読売新聞ビジネス局・イノベーション本部ポータルサイト adv.yomiuri

STORYストーリー

あばれる君が地元生産者と作る魂の一杯
白河ラーメンの魅力を全国に伝えるテレビ番組をYBSが担う

白河ラーメンの魅力を全国へ──。その思いを形にするため、白河市と読売新聞、そしてテレビ局がタッグを組み、地元出身のあばれる君を迎えてテレビ番組を制作。あばれる君が地元生産者を訪ね、麺・豚肉・醤油といった地元食材を集め、魂の一杯「特製白河ラーメン」を作り上げる物語だ。自治体PRとしては異例の挑戦となった今回の企画。その舞台裏を、行政・制作・企画の三者に聞いた。

白河市 産業部観光課観光振興係 主査 宮田 啓 氏(中央)、福島中央テレビ コンテンツ制作局 局次長 菅澤 大一郎 氏(左)、YOMIURI BRAND STUDIO プロデューサー 岩瀬 浩太郎(右)

白河市 産業部観光課観光振興係 主査 宮田 啓 氏(中央)
福島中央テレビ コンテンツ制作局 制作担当局長 菅澤 大一郎 氏(左)
YOMIURI BRAND STUDIO プロデューサー 岩瀬 浩太郎(右)

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

BS日テレにて、2025年10月12日放送(©BS日テレ)

動画はBS日テレ公式YouTubeチャンネルで視聴できます。

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜(外部サイトへ遷移します)

白河ラーメンを全国へ、テレビ番組制作で自治体PR

宮田氏

――まず、今回、読売新聞に依頼して制作した30分のテレビ番組と、その番組宣伝を兼ねた新聞広告制作の背景をお聞かせください。

宮田氏 白河ラーメンのPRは昨年度から続く取り組みです。白河市が有する観光資源は多彩ですが、全国に向けて強く印象づける“象徴的な存在”はまだ限られています。その中で、地元が誇る食文化であり、市民の多くが胸を張って推薦できるのが白河ラーメンです。昨年度は新聞を中心にPRを行ってきましたが、その成果を踏まえ、今年度はさらに効果的な新たなPR展開を検討していたところ、読売新聞から「テレビ番組を制作してはどうか」という提案がありました。新聞とテレビを組み合わせることで、情報の伝わり方に広がりが生まれる。そこに強い可能性を感じ、前向きに動き出したのが今回の企画の出発点でした。

――番組では震災以降の風評被害についても触れられていました。今回の番組には、風評の払拭の意味合いもあったのでしょうか。

宮田氏 震災直後は明らかに感じられた風評被害ですが、最近では直接見聞きすることはほとんどなくなりました。しかし、アンケートなどを見ると、依然として「福島産」に不安を感じる人が一定数存在しています。そこで、風評払拭をメインテーマに掲げるのではなく、番組の中に自然に織り込む形を選びました。白河の生産者たちが誇りをもって仕事に向き合っている姿を伝え、それが結果として誤解や偏見を解くことにつながるような構成をお願いしました。

オンエアはBS日テレで全国に、番組制作は地元・福島中央テレビが担当

――番組は、あばれる君が地元の生産者をめぐって食材を集め、「あばれる君特製白河ラーメン」を作るというストーリーでした。

宮田氏 それも提案を採用させていただいた大きな理由です。白河地域にラーメン店は100店舗以上ありますが、特定のお店だけを紹介すると、どうしても“取り上げられなかった側”とのバランスに配慮が必要になります。その点、麺・豚肉・醤油といった地元の食材をめぐり、各生産者に光を当てる今回の企画は、白河ラーメンそのものの魅力を素直に伝えられる見せ方でした。特定店舗に依存しない構成なので、白河の“良いところ”を公平に、しかも分かりやすく発信できる点がとても良いと思いました。

