ojo interview 2007.11/vol.10-No.8

肥田美代子氏
肥田美代子氏

 「創造的な国づくり─言語力で日本の未来を拓く」をキャッチフレーズに10月24日に設立された(財)文字・活字文化推進機構の理事長に就任した。衆議院議員時代に自らが旗振り役となって制定した2つの法律(子どもの読書活動推進法、文字・活字文化振興法)を具現化するため、政・官・民の力を結集して、国民運動に広げていくのが今回の役目だ。
 「自分たちだけが当たり前の権利として文字・活字文化を享受しておいて、あとの世代は勝手におやんなさいでは無責任。読書をし、新聞を読むこと以外、本当の言葉の力は身につかないと思います」
 「童心忘れず」。師匠である花岡大学氏から贈られた言葉を胸に、78年に「先生しごいたる」で童話作家としてデビュー。国連で「子どもの権利条約」が採択された89年に国会議員となり、翌年、国連本部で開催された『子どものための世界サミット』への出席が契機になって、「子どもが住みよい国を作ること」を政治活動の柱にすえる覚悟を決めた。
 「何でも素直に受け入れられる童の心を忘れずに、いつも心を錆びつかせちゃいけないと思っています。子どもの活字離れは30年も前から深刻だと言われていたけれど、その時の子どもたちが大人になって、今の社会を作っているんです」
 先に挙げた2つの法律のほか、子ども読書年の制定、国際子ども図書館の設立など、政治信条を体現する数々の実績を残してきた。2005年夏の「郵政解散」を機に、民間の立場から文字・活字文化の推進に腕を振るうことになったが、政治家としての自分に未練はない。
 「物書きではできなかったことが、政治家としてできて良かったです。でも、議員活動に区切りをつけてもっと良かった。まだエネルギーが残っている64歳で辞められたから」と、笑顔で言い切る。
 今後は、忙しくてできなかった童話の創作にも取り組みたいという。
 「“元衆議院議員”は許せても、“元童話作家”といわれるのは悔しいからね(笑)。作品を作るのは一番楽しい時間です」

文/横尾一弘  写真/清水徹

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