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2009.10・11/vol.12-No.7・8

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「思いやり」を手助けする伝統仏教 大事な日の情報発信で身近な存在に

日蓮宗 日蓮宗宗務院 宗務総長室 情報課長 太田順祥氏

 日蓮聖人が「我、日本の柱とならん。我、日本の眼目とならん。我、日本の大船とならん」と誓いを立て、日蓮宗を開宗したのは1253年。その756年の歴史をもつ日蓮宗が、昨年の日蓮聖人の誕生日2月16日を手始めに、宗門聖日(※)など同宗にとって大事な日に合わせたタイミングで、読売新聞朝刊と英字新聞デイリーヨミウリに広告を掲載している。
 この一連の出稿の経緯、背景、そして思いについて、日蓮宗宗務院の宗務総長室 情報課長の太田順祥氏に話を聞いた。

※宗門聖日(しゅうもんせいじつ)とは、日蓮宗にとって大事な出来事があった日であり、日蓮聖人が生まれた日・亡くなった日、日蓮宗が始まった日などのことをさす。

信者の外へも広く働きかけ

 「お寺は昔、地域に密着し、勉強や生きていく知恵を教えていました。今は、お寺を訪れるのはお盆と葬式くらいだと思いますが、実は生きている時に来て、生きる知恵を授かる所なのです。それを知っていただくためにも、私たちは檀信徒や信者さんだけに向けた布教活動をするのではなく、広く社会に情報発信をする必要があるんです」と太田氏は切り出した。そうした考えのもと、2002年に氏の所属する情報課が発足したのが、日蓮宗の広報・宣伝活動の起点となった。
 「いのち・環境・平和」の三つをテーマにブランド戦略をスタートさせたのは2005年。お互いのいのちの尊さに気づき、環境を大事にし、立正世界平和の実現を目指す同宗の考えを伝えるもので、ゴールは日蓮聖人の御降誕800年にあたる2021年という長期戦略だ。
 情報発信のヒントをつかもうと大規模なアンケート調査を実施したところ、全体的に宗教離れが進んでいる中で、日蓮宗について認知が低いのは30代以下の若年層、特に女性の認知が低い、という事実が浮き彫りになった。
 「ここは、じっと構えて待っているのではなく、自らが外に出向いて行って広報活動をしていく必要があるのではないか。まさに“出開帳”です。また、日蓮宗を知らない人たちへの情報発信ですから、難しい宗教用語を使わず、分かりやすい表現でコミュニケーションしていこう、と考えました」

新聞・ラジオ・雑誌を中心に

 具体策として2008年から始めたのが、新聞・ラジオ・雑誌を中心とした広告展開だ。
 まず太田氏の頭に浮かんだのが新聞だった。「日蓮聖人が国家救済を説いた『立正安国論』を鎌倉幕府に提出してから、今年で750年になります。15メートルもの紙に書かれたこの『立正安国論』は今もしっかりと形を残しています。新聞という歴史的な価値のある紙媒体を使うということは、後世に日蓮宗の教えを確かに伝えていくためにとても重要な意味があるのです。また新聞は、老若男女誰もが読めるという仏教の平等の精神と通じるところもあります」
 新聞広告は、読売新聞とデイリーヨミウリ2紙を対象者別に使い分けている。読売新聞では1面や社会面の小枠の広告を使用し、同宗の認知向上を狙っている。一方デイリーヨミウリは、在日外国人にアピールすることと、海外16か国37拠点で布教活動をする開教師たちに遠い海外で、頑張ってくれ≠ニいうエールを送る意味合いでの広告掲載だ。デイリーヨミウリの掲載紙は必ず海外拠点に送り、それを見た開教師たちは、“自分たちも頑張って布教活動をしよう”と勇気づけられているという。
 またクリエイティブについて氏はこう続ける。「広告原稿のスローガンは宗門運動である『いのちに合掌』。これは日蓮宗のブランディングの要です。そして広告のメーンカラーは地球を表す水色と太陽を表すオレンジの2色にしました。みんなに平等に降り注ぐ太陽のような仏教の教えを広めていきたい、という意味で、日蓮聖人は名前に『日』をつけています。新聞広告で読者がこの2色を見て『日蓮宗』と自然にイメージしてもらえるようになったら、と思っています」。同時に、宗門聖日にあわせたタイミングで広告を出すことによって、日蓮宗の大事な日を知ってもらうという狙いもあるという。
 ラジオは、人々が仏教を身近に感じるお盆の時期に重点を置き、東京・大阪を始めとする7大都市でスポットCMを放送。また雑誌は、「週刊文春」、「週刊新潮」の定期出稿と女性ターゲット層向けに「週刊女性」で連載記事を掲載。旅行好きのシニア層向けには「旅行読売」等で広告展開をしている。

2008年2月16日 朝刊
2008年2月16日 朝刊
2008年4月28日 朝刊
2008年4月28日 朝刊
2008年10月13日 朝刊
2008年10月13日 朝刊
2009年7月16日 朝刊
2009年7月16日 朝刊
2008年2月16日 朝刊
2008年10月10日 THE DAILY YOMIURI
2009年7月16日 朝刊
2009年7月16日 THE DAILY YOMIURI

イベントを通じてイメージチェンジも

 寺をもっと身近に感じてほしい、寺の持つイメージを明るくしたいという考えから、イベントにも力を入れている。昨秋、東京・外苑前で行われた「東京デザイナーズウィーク」に日蓮宗は宗教法人として初めて協賛した。協賛企業がコンテナの中の飾り付けを競うもので、見事ベストコンテラ(コンテナ)賞を受賞した。「驚いたことに、私どものコンテナは若い人に大人気で、『お経ってカッコいいな。ラップみたい』『おじいちゃんちのにおいがする』といった感じで、5日間合計で約1万5000人の来場がありました」
 今年は『立正安国論』奏進750年を記念して、10月10日から11月23日にかけて京都国立博物館で「日蓮と法華の名宝」展を開催。また鎌倉でゴールデンウイークに同宗の寺15か寺を回るスタンプラリーを実施し、多くの20代〜40代女性が参加した。
 「日蓮聖人の有名な言葉に『冬は必ず春となる、いまだ聞かず、秋へ返ることを』というのがあります」と太田氏。今つらいことがあっても、ここは耐えどきだと一つの人生経験として頑張れば、必ず暖かい春が巡ってくるものだ、という意味だそうだ。「日本に生まれてよかったな、住んでよかったな、と思えるよう、私たちは手助けしていきたい。この日蓮宗の考えを一人でも多くの人に理解してもらうためにも、今後も新聞広告を継続していきたいと考えています」。太田氏は力強い言葉で締めくくった。

(藤原)

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