CURRENT REPORT

2008.9/vol.11-No.6


沖縄のサンゴ礁の再生を考え環境への貢献を図る

 京都議定書の第一約束年がスタートし、地球温暖化問題が主要議題となった洞爺湖サミットも開催されるなど、環境元年となった今年、企業の環境への取り組みはますます具体化している。
 オリックス不動産では、沖縄のサンゴ礁の保全・再生に取り組んでいるが、この活動について同社社長室の永井哲也氏に話を聞いた。

オリックス不動産株式会社 社長室 課長代理 永井哲也氏
――プロジェクトの概要を教えて下さい

 現在、オリックスグループとして「ECORIX 2012」という活動を展開しています。京都議定書の第一約束期間である2012年までの5年間で、グループとしてどのような形で環境に貢献していくかというテーマがあり、各事業ドメインでそれぞれの環境保護活動を推進しています。
 オリックス不動産では「沖縄サンゴ礁再生プロジェクト」を実施します。
 サンゴ礁は海洋生物の生息を支え、美しい海を守る役割を果たしていますが、近年、水質の変化や地球温暖化による海水温の上昇などを原因として、沖縄本島周辺のサンゴの8割に白化現象が発生していると言われています。
 そこで私たちは、サンゴ類の養殖事業を手がけているAqua Culture Okinawaという沖縄電力の子会社と組んで、沖縄中部の今帰仁村運天漁港前面海域にサンゴを移植し、サンゴ礁の再生を図ります。
 この海域を選んだのも理由があり、畑や人家が近いと赤土や生活排水などが流入してサンゴの生育環境に悪影響を及ぼしますし、オニヒトデなどの食害生物に食べられてしまうことも避けねばなりません。そうした点でサンゴ礁を再生させるには非常に適しているからです。
 プロジェクトはこの7月から開始していますが、第1回分として400本の移植が先日終了しました。今年度は1500本、向こう5年間で合計1万本の移植を予定しています。この1万本というのは結構な規模で、他でもサンゴ礁の再生事業に取り組んでいる団体はありますが、年間300本程度のところが多いですから、大いに貢献できているのではないでしょうか。
 移植後もサンゴ礁の成長状況などの確認調査を含め、保全・再生活動を継続していきます。

――沖縄である理由は

 まず、オリックス不動産として那覇市おもろまちでのマンション建設や北谷町でのホテル開発といった事業を手がけているほか、県内で沖縄カントリークラブとオーシャンキャッスルカントリークラブという2か所のゴルフ場を運営しています。グループとしても、昨年4月に、オリックスが那覇市内に沖縄支店を開設し沖縄県内の企業や地域金融機関との連携を図り、ビジネスの拡充を目指しています。さらには、各社の業務にかかわるコールセンターの本社を設立していますし、西日本では最大規模となるレンタカーの拠点も構えています。
 このように沖縄とのつながりは非常に深く、沖縄に貢献したいということを考えていました。

――不動産事業との関係は

 私たちだけではなく、一般の方にもこのプロジェクトに参加いただけるよう、この8月に「地球にやさしいECOLOGY SUMMERキャンペーン」を実施しました。
 当社のコーポレートサイト「オリックスの住まい」で、オリックス・オリエンテッドクラブという住宅購入予定者向けの会員組織を運営しているのですが、マンションを手がけるデベロッパーとしては最大規模の15万人以上の方が現在登録されています。そこに登録された方がマンションのモデルルームに来場されると、サンゴの移植に自動的に参加できる仕組みになっています。
 具体的には、来場者5組につき1株、サンゴを移植し、その後の様子はウェブサイトからも閲覧でき、成長過程を随時報告していくというもので、お客様からは非常に好評だと聞いています。夏期のキャンペーンは8月24日で終了しましたが、これからも継続して実施していきます。
 また、こうしたオリックス不動産の取り組みを広く知ってもらうためにも、新聞広告などを利用して定期的にお知らせしていく予定です。

――ユニークですね

 そもそも、住宅開発事業は環境に非常に負荷をかける行為ですから、その中で、いかに環境に配慮しながら進めていくかということが私たちのテーマです。屋上の緑化、ソーラーパネルの設置、清掃不要のタイルや長寿命の照明の使用など、できる限りのことをやっていますが、こうした設備を並べる以上に、サンゴ礁の再生事業は非常に象徴的でわかりやすいので、当社の姿勢を効果的に訴えることができるという点で大きなメリットがあります。グループ会社でもこのポスターを掲示してアピールしているほどです。
 植林に代表される森林保全活動は他の住宅事業者でもやっておられますが、岩肌にサンゴの台座を一つ一つ植え付け、食害を避けるために防護ネットをかぶせるという非常に手間のかかる行為を社員自らが現地で行っているという企業はなかなかないと思っています。「ほかにはないアンサーを。」というオリックスグループのスローガンを体現できているのではないでしょうか。

「沖縄サンゴ礁再生プロジェクト」活動ポスター

(梅木)

取材メモ

 オリックス不動産は、オリックスグループの事業の多角化などに伴い蓄積された不動産に関するノウハウを集め、1999年、不動産専門会社として設立された。
 業務内容は住宅開発や不動産投資のほか、老健施設の運営や旅館再生も手がけるなど、その領域は非常に幅広く、グループ各社とのシナジー効果により、「新しい不動産ビジネス」を追求している。
 この7月には京都市下京区の梅小路公園にて、市の所有地を賃借し、内陸型大規模水族館「京都水族館(仮称)」の整備構想を2011年度の開館を目指して京都市に提案した。
 同社では、既に、神奈川県とのPFI事業として2004年から「新江ノ島水族館」を運営しているが、「京都水族館」の実現により、両館を拠点に水族館のネットワークを構築し、教育(=エデュケーション)と娯楽(=エンターテインメント)を両立させた「エデュテインメント事業」への展開も視野に入れるとのこと。
 不動産を取り巻く環境が大きく変化する中、他社が手をつけていない新たな事業機会に積極的にチャレンジする姿勢がうかがえる。

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