粗しょう症啓発活動の一環として発信されていたメッセージです。当社もこの取り組みに賛同し、2社で連携して多くの方々に呼び掛けようと考えた結果、今回の新聞広告が実現しました。
年末年始のタイミングに合わせて、帰省などの際にふと目にするお母さんの後ろ姿を印象的に見せることで、親子であるいは家族で、みんなで骨の健康について考える機会にしていただきたいという願いを込めて制作いたしました。今後もさまざまなパートナーとの連携を図りながら骨の健康に関する情報発信を継続していくとともに、より多くの人々の骨太な未来に貢献できるよう、牛乳製品の普及を通じてサポートをしてまいります」
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第6回読売マーケティング賞 贈賞式
広告大賞に続いて、読売マーケティング賞の贈賞式が開かれました。選考委員長の加治慶光・シナモンAI会長兼CSDO/日立製作所 Lumada Innovation Hub Senior Principalと、選考委員の八塩圭子・東洋学園大学現代経営学部教授が出席しました。
読売マーケティング賞は、読売新聞社のリソース(本紙、イベント、YOMIURI BRAND STUDIOの制作力など)を活用したマーケティング活動で優れた成果を上げた企業・団体などに贈られます。
第6回のグランプリには「味の素」が輝きました。「おかえり新聞」をコアアイデアに、新聞広告とデジタルでの展開を統合した「心理的共食」の体験を通して、世の中へ新しい団らんの形を提案しました。準グランプリは、別刷り広告パノラマ8ページというインパクトのある紙面展開や編集号外を活用したニュース性の高い訴求で新聞社のリソースを多面的に生かした「セイコーウオッチ」が受賞しました。
また、インターナショナルモード誌『marie claire』を活用した優れたマーケティング活動を顕彰する「marie claire賞」は、映画「グランメゾン・パリ」とのコラボレーションで、同誌初となる、本誌とサイズを変えたブックインブックの綴じ込みなどを実施した「ブシュロン ジャパン」が受賞しました。

2025年7月4日
グランプリを受賞した味の素の向井育子食品事業本部マーケティングデザインセンター副センタ―長コミュニケーションデザイン部長に村岡彰敏社長から、準グランプリのセイコーウオッチの山崎博之セイコー宣伝販促部長、marie claire賞のブシュロン ジャパンの犬童直子マーケティング&コミュニケーションディレクターに、読売新聞東京本社の安部順一取締役副社長ビジネス担当・イノベーション本部担当からトロフィーが贈られました。

右:味の素 向井 育子 食品事業本部マーケティングデザインセンター副センタ―長コミュニケーションデザイン部長
左:村岡社長
読売マーケティング賞 加治慶光 選考委員長 審査講評

加治 慶光 氏
シナモンAI会長兼CSDO/日立製作所
Lumada Innovation Hub Senior Principal
人間だからこそ実現できる作品群に敬意
「マーケティング賞グランプリの味の素の作品は、『おかえり新聞』が家族を結ぶというアイデアが核になっています。物理的にごはんを一緒に食べることができない家族について、心理的に『共食』という新しい形での団らんを可能にした温かみを感じる活動でした。味の素と新聞という、日常生活を根本から支える普遍的な組み合わせによる試みは、ささやかなようで王道のアプローチでした。また、二次元コードや、デジタル新聞表示ジェネレーターの開発、広告配信などテクノロジーを駆使した最新の統合的なマーケティング手法で、新聞の持つタイムレスな価値、テクノロジーの最新性、タイムリーの価値を組み合わせることに成功した素晴らしいケースだと思います。『家族が一緒にご飯を食べることができる社会』をつくることへの貢献もマーケティングや新聞の役割ではないでしょうか。
準グランプリのセイコーウオッチは、大谷翔平選手の誕生日に合わせた30年の軌跡として、8ページのパノラマ別刷りを発行しました。大谷翔平選手との長きにわたる相互信頼関係から実現したパワフルな取り組みでした。marie claire賞のブシュロンジャパンは、『marie claire』というメディアならではの特性を生かした秀逸な発想で、映画とブランドの世界観をうまくブレンドした作品でした。
今年の受賞作品での成功のカギとなった団らん、温かみ、長きにわたる相互信頼、さりげなさと憧れの高度なバランスは、AIのメカニカルな力だけでは生成できず、これからも人間が伸び伸びと力を発揮する領域であり続けると思います。新聞も人の心を動かす力を称え続けることができればいいのではないでしょうか。本賞に参画いただいた皆様の人間だからこそ実現できる作品群に心より敬意を表します。新聞というメディアを確認しながら、テクノロジーとうまくつきあい、新しい価値を創造するきっかけに本賞が育っていくことを心から願っています」
受賞者を代表して、味の素の向井育子食品事業本部マーケティングデザインセンター副センタ―長コミュニケーションデザイン部長が、受賞作品が生まれた背景や企画内容について話されました。
受賞者あいさつ
読売マーケティング賞 グランプリ受賞 味の素
向井育子食品事業本部マーケティングデザインセンター副センタ―長
コミュニケーションデザイン部長

