こちら宣伝倶楽部

2009.6・7/vol.12-No.3・4

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インターネットは5番目のメディアなのか?

イラスト

 昨年の日本の総広告費、全体では4.7%減で5年ぶりのマイナス。しかし俗にいう4大メディアだけでみると前年の7.6%減でさらに落ちる。4年前に制作費や除外していた広告の種類をあらたに上のせ加算し、05年は8610億円、06年は9445億円もふくらませた実績に改め、以後このパターンでまとめている。ふくらませてもマイナスだ。これで単純に広告不況というのではなく、広告主各社で広告費が調整やアジャストの段階にあるだけで、広告主はいずこも冷静だ。

どう育てていくのか

 唯一好調はインターネット広告。昨年実績は前年比16.3%増、前々年は24.4%増だったから、広告の明るいニュース、成長の目玉のように騒がれる。事実その実績では04年にラジオを抜き、06年には雑誌を抜いて、新聞にあと1300億円ほどに迫っている。
 しかしどういうわけか、それを肌で感じることはないし、あわててどうという動きは表面化しない。もちろん4大メディア改め5大メディアに整理しなおすという動きも今のところない。クールといえばクールなのだ。
 なぜか? それは再婚相手が連れてきた子どもみたいなもので、小遣いをやるにはしばらく躊躇があるし、抱きしめるには情が湧いてこないというところだろうか。私見大乱舞でそのへんのことを考えて列記してみる。議論のたねにしていただけたらと思う。

メディアとしての倫理性

 広告の倫理は別の視点からも大事になっているが、インターネットは究極だ。個人倫理を超えた社会倫理、生活を規制する道徳的な規範についてが未整理に思える。統括するところがないままに急成長するとこうなる。野放しのまま、誰がいつ手綱を締めるか。これがきまらぬとわずらわしさだけが増大する。

事実の保証と信頼性

 メッセージの内容を第三者が規制したり、検証するバックヤードが見えない。稚拙な文章技術に出くわすと、その情報とその発信もとである企業やブランドに、一瞬の距離をおくことがある。その距離の積み重ねが根本的な信頼の揺らぎにつながってくる。広告は元来一方通行のメッセージだとつくづく思う。

広告から狭告、個告へ

情報の客観性と妥当性

 ネット広告の情報は誰はばかることなきものという印象。だから企業の伝え、知らせることへの倫理感や良識が問われる。独り言やつぶやきの美化されたものでは困る。簡単に覗くことができるという特性が、簡単につくる、まとめるという行為と重なっては困るのだ。妥当性があるかないかは問われ続ける。

開放性と清濁混交

 自由なメディアであり、常に開放されているがゆえに、そのコンテンツは多彩になる。別の表現をすれば清濁混交、だからおもしろいという考えもあるが、律するものがなければ毅然としたものにはならない。広告には厳しい責任がいつもつきまとうもの、インターネット広告は別ものであってはならない。

饒舌による過剰性

 広告という情報発信には、しばしば競争や葛藤がいりまじる。嘘はいけないが誇張は良識内ならOKという暗黙の了解もある。だから表現の遊びがでる。それがご意見無用と勘違いするとおしゃべりが過ぎ、常道を逸することがある。真理が見えなくなる。新しいからといって幼児的であってはならない。

波及効果の実感

 気になることがある。インターネットはアクセス数で検証されることが多いが、波及効果は意外にひとり歩きしない。アクセス数は大事なデータだが、広告というより狭告、個告の域であり、一気にムーブメントが起こらず、すぐに前線にはねかえり、販売や営業のシフトが変わるということは少ない。

情報と表現の話題

 広告には広告そのものが話題になることがあり、それが手応えのひとつにもなる。インターネット広告はこれだけ普及しても、そのコンテンツそのもの、メッセージの中身とそれの表し方、表現やクリエイティブの技術そのものが話題になることはほとんどない。情報と表現が表面化しないのは課題だ。

不親切な広告へのガイド

陽でなく陰の印象

 悪いけどインターネットは陰気な日陰者という印象、広告というのは元来、陽性で陽気なものであるべきで、市場を一気に活性化させる魔力を持っているべきだ。だからこそ広告主は宣伝費を投入する。マンツーマンでゆっくり正確に近づくのもよいが、それは広告とは別のものだと考えた方がよい。

公的認知なくいかがわしい

 メディアにはメディア各社の倫理規定があり、新聞には新聞の、雑誌には雑誌の、業界としての審査や考査の基準がある。だから秩序が保たれ、信頼のベースができる。そこには年配のベテランがいるという印象がある。インターネットはそれが見えない。事前のチェックも事後のチェックも滲んだままだ。

広告会社の傍観

 インターネット広告の主軸は、今のところモバイル広告と検索連動広告とその制作費になる。大手の広告会社はビジネスとしての魅力に欠けるらしく、模様ながめをきめ、その間をぬって制作系のプロダクションが、HPや検索エンジンのてこいれに終始しているのが実情。だから全貌の掌握は手薄で、本当はもっと実績は大きいとも推測できる。

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 CMのうしろにネット検索への誘引が増えている。CM(広告)の情報不足をこれで補っているつもりなら、やや不親切な広告がじわじわと増えていることになる。

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