adv.yomiuriトップページへ

ojoトップ  > 広告リポート  > from Europe  > 世界No.1を誇る、欧州企業の広告クリエイティブ

広告リポートfrom Europe

(Thu Feb 05 10:00:00 JST 2015/2015年2・3月号 from Europe)

世界No.1を誇る、欧州企業の広告クリエイティブ
国友 俊   パリ駐在

  デンマークの知育玩具メーカー「レゴ」。誰もが一度は子どもの頃、手に取ったことがあるおもちゃのはずだ。実際、パリに住む我が家の子どもたちもレゴに夢中で、早くもクリスマスのプレゼントに熱望している。

  同社は10年前、深刻な赤字に陥っていた。しかし、トップが交代して大改革に取り組み、「女の子向け」「教育版」「ビデオゲーム」「映画」など画期的なアイデアを生み出し、2013年12月期までに6期連続で最高益を更新。2014年上半期では11%の増収を達成して、長年トップの座にいた米マテル社のバービー人形を抜き去り売り上げで世界首位となった。今や玩具メーカーの域を超え、アナログとデジタルの両方を模索する世界的なコンテンツ企業と言われるまでに成長した。

  そのレゴの企業理念に沿った、最近の広告クリエイティブが実に面白い。2013年の広告キャンペーン「Imagine(想像してみよう)」では、コピーのImagine以外何の説明もない。ビジュアルにはレゴブロック一つと、鳥カゴやネズミの穴など、いたってシンプルな線だけのデザインが周りに描かれている。読者に自由に発想してもらい、各々が想像の中のレゴブロックを組み立てる。いい大人が動物をイメージしてブロックで奇麗に組み立てられるかどうか、試されているような気分になる広告だ。

  この他にも、昨年フランスで制作されたプリント広告「ON PARDONNE TOUT À LEUR CRÉATIVITÈ(クリエイティビティはすべてを許してくれる)」が注目を集めた。遊び心たっぷりのビジュアルで、女性のカラフルな下着をパラシュート代わりにしてレゴキャラクターが落下しているものや、冷凍庫の中に氷のかまくらをレゴで作ってしまう兄弟が登場するなど、子どもたちのいたずら心を上手く表現していて、微笑ましい。

  もう1社、注目したい企業がフォルクスワーゲン(VW)だ。2014年の自動車世界販売台数では、トヨタを猛追しながらも、わずかに数万台で及ばなかった。同社の一貫した、工夫あふれる広告クリエイティブは欧州で評価が高く、1960年代に注目を浴びたビートルの広告「Think small」に始まり、今も受け継がれていると感じる。この時代の自動車広告は、新車の情報を詰め込んだ、説得型の広告が多かったが、シンプルなコピーとビジュアルで、新しく画期的な広告スタイルを作った。その後、アップル社のスローガン「Think different.」にも影響を与えたと言える。

  このVWが、最近ドイツ企業ならではの「モノづくり哲学」を訴える広告として、今年1月に仏パリで掲載した「PEOPLE FIRST(人々のことが何よりも優先)」がある。おもむろに設計用の粘土が登場し、車のデザインメイキングの過程をフィーチャーした内容で、車体のデザインよりも、乗車する人々のイメージを先に完成させている。自動車の広告と言えば、デザイン、環境性能などを訴求することがオーソドックスだが、普段、人の目に触れることのない制作現場を整然と見せることで、企業の考え方をストレートに伝え、ブランド全体のイメージを押し上げるものとなっている。

  業種は違えども、世界トップを争う両社の広告には、究極にシンプルなコピー&ビジュアルが共通していることが、興味深い。

国友 俊・パリ駐在

「車の相乗り相手」を探すサイト“Bla Bla Car”が仏で人気だ。運転手はサイトに空席情報をアップすると同乗者を探すことができ、乗りたい人は評判の良い運転手を検索できる。費用も明確で他の交通機関よりも安い。