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2008.6/vol.11-No.3


国産農畜産物の窮状を訴え消費者の理解を着実に深める

JA全農畜産生産部次長 田川福彦氏

 JA全農は、農家経営の厳しさを訴え、農畜産物の価格上昇に対して理解を求める15段多色の広告を1月14日から3月28日まで5回にわたって掲載した。次世代を担う子供たちの明るい表情が目を引く初回から4回目までの広告は、生産コストが急激に上昇している現状を解説すると共に、俳優など著名人が食や農への思いを語る内容だ。5回目は、それまでの広告掲載時に募集した消費者からの意見をまとめて紹介する形で、シリーズを締めくくっている。

シリーズで認知度、理解度向上を狙う

1月14日 朝刊  「消費者の方々に、農家経営が厳しい現状を伝え、理解していただくことがJA全農の使命だと思っています」と新聞広告に込めた思いを語るのは、JA全農畜産生産部次長の田川福彦氏。
 農家経営を苦境に陥らせている背景には、生産コストの上昇がある。畜産物の場合、石油の代替エネルギーであるバイオエタノールの需要が増加した結果、その主原料であるトウモロコシの価格が上昇し、家畜の飼料価格に影響を及ぼしている。また、海上運賃が高騰し飼料の輸送コストも上昇している。これらの影響で、日本の畜産農家の経営継続が困難となり、今後の国産畜産物の供給が大きく減少する可能性がある。
 「農家とJAグループは、生産コストの削減に全力で取り組んでいます。JAグループでは国産原料の利用を拡大したり、穀物の輸入元を多元化したりして飼料価格を抑える努力をしています。また、農家では、乳量や産卵量を増加させたり、肉の品質を向上させるなど、家畜ごとに生産性を高める努力をしています。しかし、牛乳や肉の販売価格は、国内の市場やメーカーとの交渉で決まるため、畜産農家はコストの増加分をなかなか販売価格に反映しづらいのです。『納得できるものを、納得できる価格で、食卓へ』のキャッチコピーには、コスト増加に見合った価格にせざるを得ない状況をご理解いただきたい、という思いを込めています」
 一連の問題に対する消費者の理解促進は、国産畜産物の消費拡大を訴える店頭キャンペーンや、JA全農が無料配布している『食』に関する情報誌「Apron(エプロン)」で取り上げるなどしているが、広告での展開は新聞のみだ。その理由について田川氏は、「活字媒体の新聞は、滞留時間が長く、じっくり広告に接してもらえる点が最適だと考えました。ただ、1回の掲載では、その時は注目しても印象に残りづらいのではと考え、一定の間隔を置いて掲載するシリーズ広告で徐々に認知度や理解度を上げることを狙いました」と語る。
 また、掲載日については、「閲読時間が長い週末の掲載を考えました。掲載日は、2月9日=『肉の日』、3月9日=『サンキュウ』といった語呂合わせができる日を選択し、より強く印象づけようとしました。たまたまその両日が週末と重なっていたのはとても幸運でしたね」
 2月9日に開かれた新宿駅での街頭イベントでは、当日掲載の広告に登場したスポーツキャスターの舞の海秀平さんが参加し、集まった人々に国産肉を使ったちゃんこを配るなど、紙面との連動を図った。

2月9日 朝刊
2月28日 朝刊
3月9日 朝刊

消費者から千通近いメッセージ

 初回から4回目の広告では、生産コスト上昇の要因説明やJA全農の取り組み紹介など、訴えたいことをきちんと伝える一方で、早見優、ともさかりえ、江守徹といった世代の異なる著名人からのメッセージを紹介することで、消費者が受け止めやすい内容となっている。また、広告や国産農畜産物に対する意見、感想を毎回募集した。
 「合計で千通に近い手紙やメールが寄せられました。予想以上の大きな反響に驚いています。もちろんすべてが肯定的な意見ばかりではなかったのですが、多くが激励の声でした。中には便箋に何枚も綴られた手紙をいただき感動しました。やはり私達が主張するだけでは、消費者が問題をどう理解し、どのような意見を持ったのかわからず、一方通行の広告になってしまいます。消費者の意見と、ずれのない取り組みを行っているかを確認するのに役立ちました」
 寄せられた意見から代表的なものを19件、3月28日に掲載した。「当初は、4回の掲載で終了する予定でした。しかし、消費者の方々がJA全農の取り組みにおおむね賛同していることを伝えることで、皆が一緒になって日本の農業を考えようとする流れが作り出せるのではないかと考えたのです。いただいたご意見は私達にとって貴重な財産となりました」
 今後も、飼料価格の高騰は続くと見られており、国産農畜産物を取り巻く環境は依然厳しい。日本の農家を代表し、農畜産物を提供するJA全農は、更なる消費者の理解をめざし、農家の生の声を届けるような違った角度からの第2弾の広告展開を検討中である。

3月28日 朝刊

(中西)

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