©BS日テレ

©BS日テレ

――実際の番組制作はどのように行われたのでしょうか。

岩瀬 クライアントの課題解決のために読売新聞グループの多様なリソースを生かした最適な提案を行い、関係者と調整して提案を実現していくことがYOMIURI BRAND STUDIOの重要な役割の一つです。今回は、まず新聞社の営業担当から白河ラーメンをPRする番組を制作できないかという相談を受けたのがスタートです。番組化するための確認・調整をBS日テレと行い、「このような展開なら番組として成立し、クライアントの課題解決にもつながるのではないか」という大まかなストーリーとあばれる君出演のアイデアを提案しました。番組の制作では、地元を熟知している福島中央テレビにお願いするのがベストと考え、今回ご一緒させていただくことになりました。その後も、今回の番組制作の責任者になっていただいた菅澤さんと、企画内容を視聴者にわかりやすく伝えるためにはどうしたらよいか、具体的なロケ先や演出方法を関係各位で詰めていきました。

菅澤氏 番組に出演する生産者については、地元のテレビ局ですから、夕方の情報番組や報道を通じて、普段からお付き合いのある方がたくさんいます。番組に出演していただく生産者は、視聴者を含め市民の納得感が得られる行き先ということを最優先に選びました。ラーメン店の「火風鼎」は、「日本ご当地ラーメン総選挙2024」で日本一になっている店です。菊忠製麺は、地元農家と提携して「なつこ」というオリジナル小麦を自家栽培し、コシの強い白河ラーメンにうってつけの麺を作っている製麺所です。ヤマボシ醤油は、全国醤油品評会で「吟上」が2年連続優秀賞を受賞している白河で最も歴史のある醤油店です。肉の秋元本店は、県内外の食肉コンテストや品評会で数々の受賞歴があり、特に自社ブランドの「白河高原清流豚」は、肉質・味ともに優れた豚肉として高く評価されています。最初の提案では、日頃の番組作りで出会った情熱を持って地元で活躍する生産者を推薦し、白河市の意見とマッチングさせながら決定していきました。

宮田氏 地元を熟知するテレビ局の推薦は、出演生産者の選定の大きな後押しになりましたね。

宮田氏

「日本ご当地ラーメン総選挙2025」が11月26日〜30日、新宿大久保公園で開催された。昨年に続き日本一を期待されて参加した火風鼎。宮田氏も応援に駆け付けたが、惜しくも結果は2位。

あばれる君が結ぶ地元の力

――生産者の出演交渉はどのように行ったのでしょうか。

宮田氏 あばれる君のお陰で、生産者の皆さんは本当に協力的でした。画面からはわかりませんが、撮影の時も地元の大勢の人たちが詰めかけ、地元が一つになれたという意味でも、あばれる君のキャスティングは効果があったと思います。

菅澤氏 あばれる君は白河高校の出身で、普段から白河ラーメン好きを公言し、自分で白河ラーメンを作ってしまうほど地元愛に溢れた、地元のスター的存在です。

――宮田さんも番組に出演されていますが、当初の台本通りだったのでしょうか。

宮田氏 ロケハンの際、私が撮影スタッフをご案内していたのですが、案内が終わったあと急に「出演してもらえませんか」と声をかけられました。私はまったくの素人ですし、戸惑いましたが、最終的には出演することにしました。

菅澤氏 ロケハンのとき、宮田さんが白河ラーメンの魅力をとても熱心に語られていましたし、生産者の皆さんとの関係性も深く、地元の空気を自然に伝えてくださる方だと感じました。そうした宮田さんの思いを、あばれる君が受け取る形で一緒に訪ね歩くほうが、番組としての説得力や物語性が高まる・・・、そう判断したんです。一人で回るよりも、地元をよく知る方と同行していただいたほうが視聴者にも伝わりやすいと考え、その場で出演をお願いしました。当初は宮田さんの登場は想定していなかったのですが、結果として非常に自然な形になったと思います。

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

©BS日テレ

テレビ番組の宣伝を兼ねた新聞広告も掲載

――今回は番組のオンエア前日に、番組宣伝を兼ねた新聞広告も掲載しています。

宮田氏 全国放送の前日、テレビ番組の宣伝を兼ね新聞広告を掲載しました。紙面はラーメン丼の赤をイメージし、白河ラーメンのおいしさとあばれる君の明るく楽しそうな感じが伝わる紙面にしています。紙面の掲載は首都圏の1都3県ですが、増し刷りを地元のイベントなどでも配ってPRに活用するようにしています。

