ojo interview 2008.4/vol.11-No.1

瀧本幹也氏
瀧本幹也氏

 「現場でのライブ感が楽しかった仕事」と振り返る2000年夏の「としまえん」のポスターでは、涼しげなプールのシズルを躍動感あふれる一枚絵に写し取った。宝島社「癌に教えられる」、JR東海「新幹線N700系」など、打ち合わせや撮影前のイメージを上回る写真を追求して表現する手腕が、多くのクリエイターからの絶大な人気と信頼につながっている。
 「なかなか思い通りにいかないじゃないですか、写真って。ちょっとしたことで全然違う写真になるし、気持ちや気合だけでも難しい。でも、そこが面白いと思ったキッカケかもしれません」
 小学5年生のときに小遣いをためて買った一眼レフは、今でも大切に持っている。受験勉強に疑問を感じ、カメラマンになる夢を貫くため、高校は2年で中退した。名古屋から上京して写真スタジオに勤めた後、JR東日本「その先の日本へ。」などで知られる藤井保氏に師事したのは、緻密に計算された深みのある広告写真に魅了されたからだ。
 「心にグサッとくるほど訴える力が強い写真が、広告のメディアに出ていることに衝撃を受けました。それからは広告を見るために新聞をとり始めたほどです。パサッと新聞を開いて、いい広告が出てくるとうれしいですね」
 修業7年、23歳で独立して10年。何を伝えたいかを理解した上で、どうしたらもっと良くなるか、面白くなるか、楽しめるかを、今でも常に考えている。
 「人の頭の中の想像の、さらに先に行きたいというか、パターン化された仕事を期待されると裏切りたくなります。絶対に間違っていないと思ったら、自分の考えを押し通すことも重要ですね」
 昨年発売した「SIGHTSEEING」は、世界の観光地に集う人々の姿を、皮肉とユーモアを込めて撮影したポップな写真集だ。
 「何か面白そうな予感があったら、とりあえずそっちに行って、見てみたくなるんですよ。いつも、僕が撮影現場で心から感動したことを、見る人も体感できるような写真にしたいと思っています」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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