CURRENT REPORT 2007.10/vol.10-No.7

1000万件の重み受け止め安心のエネルギー源担う決意
 経済活動の国際化の進展に伴い、わが国のエネルギーコストが他の先進諸国と比較して高くなってしまうと、国民生活や産業競争力に多大な影響を及ぼすことは避けられない。そこで、電力、ガス、石油に代表されるエネルギー分野での規制緩和が現在進行中だ。メガコンペティション時代に突入しているのである。そんな中、東京ガスは契約件数を順調にのばし、9月には1000万件を超えた。エネルギー競争時代をどのようにとらえ、いかに勝ち抜くのか。広報部広告グループマネージャーである生野徹氏に話を聞いた。

東京ガス株式会社 広報部 広告グループマネージャー 生野 徹氏 ――エネルギー業界内での競争が激化しているとのことですが
 ガス業界では95年のガス事業法の改正に伴い、まず、年間契約ガス使用量が200万立方メートル以上の大口需要家を対象に小売りの部分自由化が始まりました。以後、段階的に自由化の範囲は拡大され、今年の4月からは年間10万立方メートル以上の需要家、小規模な工場などに該当しますが、ここまでが自由化の対象となりました。これにより弊社の販売量の約6割に相当する市場で新規事業者の参入が可能となり、競合が発生しています。また、電力業界でも同様に規制緩和による自由化範囲が拡大しているので、競合が激しくなっています。もちろんガスと電力の間に競争はありましたが、一連の規制緩和の流れの中で、特にガスが強かった一般家庭における給湯や暖房分野での「オール電化」を掲げた電力業界の攻勢は、目を見張るものがあります。
 さらには、エネルギー需要も少子高齢化の進展、環境問題を踏まえた省エネ機器の普及により、今後大きく伸びることは期待できませんので、競争はますます厳しくなってきているというのが現状です。

――契約数が1000万件を突破しましたね
 1000万件という数字はお客様にとっては意味のある数字ではありませんが、我々にとっては、1000万件の方々に選んでいただいており、それだけの安心、安全、信頼を担っているということですから非常に重みがあります。
 改めて1件1件のお客さまとの親密な関係づくりを目指し、今後も東京ガスを選び続けてもらうためにも、これまでグループ内の「エネスタ」や「エネフィット」「カスタマーサービス」で個別に対応していたガス設備の安全点検や検針、ガス機器の営業といった事業活動を再編、集約し、お客さまの多様なニーズに対してワンストップでお応えする、地域エネルギー新会社を来年度から順次設立し、地域に密着したサービスを実現していきます。
 また、この機会に東京ガスの企業姿勢をきちんとご理解いただこうと、9月初旬より新聞でのシリーズ広告を中心としたコミュニケーション活動を行っています。

――広告についてはどのようにお考えですか
 お客様の目的はガスを使った快適な生活にあるので、「ガス」そのものの宣伝は非常に難しいです。さらにはガス器具も、コンロだったり床暖房だったり耐久消費財の範疇に入りますので、すぐに購買に結びつくという製品でもありません。ですから我々が心がけていることは、ニーズが顕在化する前に、お客様に「ガス」への意識を持っていただくことです。自宅の購入やリフォームの際が我々のビジネスチャンスですので、エネルギー選択に当たりガスを想起してもらわないといけませんから。現在展開している「ガス・パッ・チョ!」キャンペーンは高い好感度を得て想起も上がり、販社やショールームでの調理体験イベントなども非常にやりやすくなっています。同時にガスはライフラインですので、安全性や信頼性を理性に訴え、ブランド価値の向上に努める必要もあります。その場合には、今回の新聞広告のようにトーンを変えて、より真摯な表現で訴求しています。
 この2点をコミュニケーションの両輪と考えています。

――今後の事業展開は?
 コアとなる事業が都市ガス供給であることは変わりません。ただし、ガス単体供給を中心とするビジネスモデルから天然ガスを機軸とする総合エネルギー事業、すなわち、ガス、電力のマルチエネルギー供給および地域密着サービスの強みを生かした、お客様の「快適性」「経済性」「環境性」といったニーズへの提案を軸に、「エネルギーのことなら東京ガスグループに任せれば安心」と思われるような企業集団になることを目指しています。
 もちろん、お客様のライフスタイルによって適したエネルギーは異なりますから、ガスで市場を占有しようということではありません。基本は顧客視点で本当にいいものを提案するということです。その姿勢さえ変わらなければ企業は成長し、競争にも勝ち抜けると考えています。


(梅木)
取材メモ
 都市ガスの原料である天然ガスはメタンを主成分とする、不純物をほとんど含まないクリーンなエネルギーだ。燃焼時にSOx(硫黄酸化物)の発生もなく、地球温暖化の原因となるCO2や大気汚染、酸性雨の原因となるNOx(窒素酸化物)の排出量も少なく、環境に優しいエネルギーである。
 天然ガスから取り出した水素と空気中の酸素を反応させ熱と電気を同時に作り出す燃料電池は、ガスタービンなどを使用した従来型システムでは非効率であった小規模な電力需要、熱需要向きのコージェネレーションシステムに導入されている。東京ガスでは、2005年より家庭用燃料電池コージェネレーションシステム「ライフエル」を市場に投入。省エネルギー、地球温暖化対策の切り札として期待を集めている。
もどる