2025年10月11日朝刊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

2025年10月11日朝刊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)

――テレビ番組や紙面の反響はいかがでしたか。

宮田氏 放送後、出演された生産者の方々からは温かい感想をいただき、市内のラーメン店でも番組をご覧になった方から声をかけていただく機会が増えました。行政のPRでは、多少のご意見やご指摘を覚悟するものですが、今回はそうした反応がいまのところまったくなく、むしろ好意的に受け止めていただけたと感じています。もちろん、白河ラーメンはもともと行列ができるほど人気があるため、番組によって直接的にラーメン店の来店者が増えたというわけではありません。一方で、観光課として特にうれしかったのは、紙面の反響調査において「白河に行ってみたい」との声が多く寄せられたことです。白河市は、那須や会津といった観光地に挟まれながらも、これまで観光地としての認知が十分とはいえませんでした。那須を訪れた方に白河まで足を延ばしていただく、あるいは白河を奥会津観光の拠点として選んでいただく——そうした動きが生まれることを期待しています。その入口として、白河ラーメンが役割を果たしてくれればと考えています。

市民を巻き込んだ自治体PRという新たな試み

――今回、白河ラーメンのPR番組の制作に携われた率直な感想を聞かせてください。

菅澤氏

菅澤氏 弊社が番組制作のみを担う形でプロジェクトに参加するのは今回が初めてで、私たちにとっても非常に貴重な経験になりました。福島中央テレビは日ごろ福島県向けの番組制作と放送を行っており、今回のように県外、しかも全国放送を前提とした番組制作に取り組む機会はありません。また、県内に複数民放局がある中で、自治体の周年事業などのPR番組に携わることはありましたが、白河ラーメンという一つのテーマを深く取り上げる番組を一社のみで担当するのはありませんした。情報番組や報道を通じて培ってきた地域の情報収集力やコンテンツ制作力が、今回の番組制作において評価されたのであれば、うれしい限りです。

岩瀬 YOMIURI BRAND STUDIOとして動画コンテンツや番組の制作を手掛ける事例も増えてきました。また、日本テレビネットワーク局と連携した事例も増えてきています。たくさんノウハウ、知恵、技術をもった各社と手を取り合うことで、読売新聞だけでは解決できないクライアントの課題にも様々な提案ができます。今回のような取り組みを今後も増やしていければと考えています。

――今後、どのような展開を考えていますか?

宮田氏 今回の白河ラーメンのPRは、行政が行う施策としては、これまでにない踏み込み方をした取り組みだったと感じています。今後についてはまだ具体的に決まってはいませんが、継続することで少しずつ浸透していく部分もあると思っています。方向さえ間違っていなければ、回を重ねることで、より多くの方に白河の魅力が届くのではないでしょうか。その際に大切になるのは、市民の皆さんに関わっていただくことだと考えています。これまでの行政広報は「お知らせ」を伝えるものが中心でしたが、観光PRは“来ていただく”ことが目的です。実際に訪れた方を迎えるのは行政ではなく地元の皆さんですから、地域の温かさや協力が欠かせません。今回のように市民を巻き込みながら発信することで、新しい動きが生まれる可能性があると感じています。

――“あばれる君シリーズ”として今後も続く予定は?

宮田氏 現時点では何とも申し上げられませんが、次回作を期待してくださる方が増えることを願い、番組の最後に「To Be Continued(つづく)」と入れました。気づいた方が少しでもいれば、うれしいですね。

あばれる君の白河ラーメン〜生産者と創る魂の一杯〜

©BS日テレ
火風鼎で開催されたあばれる君特製白河ラーメンのお披露目には、白河市長、食材を提供していただいた地元生産者に加え、ご当地キャラのダルライザー、しらかわんも参加。次回はどんな展開に

Page
Top