CURRENT REPORT

2009.10・11/vol.12-No.7・8

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途上国支援に女性や子どもの視点 草の根活動で“自立”促す

 今年6月、途上国に暮らす女の子が直面する問題について考える女性限定のイベント「国際協力を考える─途上国の女の子のために、私たちができること」が読売新聞の主催で開催された。協力のプラン・ジャパンは「子どもとともに進める地域開発」を標榜し、アジア、アフリカ、中南米の48か国で途上国開発を推進する国連公認の国際NGOプランの一員で、大人だけでなく子どもの視点や意見を中心にしたユニークな途上国支援を行っている。
 イベントで上映されたドキュメンタリーフィルム「Is this life?」も、プランのスタッフの指導を受けてインドの女の子が撮影したもので、彼女たちの視点で自らが置かれている厳しい現実が描かれている。プラン・ジャパンのファンドレイジング部マネージャー膳三絵氏とコミュニケーション部マネージャー池原知美氏にその活動方針などについて聞いた。

プラン・ジャパン ファンドレイジング部マネージャー 膳 三絵氏(写真右) コミュニケーション部マネージャー 池原知美氏(写真左)
――途上国開発の実際は

 途上国開発と一言で言っても、貧困の原因は複合的ですので、私たちは教育や保健衛生、住居、経済など多岐にわたる分野で多角的に支援を推し進めています。
 同じ国際NGOでも、政府に働きかけ、政策提言を中心に行う組織もありますが、プランの活動は草の根的で、実際に活動しているのも、対象国内でも紛争地帯や政府の社会サービスが全く届かない地域であったり、環境問題や気候変動の影響を大いに受けている条件の厳しい地域です。そうした地域で住民が何を欲しているのか、現状をどうとらえ、どのように変えていきたいと思っているのか、それぞれに抱えている問題を、現地のスタッフがファシリテーターとなり根気強くあぶりだし、対処法をともに考え、解決に導いていくというやり方で、最終的には住民たちがすべて自分たちでマネジメントできるようにすることが、私たちの考える地域開発です。ですから、一つの村で7年ぐらい、長いところだと十数年かかる場合もあるほどです。そのプロセスにおいて子どもたちの意見をも反映させていくという点も、私たちの活動の大きな特徴だと思います。

――子どもとともに進めることの意義は

 かつて途上国開発のあり方は、学校や保健所を建てる、井戸を掘るといったハード面の充実が中心でした。そういった支援はもちろん大切です。ただ、なぜそれらの施設が必要なのか、どのように運営すれば有用なのかということを、住民が自ら考え、行動するように意識を変えていくことが重要になっています。そこに子どもたちの力を借りると、地域のプロジェクトの進行が速くなり、非常に効率的になるのです。
 子どもは自分が出した意見が大人に認められると、すごく自信になりますし、自分で考える習慣をつけることで、小さい時分から地域の担い手としての能力を身につけることができます。大人は大人で、子どもに気づかされることも多くありますので、双方が刺激を受け、地域の発展に向けて大きな力になっていく。それを続けていくことで社会が劇的に変わっていくんですね。

――特に途上国の女の子への支援を呼びかける「Because I am a Girl」キャンペーンを実施されています

 プランの活動を進める上で浮き彫りになってきたのが性差の問題です。教育を例に挙げると、私たちは、すべての子どもたちが基礎教育を身につけ自分たちの能力を発揮できるようにすることを目的としているのですが、労働力としてあてにされていることもあり、学校に通わせてもらえない子もいます。中でも女子は家事をこなして将来は子どもを産んで、家族のために働けばいいと考えられているので、男子に比べ教育の機会は著しく制限されているのです。そのほか、早すぎる結婚や望まない妊娠、家庭での暴力や虐待など、途上国の女性にはあらゆる困難が待ち受けているのです。
 そうした現状を踏まえ、イギリスでこのキャンペーンが始まり、日本でも08年から実施しています。ドキュメンタリーフィルムの上映会を中心に、ジェンダーの専門家を招いての講演会や支援者の方による勉強会を通じて、この問題を考えてもらうきっかけになっているのではないでしょうか。

――プラン・ジャパンの今後の課題は

 現在、プラン・ジャパンの支援者は約7万人。年間約35億円の寄付金収入規模になっています。ただ、昨今の経済情勢により、支援を中止せざるを得ないという方もいらっしゃるので、サポートを取り巻く環境は厳しさを増しています。その一方で最近では若い方の支援も多くなり、世の中をいい方向に変えていきたいと考えている人は確実に増えていると感じます。
 新たな支援を増やすためには、「Because I am a Girl」キャンペーンのように、テーマを絞ったプロモーションを新聞社と展開し、具体的な活動内容を広く理解してもらうことも有効ですし、個人だけではなく、NGOとの連携を考えている企業への提案も強化していく。もちろん寄付金の使途もきちんと説明責任を果たす。こうしたことが皆様に選ばれる支援団体であり続けるために必要なことだと考えています。

6月2日 朝刊
6月30日 朝刊

(梅木)

取材メモ

 1937年スペイン内戦のさなか、一人のイギリス人記者が5歳の男の子を保護し、戦災孤児を救済するための施設を作ったのがきっかけとなり、プランの基礎となる活動が始まった。
 1983年には世界で6番目の支援国として日本事務局が設立され、現在では17か国と1地域(香港)にまで広がっている。
 支援の方法は多様で、毎月定額を拠出して子どもや住民が進める地域開発を支援する方法や、地域開発の代表的なプロジェクトから関心のあるものを選んで寄付する方法のほか、今年の5月からは、学校を拠点にした新たな支援の試み「ガオ村プロジェクト」が始まっている。「ベトナムの山間にある少数民族の集落なのですが、生活拠点が点在しているため支援活動も難しい。そこで、子どもたちが集まる学校に着目し、先生の協力も得てクラスを支援する仕組みをつくりました。いただいた支援は学校整備、教材支給、意識啓発などへ使われます。専用のHP(www.gaomura.jp)では、現地からのリポートをアップし、支援の様子が見られるようになっており、地域開発のプロセスが実感いただけると思います」と膳氏は語る。

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