味の素
向井 育子 食品事業本部マーケティングデザインセンター
副センタ―長
コミュニケーションデザイン部長
誰かと食卓を囲むことができない日も、心でつながる「共食」を実現
「第6回読売マーケティング賞を初めていただきまして、大変うれしく思っています。私どもと一緒に連日、走り続けてくださっている皆様のご協力の賜物です。
私たちが日々参考にしている調査テーマの中に、『共食』があります。誰かと一緒にごはんを食べると、一人で食べている人よりも幸せ度が高いというものです。最近の世の中ですと、仕事で帰りが遅くなるなど、家族が物理的に一緒にいられない時があるかと思います。そんな時に、心でつなぐことができないかと考えこの企画が始まりました。YOMIURI BRAND STUDIOと一緒に考え、箱形に折ることで”家族へのメッセージ入り食卓カバー”に変身する新聞広告『おかえり新聞 食卓カバー』と、さらに家族の一日を”スマホで読める電子新聞”として家族に届ける『おかえり新聞ジェネレーター』の2つのプロダクトを核とした企画を展開いたしました。
常に家の中にある新聞と、さらにそれを起点としたジェネレーターの二つを使うことで、人と人とが本当の意味で心を通わせることができる、いわゆる「心理的な共食の場」づくりができるのではないかと強く感じました。
これからも、物理的に誰かと一緒に過ごせない時がいろんな場面で起こると思います。その中でも、人との心のつながりを感じながらご飯を食べることで、幸せ度が増すと私たちは信じています。改めてこの企画を一緒に考えてくださったみなさまに感謝申し上げます。最後に、これをきっかけに一人でも多くの人が『一緒にごはんを食べようよ』と思ってくださることを心から願っています。」
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第17回読売・日テレ アドバタイザー・オブ・ザ・イヤー 贈賞式
この後、「第17回読売・日テレ アドバタイザー・オブ・ザ・イヤー」の贈賞式が行われました。受賞した味の素を代表して、味の素の藤江太郎執行役会長に読売新聞グループ本社の山口寿一社長からトロフィー、日本テレビ放送網の杉山美邦会長から副賞が贈られました。

(左から)山口社長、味の素 藤江太郎執行役会長、日本テレビ放送網 杉山美邦会長
「読売・日テレ アドバタイザー・オブ・ザ・イヤー」は、読売新聞と日本テレビでその年のエポックとなる顕著な広告活動を行った企業や人物に贈られます。
味の素は、新聞では、パリ五輪・パラリンピックでのTEAM JAPANの活躍をサポートする取り組みを純広告・企画紙面の体裁を使い分けながら多くの読者に届けました。また、現代社会で課題となっている「孤食」に対する新たな考え方として「心理的共食」を提案。家族やパートナーがそろわなくても食事を通して団らんを感じられること、味の素があらゆる形で「共食」を応援し続けることを、デジタルを組み合わせた新しい広告活動で啓蒙し世の中に強く印象付けました。
テレビでは、長きにわたって人気バラエティ、情報・報道など、幅広いジャンルの番組を提供し、魅力的な広告発信で、視聴者との良好なコミュニケーションを構築しました。健康意識を高めるキャンペーン「日テレ系カラダWEEK」10年目の節目に、ゴールドスポンサーとして初参画。特別番組「アベノグルメ~健康になれる黄金レシピ」もスポンサードし、アスリートの栄養学など視聴者に有意義な情報を届け、多方面から高い評価を得ました。
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読売・日テレ 広告感謝の会を開催
続いて、日頃お世話になっている広告主や広告会社の皆様をお迎えしての「読売・日テレ 広告感謝の会」を立食形式で開催しました。会には約1,100人が参加し、昨年以上の来場者で大いににぎわいました。
