<

adv.yomiuriトップページへ

ojoトップ  > 広告リポート  > from America  > 去るジーター、やってきたニシコリ

広告リポートfrom America

(Fri Dec 05 10:00:00 JST 2014/2014年12月・2015年1月号 from America)

去るジーター、やってきたニシコリ
井上 武範   ニューヨーク駐在

  「ミスター」といえば長嶋茂雄さん、「キング」といえばカズこと三浦知良さん。では「キャプテン」といえば? 米国人に聞けば、多くがデレク・ジーターの名を挙げるだろう。ニューヨーク・ヤンキース一筋20年、第11代キャプテンのジーターは、チーム黄金期を支えて5回のワールドシリーズ優勝に貢献しただけでなく、全力プレーや紳士的なふるまいで全米にファンが多い。

  そのジーターがシーズン開幕前、今季限りでの引退を表明したものだから、ファンは勇姿を目に焼き付けようと最後まで盛り上がった。ESPNによると、球団が販売したチケットは戦績不振をよそに昨年から12万4,000枚増加、少なく見積もって650万ドルの売り上げ増をもたらした。また地元局が中継した9月25日の本拠地最終戦の視聴者数は、ジーターがサヨナラヒットを打った午後10時15分から10時30分の時間帯で199万人に達し、同局の最多記録となった。

  ジーター商戦も過熱した。ライセンスを受けた25以上のメーカーが記念ロゴをつけたグッズを作り、ヤンキースタジアム内売店でのジーター関連商品の売り上げは、昨年から690%増加した。スポーツライセンス商品を扱うネット通販最大手のファナティックスでも、関連商品は昨年比10倍の売り上げがあったという。

  ジーターと契約する企業もこの熱狂に加わる。腕時計のモバードは9月25日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に広告別刷りを出し、背番号の2が強調された限定商品と、ジーターの過去20年での印象的なシーンを取り上げた。

  キャリア最終戦が行われた9月28日にはスポーツ飲料のゲータレードが、ジーターのファンへのメッセージを載せた全面広告をNYTに掲載した。ジーターが地元ファンと交流する「Made in New York」と題するCMを9月に放送していて、新聞広告もこれに連動したクリエイティブ。またナイキも同日のNYTに、「最後にもう一度だけキャプテンに帽子をTipしよう」と呼びかける全面広告を掲載している。Tipとは帽子を軽く持ち上げて敬意を表すしぐさで、7月に放送された一般人や著名人がジーターにTipするCM「RE2PECT」が、大きな話題になっていた。

  ジーターのようなスーパースターは例外としても、多くの人が同じタイミングで注目するスポーツイベントは、マーケティング上ますます貴重な機会となっている。8月から9月に開催されたテニス全米オープンで錦織圭選手が見せた快進撃には、当地もおおいに盛り上がった。話題はプレー以外にも及び、準決勝でノバク・ジョコビッチと対戦することが決まると、USAトゥデーには「両者の対戦を待たずして明らかな勝者がいる。ユニクロだ」との記事が載った。ご存知のとおり、2人はともにユニクロとスポンサー契約を結んでいる。

  また10年以上米国に拠点を置いているからか人気も上昇中で、セレブリティー情報誌のピープルは決勝直前、「テニスプレーヤー錦織圭について知っておくべき5つのこと」と題した特集をウェブサイトに掲載した。結果は惜しくも準優勝だったが、試合翌日のNYTには、錦織選手の躍進をたたえるタグ・ホイヤーの全面広告が掲載された。アジア人が新聞広告の全面を飾ることは珍しく、誇らしい気持ちになった。2015年はヤンキースの田中将大投手が続いてくれるだろうか。今から期待が膨らんでしまう。

井上武範・ニューヨーク駐在

先月、541メートルの高さを誇る1WTCが開業しました。その4キロ北にたたずむのはニューヨーク最古の摩天楼とも呼ばれるフラットアイアンビル。1902年完成、87メートルの現役オフィスビルは、とがった頂点を北に向けて寒風をしのいでいます。