Fashion Insight 2008.4/vol.11-No.1

政治家とファッション
 今、アメリカは大統領選の予備選の真っ最中だ(この原稿を書いているのは3月初旬)。共和党はマケイン上院議員が指名を獲得すると見られているが、民主党は指名確実と思われていたヒラリー・クリントン上院議員が思わぬ苦戦を強いられ、バラク・オバマ上院議員とのデッド・ヒートが続いている。
 CNNでこの二人の候補者の討論や演説を聞き、その映像を見ていると、気づくことがある。
 ヒラリー・クリントン氏はどんな時も、そのショートカットのヘアスタイルは乱れず、着ている服も、キャリアや知性を感じさせるパンツ・スタイルが多い。彼女の服は『WWD(ウイメンズ・ウエア・デイリー)』紙によると、ニューヨークにあるキャリア系女性たちが愛用している店のものとか。
 対するバラク・オバマ氏はいつもダーク・ブルーのスーツにホワイト・シャツ、ネクタイはシルバーなどのソリッド・カラーのものを着用していて、とてもスタイリッシュだ。スーツはバーニーズ、ネクタイはジェイ・クルーとか(『週刊文春』誌より)。メンズ・ファッション誌『GQ』の表紙に登場したこともある。
 お洒落をする理由には他人から注目されたい、誉められたい、あるグループの一員と見られたいなど様々な要素があるが、大統領候補ともなれば、もちろん専任のスタイリストがついて、国民の目に映る理想の候補者像を演出しているのは間違いないだろう。
 ヒラリー・クリントン氏は有能な、キャリアのある女性として、またバラク・オバマ氏は、まじめで清潔感があり、若々しさを表現しているといったところか。


 お洒落で有名ということであれば、暗殺されたJ・F・ケネディ大統領が筆頭だろう。J・F・ケネディが我々の前に登場したのは1960年の大統領選。彼がアイビーリーグ卒業生らしい姿でTVに登場するや、その颯爽とした姿に、多くの視聴者がひきつけられ、対立候補のニクソン氏を選挙で破ったというのは有名な話だ。彼の着こなすアイビーモデルの服やヘアスタイルは、日本の若者にも大きな影響を与えた。現在でもニューヨークの書店では、彼のライフスタイルを撮影した写真集が何冊も置かれている。
 日本で印象深いのは、総理大臣(当時)・小泉純一郎氏が、ブッシュ大統領とキャンプデービッドで、報道陣の前でキャッチボールをした映像だ。このとき小泉総理はポロラルフローレンのダンガリーのシャツを着ていた。支持率の非常に高かった時でもあったせいか、このシャツは瞬く間に日本のポロショップの店頭から消えてしまったという。
 ことほどさように、日本においても政治家のファッションは人々の注目をひく。ならば、選挙のポスター用にスタイリストを起用するという付け焼き刃的なファッションセンスではなく、日本の政治家たちも常日頃からもう少しファッションセンスを磨いて欲しいと思うのだが、どうだろう。
 昨年のベストセラーにあるように『人は見た目が9割』(竹内一郎著、新潮新書)といわれる時代なのだ。
 FECはクールビズの提唱者、当時環境相であった小池百合子氏に、FEC特別賞を贈っているが、贈賞式に現れた小池氏はとてもシックでアルマーニのスーツがよく似合っていた。
 人々をひっぱって行くカリスマ性の必要な政治家として、氏のこの美しさも、大きな武器であるはずだ。

*小池百合子氏は第49回FEC特別賞を受賞している。


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