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読売出版広告賞

ごあいさつ

読売新聞東京本社 取締役ビジネス局長 坂本 裕寿

 2023年はサムライジャパンのWBC優勝やバスケットボール、バレーボールなど各種スポーツで日本代表の活躍が話題になりました。コロナ禍が明けて声出し応援が解禁になり、スタジアムや体育館では親子で応援する姿が多数見受けられました。世代を超えて観戦し、盛り上がったご家庭も多いのではないでしょうか。

 年間ベストセラーも『大ピンチずかん』『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』など子供向けでありながらも幅広い層に支持された本が人気を集めました。親子で「こんな失敗あるね」「こんな気持ちになるよね」と笑い合いながら本をめくったり、子供の記憶力に驚きながら楽しく学習したりしている様子が目に浮かびます。

 デジタル化やインターネットの普及に伴う多メディア時代となり、我々は日々玉石混交の大量な情報にさらされています。本年11月に創刊150年を迎える当社は新聞本紙に加え、子供目線で創る読売KODOMO新聞、読売中高生新聞といった媒体でも長年培った質の高い記事を掲載し、お陰様で高い評価を頂いています。これからも紙面で様々な雑誌・書籍を紹介し、良質な出版広告を掲載することで、皆様と共に活字文化を守り育て、日本の出版文化も盛り上げていきます。

 さて、出版界のさらなる発展と出版広告の活性化に寄与することを目的として1996年に創設された「読売出版広告賞」は、今回で28回目を迎えました。過去1年間に読売新聞に掲載された出版広告を対象に厳正なる選考を行った結果、大賞に講談社様、金賞に宝島社様、銀賞に文藝春秋様、銅賞に光文社様、特別賞にKADOKAWA様が選ばれました。特に大賞に選ばれた講談社様の広告「ブルーバックス60周年」は、これまでブルーバックスが様々な年代の読者に与えてきた、知らないことや分からないことに出会えるという読書本来の喜びを広告として表現しています。幅広いジャンルを取り上げ、日々知らないことに出会えるというブルーバックスと新聞の共通点を生かした見事な新聞広告です。一組でも多くの親子がブルーバックスを手に取り、素晴らしい読書体験をつなげていってほしいと思います。その他受賞作についても、いずれも選考委員から高い評価を得た上での受賞であり、受賞各社の皆様に心からお祝い申し上げます。

 今後もこの「読売出版広告賞」が、出版界のさらなる発展と広告活動の活性化に寄与できるよう努力してまいります。関係者の皆様には、引き続き変わらぬご支援を賜りたくお願い申し上げます。

 最後になりましたが、選考をお願いした先生方に深く感謝申し上げます。


第28回受賞作品

第28回読売出版広告賞は、2022年12月9日から2023年12月1日までに読売新聞に掲載されたすべての出版広告が賞の対象となっています。

大賞

講談社「ブルーバックス60周年」
2023年9月21日付朝刊 全5段見開き
講談社「ブルーバックス60周年」
講談社「ブルーバックス60周年」
  • 制作/かわむら家
  • クリエイティブディレクター/川村行治
  • コピーライティング/川村行治
  • プランナー/川村成生
  • アートディレクター・デザイナー/竹田麻衣子(Lim)国分キヨト
北村薫 選評
 紙面を開いた時、左右の面が問いかけ答える呼応の見事さ。読み手は、その間にいる。
 書籍の表紙の並ぶ片面だけでも広告として成立している。それがこの形をとったことにより、足し算ではなく、まさに掛け算というべき効果をあげている。さらにカラー広告の「ブルー」という色までもが雄弁なのだ。
 また一方の面がブルーバックス創刊60周年の告知を、単に支えるものではなく、確実に訴える力を持つ、もう一つの広告となっている。
 新聞という媒体の特質を、見事につかんだ作品として、全選考委員一致で、これを推した。

