立ち読み広告 2007.7・8/vol.10-No.4・5

『コロコロ』の歴史は子ども文化の歴史
 昔、書店に勤めていたころ、コミックや児童書の担当者が真剣に読んでいたのが『コロコロコミック』(小学館)だった。「子ども向けのマンガがそんなに面白いの?」と聞くと、「『コロコロ』の連載はヒットするものが多いんだよ。子どもたちの間で次に何が流行するか、気をつけて見ておかなきゃいけないんだ」と担当者は答えた。
 その『コロコロコミック』が創刊30周年を迎えた。5月25日の朝刊にはカラー1ページの広告がある。題して「読んで!遊んだ!!コロコロコミック30年史」。創刊以来の代表的な連載作品が紹介されている。

30年の歩みを振り返る

 創刊号には「1977/5月15日号」とあるが、なんと『コロコロコミック』のロゴよりも『ドラえもん』の字のほうが大きい。しかも「200ページ」とある。当時は毎号『ドラえもん』が大量ページで読めるのがウリだった。
 79年8月号が『ゲームセンターあらし』。この時代、ゲームはゲームセンターでやるものだった。ファミコン(ファミリーコンピュータ)の発売は83年7月である。
 86年5月号に登場したのが『おぼっちゃまくん』。「ともだちんこ」や「おはヨーグルト」など茶魔語が流行り、世の親たちの非難を浴びた。その作者、小林よしのりが、やがて『ゴーマニズム宣言』で保守派論客の一人となるとは、誰が予想しただろう。
 この「30年史」を見ていて気づくのは、『コロコロ』のマンガが、テレビアニメや玩具、ゲームなどとメディアミックスする形でいくつものブームを作ってきた事実だ。『ビックリマン』とビックリマンシール、『爆走兄弟レッツ&ゴー!!』とミニ四駆、『爆転シュート ベイブレード』とベイブレード、等々。なかでも大きなブームとなったのは『ポケットモンスター』、通称ポケモンだろう。ゲーム、アニメからキャラクター商品にまで広がり、ついにはジェット旅客機にピカチュウがペイントされるまでになった。
 広告には「世界中にブレイクしたポケモンから、日本のマンガが輸出産業であることを世界が認識」というキャプションがある。キャラクタービジネスという言葉が飛び交うようになったのもこのころから。出版社は本を作るだけでなく、キャラクターを生み育て、コンテンツを世界に輸出していく産業なのだ、という意識も芽生えた。「次の流行をつかまえるなら、『コロコロコミック』から目を離すな」と語ったかつての同僚は正しかったのだ。

大人向けにアンソロジーを発売

 30年といえば、創刊当時の小学1年生もいまでは30代なかば。もしかしたら小学1年生の親かもしれない。この広告の下段には「大人のコロコロ、誕生!」とある。『熱血!!コロコロ伝説』発売のお知らせである。創刊から(なぜか30年間ではなく)20年間の傑作を全10巻に厳選して収録したもの。思わずニヤリとしたのは、毎号、別冊コミックスが2冊ついていること。アンソロジーなのだから本編に入れてもいいのに、わざと別冊にしたところが『コロコロ』ファンのハートを突いている(全巻予約特典のドラえもんとオバQのフィギュアも欲しい!)。
 『コロコロコミック』の歴史は、現代日本の子ども文化の歴史そのものだ。


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