CrossMediaの必然性 2007.9/vol.10-No.6

インタラクティブ営業プロデューサー
 現在、広告会社の営業の守備範囲は実に広い。ここ十数年で特に広がったといえる。広いが故に個々の領域のスキルに関していうと、だいぶあやしくなってきている。本来のビジネスのマス広告枠に関してでさえ、「売り物を完全に理解しているのか」と問われるとドキッとする営業マンも多いだろう。
 英国が発祥地の「アカウントプランナー」のあり方が紹介されて久しいが、なかなかアカウントプランナーの本質を実践できている広告会社は少ないといえる。というのも、アカウントプランナーというのは欧米の完全クライアントレップとしての広告会社のスキルセットだからで、日本の広告会社のビジネスの基本であるメディアセールスとは相いれない部分もあるからだ。しかし時代の要請は、総合広告会社の営業にアカウントプランナーの機能を求めている。つまり広告主の広告コミュニケーションのコンサルタントとしてのプロという非常に勉強することの多い実務領域に、売り物としてのメディアも熟知しなければならないという状況になっていて、いくぶん酷な話なのかもしれない。とはいえ、守備範囲が広いからといって、広告のプロなら特に優れた知見のある領域を少なくともひとつは持っていないと話にならない。1本芯をもったT型人材が広告会社の営業に求められる。


 さて、守備範囲の広い総合広告会社の営業マンが、最も売り物をしっかり理解できていないのがネット広告などのインタラクティブ領域である。そしてこの領域が最も広告主側がプロ化している領域でもある。Webは企業にとって自社メディアである。また自社のマーケティング装置である。これを実際に開発し、運営している広告主の担当者からすると、Web言語で会話できない広告会社の営業などフラストレーションがたまるだけの存在だ。こうなると営業のにわか勉強も追いつかず、いきおい専門スタッフに丸投げということになる。だが、いくら専門スタッフを強化しても、広告主とインターフェースする役割の人間が素人というのではビジネスにならない。メーンがマス領域だから、ついでのインタラクティブはスタッフまかせでいいという話は、もう通用しない。
 また、今までの広告コミュニケーション開発はマスメディアの広告枠に載せるのが前提だったから、そこを握っている営業マンの存在感も発揮のしようがあった。ところが企業自社メディアのWebが中核となって、必ずしもマス広告枠利用が前提にならないとなると、広告主はコミュニケーションコンテンツ開発を担っている人物と直接やりとりをしたいし、分かっていない人間が間に入ることはミスリードの元にしかならない。広告主は、トータルに何でもこなしてくれなくてもいいので、インタラクティブ領域だけは精通していてプロデュースしてくれる営業マンが欲しいはずだ。
 「インタラクティブ営業プロデューサーを育成して、広告主の期待に応える」。現在、広告会社が早期に経営判断して、取り組むべき最も重要な課題のひとつだ。


 この「新・広告人論」では、次世代広告コミュニケーション開発のために、広告会社のもつ従来のスキルとフォーメーションの再編を提唱している。そのなかでもインタラクティブ領域で広告主とインターフェースする営業プロデューサー集団を質量とも確立できる会社が次世代広告領域で勝利するだろう。その方法論においては、欧米のインタラクティブエージェンシーのようなスピード感のある展開を日本でも想定しなければならない。
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