ふなっしーが都城市に移住?!
シティプロモーションをパワーアップする新聞広告
宮崎県都城市の移住促進キャンペーンに起用されたのは、千葉県船橋市の非公認キャラ・ふなっしー。7月14日の朝刊には躍動するふなっしーが紙面いっぱいに迫る新聞広告が掲載された。都城市は2021年、2022年にも同市出身の温水洋一氏を起用した都城市をPRするユニークな新聞広告を掲載し、話題になっている。
2023年7月14日全国朝刊
2022年12月10日全国朝刊
10年後の人口増を目標に移住・定住特設サイトを設置
宮崎県都城市
総合政策部人口減少対策課人口政策担当
新坂 斉士 氏
――都城市の概要を教えてください。
新坂氏:宮崎県の南西端に位置する都城市は、「島津家発祥の地」と言われる所です。高速道路と高規格道路(自動車専用道路)、JR線、40キロ圏内に宮崎空港と鹿児島空港の2つの空港があり、陸海空の交通インフラが整う都市機能と豊かな自然が適度に共存する人口約16万人の南九州の拠点都市です。農業産出額が3年連続日本一の「畜産のまち」であり、売上高日本一を誇る酒造メーカーが立地する「焼酎のまち」でもあります。さらに、ふるさと納税でも全国的に人気を博していて、これまで4度、ふるさと納税受入額日本一に輝いています。
――都城市の移住支援施策について概要を教えてください。またこのタイミングで施策を強化されたのはどうしてですか。
新坂氏:都城市では「10年後に人口増加へ!」という目標を掲げ、今年度から人口減少対策として積極的に移住・定住支援を推進しています。その大きな柱が、日本トップレベルの移住応援給付金制度と、「第1子からの保育料完全無料化」「中学生までの医療費完全無料化」「妊産婦の健診費用完全無料化」という子育て支援のための「3つの完全無料化」です。こうした情報を全国のみなさんに知ってもらい、移住・定住先としての都城市の魅力に注目していただきたいという狙いで開設したのが、「住めば住むほど都城」移住・定住特設サイトです。
ふなっしー起用で他の自治体と差別化
――ふなっしーをアップにした思い切ったクリエイティブの新聞広告を7月14日に掲載しました。狙いは何ですか。
新坂氏:インパクトのあるキャラクター、デザインで特設サイトへの誘導を促進するためです。明らかに移住しなさそうな人が、都城に移住したら大きな話題になる。認知度、好感度、ともに高いということで、ふなっしーを起用させていただきました。また、新聞広告については、過去のふるさと納税の広告掲載で手応えを知っていたので、移住促進キャンペーン時には新聞広告を使おうと考えていましたが、絶妙なキャラクターの起用でうまく活用することができました。
――ふなっしーは千葉県船橋市の「非公認キャラクター」ですが、その点は問題なかったのでしょうか。
新坂氏:船橋市に確認を取りましたが、非公認ということで問題はありませんでした。逆に、船橋市という「色」があるからこそ「都城市に移住する」ギャップが強調できます。移住施策はさまざまな市町村が打ち出していて、そことどう差別化するか、都城市がほかの自治体から抜きん出ることが大事です。ありきたりなPRだと埋もれてしまいます。
左から池田宜永市長、ふなっしー
――新聞広告掲載の前日7月13日に、池田市長とふなっしーが登場する移住促進キャンペーンのPRイベントを、東京都内で開催していますね。
新坂氏:もちろん、翌日の新聞広告との相乗効果を狙ったものです。池田宜永市長からふなっしーに特別住民票を交付し、ふなっしーの兄弟274人分を含む移住応援給付金を渡すイベントです。同時に、ふなっしーが都城市に移住体験する動画も公開しました。都城市の移住応援給付金制度は、1世帯あたり最大300万円の基礎給付金に、子ども(18歳未満)1人あたり100万円を加算して給付するというものです。ふなっしーは「梨妖精界」で274人兄弟という設定なので、給付金は、基礎給付金と合計して2億7,700万円になる。あくまでフィクションですが、多くのメディアにも取り上げられ、都城市の充実した移住応援給付金制度とふなっしーのキャラクターをうまく連動できたと思います。
動画でも大活躍のふなっしー
都城市は、全国で行われる移住相談会にも積極的に参加、情報発信を行っている(2023年9月・東京開催の様子)
――今回の移住促進キャンペーンの反響はいかがでしたか。
新坂氏:移住相談件数は確実に増えましたし、また、移住を検討しようと思った理由に、新聞広告や特設サイト閲覧に加えて、「PRイベントやそのニュースを見て」も挙がっています。ただ、商品購入や観光と違って、移住はその人の人生に関わってくることなので決定までに時間がかかります。今回のキャンペーンをきっかけに実際に移住される方が増えるのは、これからだと思います。
「ふるさと納税」はシティプロモーションのツール
宮崎県都城市
ふるさと産業推進局ふるさと納税担当 櫻井 拓也 氏
――2021年、2022年末には、都城市出身の俳優・温水洋一さんを起用したユニークな新聞広告を掲載されていますね。
櫻井氏:この新聞広告は、都城の地場産品、特産品の美味しさが本物であることを活用して都城市のPRを狙いとしたものです。2021年の新聞広告のきっかけは、温水さんを起用したyoutubeの動画でした。都城市産の畜産物や焼酎に囲まれたイケメンは、実は温水さんをプロが変身させた、今どきの言い方をすれば“盛った”偽物。でも、「都城市の肉と焼酎の美味しさは本物です」というのが、このプロモーションのコンセプトです。動画の反響が非常によく、新聞広告で展開することで認知を一気に広げることができたのです。
2021年12月4日全国朝刊
動画で「真実」が明かされた
――2022年末は温水さんがブレイクダンスをする動画と新聞広告でした。
櫻井氏:2022年もコンセプトは同じです。最初に動画を公開しています。「激しいブレイクダンスをする温水さんは実はプロのダンサーの映像との合成でした」というオチでまず動画をバズらせ、その後、新聞広告で「都城市の特産品の良さ、肉と焼酎の美味しさは本物」という認知を全国に広げることを狙いました。
――今後のPRについてはどのようにお考えですか?
新坂氏:池田市長の方針でもあるのですが、ふるさと納税はあくまで対外的なシティプロモーションのためのPRツールという位置付けです。ふるさと納税の返礼品にも都城市の移住・定住情報が記載されたチラシを同梱しています。つまり、ふるさと納税も新聞広告や動画と同じように、都城市の良さを伝えていく対外的PRツールの一つです。今後も、都城市への観光や移住に繋がるようなシティプロモーションを積極的に展開していきたいと思っています。
東京ドームで「キャンプ地 都城DAY」を開催
左から 読売ジャイアンツ オフィシャルマスコット「ジャビット」、池田宜永市長、秋広優人選手、都城市PRキャラクター兼PR部長・ぼんちくん
49年ぶりに読売巨人軍3軍の春季キャンプ地となった都城市は、8月25日に東京ドームで行われた巨人・阪神戦で、「キャンプ地 都城DAY」を開催しました。
当日は、「都城への旅:ペア宿泊・航空チケット」や「都城産宮崎牛」が抽選で当たるラッキーカードの配布や、都城市のPRブースを設置。野球ファンに都城市の魅力をアピールしました。