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広告リポートfrom Europe

(Tue Aug 05 10:00:00 JST 2014/2014年8・9月号 from Europe)

成功の“カギ”となる広告コピー
国友 俊   パリ駐在

  米国複合企業大手のゼネラル・エレクトリック(GE)が、仏重電大手のアルストムを買収するというニュースが世界中をにぎわせた。年初に騒がれた「仏自動車大手 プジョー・シトロエングループに中国資本が参入」という大ニュースに次ぐ買収騒動だったため、仏大統領までもが介入し、注目を浴びたのだ。

  フランスに長く住む日本人によると、「日本に置き換えれば、トヨタや日立が他国の大企業に買収されるようなもの」らしい。政府が乗り出してまで口を出したくなる気持ちも、心情的には理解できる。

  実はこのGEだが、一連のフランス政府による介入を事前に見越して、仏国内の各大手新聞に全面広告の企業広告キャンペーンを連日展開していた。シリーズ第一弾では、メーンコピーが「“Demain sera Made in France”=明日はメードインフランスになるだろう」。政府関係者を含むオピニオンリーダーに対して、仏国内で必ず多くの雇用を生み出す新しい産業を創出すると宣言したのだ。続く第二弾でも「“Construisons ensemble le futur”=未来を一緒に作る」とうたい、同社とフランスとの関係は100年前まで遡り、現在は1万人以上が航空機のエンジンやタービン、医療機器をフランス国内で作っていることを知らしめた。これらは三菱重工・シーメンス連合の動きを想定したキャンペーンであり、そのPR戦略の機敏さには目を見張るものがある。一歩も二歩も先手を打ち、対アルストム経営陣だけでなく、企業ビジョンを訴える“戦略的コピー”を的確なタイミングで幅広い読者に提言できたことが良い結果を引き寄せたとも言える。

  話題を転じて、今年も世界最大級の広告祭「カンヌ・ライオンズ2014」が6月に行われた。受賞作品の中で面白いアイデアが見られたので紹介したい。まずは、仏食品ブランドMilka(ミルカ)のキャンペーン「“the last square”=最後の一口」。自分の好きな人にメッセージ付き手紙で、チョコの一かけらを郵送プレゼントできるという内容だ。店頭で手にした商品には板チョコの一部分だけ欠けているというユニークなパッケージデザインで、同社の製造ラインを変えてまで展開。なんと5000万個を販売した。商品を購入し、ネットで宛先を打ち込むだけで、“思い”を伝えられるのがミソ。ブランドメッセージにある「“Dare to be tender”=優しさへの挑戦」に合致したキャンペーンコンセプトには深く共感した。

  また、スイスの食品ブランドNestle(ネスレ)は誰もが知るブランドメッセージ“Have a break, have a KitKat”に上手く遊びを加えたキャンペーンを展開した。バス停にある街頭の交通広告から、突き出る“一名分の席”を不思議そうに見る通行人。赤一色の広告には「〇月〇日、〇時〇分にこの席に座っていた人はタブレット端末Nexus7がもらえる」とだけ書かれている。風雨の中、何日も待ち続ける人々を面白がり、ソーシャルメディアによって拡散もされた。この仕掛けの裏には“Have a break, have a Nexus 7”が隠されている。“遊び心”のあるブランド戦略が注目を集めた事例だ。

  こうしてカンヌ上位入賞作品を眺めてみると、広告には“驚き”や“感動”を提供するフレーム(仕組み)が求められているような気がする。フレームが整えば、コピーは一言でもコンセプトが伝わる。“掛け声”みたいなものではないだろうか。

国友 俊・パリ駐在

今年で15回目となる「ジャパン・エキスポ」へ行ってきました。仏では日本のマンガなどを好むOtaku(オタク)をGeek(ギーク)とも呼び、必ずしも否定的なイメージだけでは無いそうです。印象的だったのは、“ご当地”意識が無いフランス人は「ふなっしー」を冷ややかに見つめていたことです。