from Europe

2009.1・2/vol.11-No.10・11


国営テレビCM禁止令と新聞界が投じた一石

 2009年1月5日、国営テレビ放送のゴールデンタイムからCMが消えた。サルコジ大統領が打ち出し、昨年末に半ば強引に通された国営放送改革案の第1弾だ。2011年11月の地上波デジタル化に合わせて、国営放送のCMは全廃される。
 フランスには、全国ネットの「France 2」など五つの国営テレビがあり、前後に告知を流す条件でCMも認められてきた。私が好きなFrance 2の朝のニュース番組のCMは、ヨーグルトやパンなどスーパーで売っているごく庶民的な消費財が多い。
 改革の表向きの目的は「経済的理由に頼らない質の高い番組制作」で、英BBCを目指すと言われるが、本音は、視聴率1位の「TF 1」、映画やサッカーが充実した「カナルプリュス」などの民放局の体力の増強と見られている。国営放送が失った広告収入に充てるために年間1.5%から3%の増税が民放局に課せられる反面、CM放映時間などの規制が緩和される。
 夜8時から翌朝6時までの国営放送のCMが撤廃されたことで行き場を失う広告費は年間4億5000万ユーロ(約585億円)と試算される。これに目をつけた新聞界が一石を投じたのだ。
 下院の審議が始まった昨年11月28日、フィガロ、ル・モンドなど13の全国紙と各ウェブサイトが各紙の広告スペースを使って「Puissance PQN(全国紙の力)」という1月限定のキャンペーンを発表した。「2009年、テレビCMに近くなれるのはどのメディア?」というメッセージを広告に載せ、続くページでは、新聞13紙での一斉掲載(1面の突き出し+センター2連版変形)と各紙サイト掲出のセットで通常価格の80%引きの20万ユーロ(約2600万円※)で提供するという提案がなされている。このパッケージに出稿すれば、国内の15歳以上の22.3%にあたる1110万人に到達できるうえ、他媒体に比べ購買力のある高収入層に到達できる、というのも訴求ポイントだ。共通の媒体資料では、仏国民の70%がテレビCM過多と感じているという調査結果を載せ、「今こそメディアミックスを検討するときだ」と訴えた。
 フィガロの広告局戦略マーケティング部長ルチアーノ・ボシオ氏によれば、「1枚のオーダーで簡単に出稿ができて、コストパフォーマンス良く媒体力を享受できる」点が受けて、自動車、通信、ブランドなどゴールデンタイムのスポンサー十数社が12月初めに早くも良い感触を示していた。
 フランスの新聞業界は、1990年初めの経済危機の際、高すぎると批判された広告費を一斉に見直し、その後、地方紙が連携を組み、全国紙が追随した歴史がある。
 ボシオ氏は、「他の業界に先駆けて一石を投じたことが重要」と語ったうえで、2月以降も、より小規模な連携、または各社別々にテレビ予算を狙う構想があることを否定しなかった。

12月5日 リベラシオン紙(ページ送り) 12月5日 リベラシオン紙(ページ送り)
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※12月25日現在(1ユーロ=約130円)
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