金賞

宝島社 企業広告「団塊は最後までヒールが似合う。」
2023年1月5日付朝刊 全30段
宝島社 企業広告「団塊は最後までヒールが似合う。」
  • 制作/電通
  • クリエイティブディレクター/古川裕也(古川裕也事務所)
  • クリエイティブディレクター/磯島拓矢(電通)
  • コピーライター/上田浩一(上田家) 
  • コピーライター/小山佳奈(上田家)
  • アートディレクター/今井祐介(電通)
  • フォトグラファー/Fish Zhang(beauty direction)
  • エージェンシープロデューサー/山下けい子(電通クリエーティブフォース)
  • アカウントエグゼクティブ/島田裕一郎、有賀美奈、飯塚陽子(電通)
中江有里 選評
 「中尾ミエさんはヒールが似合う」
 それが広告を見た第一印象だった。じっくりと見てみるうちに「ヒール」がダブルミーニングだと気づいた。
 「ヒールが似合う」と言い切っているが、これは多分願いだ。行く先を見失い、炎上を恐れがちな私たちに生き様を見せてほしい。そんな出版社であってほしい。
 叩かれてもへこたれない。疎まれながらもたくましいヒール万歳!

銀賞

文藝春秋「竜馬がゆく 文藝春秋100周年」
2023年1月1日付朝刊 全5段
文藝春秋「竜馬がゆく 文藝春秋100周年」
  • 制作/文藝春秋宣伝部
  • アートディレクション/関口聖司(文藝春秋デザイン部)
植田滋 選評
 男の髪が前方へ流れている。時代の風が後ろから吹き、背中を押しているかのようだ。男の目が前方を見据えている。未来を虚空に描き、切り拓こうとしているようでもある。
 男は坂本龍馬。司馬遼太郎の歴史小説『竜馬がゆく』がコミック化され、週刊誌連載と単行本化が進むことを伝える。その魅力を、ぎゅっと一枚の絵で表現した。
 この小説から生きる力をもらった読者は多いだろう。文藝春秋は創立100周年に際し、作中から「道は百も千も万もある。」との言葉を引き、これからの100年、変化を恐れないことを宣言した。正月にふさわしい、気持ちを新たにさせる広告だ。

銅賞

光文社「心をととのえるスヌーピー」
2023年1月1日付朝刊 全5段
光文社「心をととのえるスヌーピー」
  • 制作/奥沢潔(株式会社パークデザインオフィス)
北村薫 選評
 東洋の知恵について、親しみやすい何かとあわせて語る本は、すでにいくつか出ている。また禅語についての書籍も珍しくない。それだけに、どう扱うかは実に難しい。
 この作は、誰にも親しみやすいコミックを前面に出している。一見、簡単そうだが、スヌーピーにひかれて目をやると、担当者が対象の本を深く読み込み、ここしかないーというところを抜き出していると分かる。
 「不立文字」から「本がすべてじゃない」、そして……という繋がりが巧み。文字の流れから自然に右下の本に導かれる流れも見事だ。
 誠実にして緻密な作品である。

特別賞

KADOKAWA「苺ましまろ」
2023年2月25日付朝刊 3段8割
KADOKAWA「苺ましまろ」
  • 制作/株式会社KADOKAWA宣伝局
  • クリエイティブディレクター・コピーライター/阿部崇平
  • デザイナー/佐藤史子(株式会社クレディオ)
嶋浩一郎 選評
 「ロッカーに常備ってなんだよ!」とついツッコミをいれてしまいたくなるとぼけたコピー。まるで若手芸人の大喜利のボケのようだが、読者があれこれ意味を解釈しはじめることでこの広告はもはや成功している。
 『苺ましまろ』は5人の少女の日常をシュールに描くコミックだが、その世界観をサンヤツという小さな空間にパワフルに解き放っている。かための書籍も横に並ぶ朝刊一面の広告の中で、異彩を放ち、まさにマニアックでシュールな世界を出現させている。
 ところで、ロッカーに漫画を常備している人っているの?

(敬称略)

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