CrossMediaの必然性 2008.3/vol.10-No.12

クリエイティブとテクノロジーの融合─新・広告人になるためのスキル─
 欧米のインタラクティブエージェンシーにおいて育成されているスキルで、日本にはまだほとんど成立していないのが、クリエイティブとテクノロジーという本来全く相反する文化がお互いにぶつかり合って、激しい核融合を起こしつつ、新たに生まれている広告マンスキルである。
 広告ビジネスが取り込むテクノロジーといってもその実態がピンとくる広告人は日本にはまだ少ないかもしれない。実感するには一定のITリテラシーが必要だ。


 いわゆるアドテクノロジーはここ何年かで急速に進化している。特に「データインテリジェンス」を駆使して広告効果の最適化を図るということは今後広告ビジネスを担うものの極めて基本的なスタンスとなる。またデータに意味づけをする「読み取るスキル」をクライアントに提供できるかどうかは次世代エージェンシーの重要な部分だ。
 そして新たな発想のクリエイティブ表現をするためにテクノロジーを駆使できたり、テクノロジーからアプローチしたクリエイティブ発想があったりと、双方からの鬩ぎあいの中から全く新しい価値の創造が起こるはずだ。


 欧米のインタラクティブエージェンシーが、コミュニケーション開発ができるインタラクティブエージェンシーとして、そのポジションを獲得して急成長をしているのは、こうした人間業としてのアイディアの創出を、テクノロジーの上に発揮できるようにスキルの再編を独自の方法で行ったからである。
 基本的にアドテクノロジーは三つに大別できる。

・広告効果のトラッキング技術
・Web広告配信&表現技術
・オペレーションサポート技術

 いずれも作業効率を上げるためだけでなく、従来人間業では全く不可能だったことを実現している。トラッキング技術は、リアルタイムにユーザーのレスポンスを把握することで、いわゆる「売り」にどの程度繋がったかを知ることで、企業マーケティングの全体最適を促すものだ。
 またWeb広告の配信と表現技術は、ターゲットユーザーひとりひとりに個別のメッセージ配信を実現したり、インタラクションによって従来メディアが決してできなかったユーザーの自己関与(エンゲージメント)を創り出すものだ。
 そして、オペレーションサポート技術は、作業効率を圧倒的に良くしてコストコンシャスなサービス提供を実現したり、メディアプランニングやマーケティングデータ処理を誰でもできるようにサポートする他、アドマーケットプレイスなどのように、広告のオンライン取引という従来全く有り得なかった市場を形成する役割を果たしている。


 実は広告業は情報産業のわりには本格的なITによるビジネス革命とは縁遠いところにいた。作業効率アップだけでなく、ビジネスの本質部分にテクノロジーがかかわってきていることを認識できるかどうか(google的広告革命の本質が理解できるかどうか)、広告会社経営の試金石といえる。
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