ojo interview 2005.10/vol.8-No.7

岩崎 俊一氏
岩崎 俊一氏

 政府・環境省の「チーム・マイナス6%」などを手掛け、多忙を極めるトップランナーの一人。明治屋、積水ハウス、西武百貨店をはじめ、「21世紀に間にあいました。」(トヨタ「プリウス」)、「美しい50歳がふえると、日本は変わると思う。」(資生堂)など記憶に残る作品は数知れず。
 20代後半のある日の夜中、翌朝に提出するための大量のコピーを書いていて、突然、「自分のからだから流れ出す言葉で書く」ことがわかったという。
 「僕らの仕事は感受性のたまものです。僕は人よりも傷つきやすいし、人よりも面白がるし、そういう『震える気持ち』をいつまで持てるか、ですよね」
 乱読系の読書好き。夏目漱石の「こころ」を読んで、手紙の文章の美しさに触発されたのが、コピー術に生きている。
 「リズム感を確かめながら、極めて平易な言葉で、一つ一つ腑(ふ)に落ちていくように、わかりやすく語りかけていく。世の中の一人一人に宛(あ)てて手紙を書くという感じです。特に新聞広告では、大人を想定しながらお話しできるのがうれしい」
 コピーとは、「作る」ものではなくて、「見つける」ものだという。
 「真実とか本質は、すでに世の中に存在していて、どこかに隠れたり漂っていたりするわけです。それを探してみんなの前に連れてくる。つまり、企業や商品の存在理由や意味を見つけるのが、僕らの仕事の醍醐味(だいごみ)です。企業のメッセージを確かな文章できちんと伝えられるコピーライターは、今後さらに重要な存在になると思いますね」
 負けた翌日は仕事で打ち合わせに来る人が嫌がるほどの巨人ファンだが、かつては広告業界でも速球投手として名を馳(は)せた、自称「体育会系コピーライター」。ゴルフもかつては70台を出せる腕前だったが、最近の休日はもっぱらテニスに励んでいる。
 日焼けした精悍(せいかん)な笑顔で、「休日がこんなに楽しいのは、スポーツのおかげですね」

文/横尾一弘  写真/小宮雅博

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