pick up AdVoice 2007.5/vol.10-No.2

B to Sコミュニケーションの成功事例 川崎重工業の企業広告
 読売新聞の広告反響調査「AdVoice」とは、「いつでもすぐわかる」定型調査(無料)と「なんでもよくわかる」オーダーメード調査(有料)の2種類から成るインターネットモニター調査です。詳細は、こちら(http://adv.yomiuri.co.jp/yomiuri/advoice/
 このコーナーでは、主に「AdVoice」定型調査の結果データを分析してお伝えしていきます。


3月6日 朝刊



 企業広告は、メッセージ伝達力のある新聞広告が得意とする分野ですが、最近「B to Sコミュニケーション」という言葉がよく聞かれるようになりました。B to B(Business to Business)、B to C(Business to Customer)と分けるのではなく、誰もが情報の発信者になり、すべての生活者がステークホルダー(=S)である今の時代には、企業理念や企業の活動を広く社会(=Society)に向けて伝えることが、企業価値の向上につながる、との考え方です。
 今回はこのB to Sコミュニケーションの成功事例として、3月6日付朝刊に掲載された川崎重工業の全15段広告をアド・ボイス定型調査の結果から見ていきます。

鉄道車両事業との結びつき

 広告では、アルバム上に世界各国で活躍する川崎重工業の歴代の鉄道車両の写真を載せ、鉄道車両事業百年の歴史をビジュアルでわかりやすく紹介しています。広告接触率(表1)は、予測広告接触率より21.2ポイント上回る86.4%、広告注目率も予測広告注目率を12.3ポイント上回る60.5%でした。広告接触率の予測値との上回り度は男女で差がありませんが、広告注目率では男性の予測値の上回りは18.6ポイントと、女性の3倍です。男性が高い関心を持つ「鉄道」だけに、「確かに見た」という人が男性で多くなったようです。
 広告閲覧による行動意向(表2)を見ると、最もスコアが高かったのは「よい広告を出していると思った」の37.7%、続いて「初めてこの商品・サービスや広告主を知った」と「あらためてこの商品・サービスや広告主に注目した」が同じ31.6%で並んでいます。広告に対して好感を持って企業メッセージに接したことがわかります。
 「初めて知った」と「あらためて注目」のスコアは、男性では「あらためて注目した」の方が、女性では逆に「初めて知った」の方が高い結果となっています。男性では「川崎重工というと真っ先にオートバイをイメージしますが、様々なものを製造していることがわかりました」(男性40代)という自由回答に代表されるように、すでに持っていたイメージに新たな情報が付加された様子が、女性では「見覚えのある電車なので、“おっ”と関心をひきました。それをつくっている会社については全然知りませんでした」(女性30代)とあるように、よく知った社会事象と、これまでよく知らなかった川崎重工業のイメージが結び付けられた様子がうかがえます。

表1 広告接触率、広告注目率(単位:%)
表1 広告接触率、広告注目率


高まったレピュテーション


 さらに、今回の広告は川崎重工業の存在感・信頼感を増加させ、レピュテーション(評判、名声)を高めることにもつながったようです。「改めて川崎重工業の業務範疇の広さを実感させられる紙面だと思いました。古くからの高い技術力、さらに現代の最先端技術を感じさせる写真が多く掲載され、アルバムを見ているようで、じっくり見入りました」(男性40代)、「100年、車両を造ってきたその事実は尊敬に値する。日本のリーディングカンパニーだ」(男性60歳以上)、「川崎重工業のおかげで私たちは便利な電車に乗り、移動手段に使わせてもらっているんだと思った」(女性30代)、「世界に誇れるものを造っていることに誇りを持っていることが感じられる。今後の意気込みのほども感じる。限りない応援を送りたい」(女性60歳以上)などの自由回答からは、広告が川崎重工業の歴史や、世界的に通用する高い技術力までしっかり伝えていることがわかります。
 また、「電車はこの会社が造っているのだと思い、何度も見ました。機会があったら就職してみたいとさえ思った」(女性20代)、「株主でもあるので、川崎重工の活動には期待している」(男性40代)、「川崎重工業については株購入で関心があったが、鉄道についてはよく承知していなかったので広告を詳しく読んだ」(男性60歳以上)など、コメント内容はリクルートやIR(投資家への広報)意識へも波及しています。

表2 広告閲覧による行動意向
表2 広告閲覧による行動意向


タイムリーな掲載時期


 広告で川崎重工業の車両事業の一つとして紹介されている「台湾高速鉄道(台湾新幹線)」は、今年1月5日に開業し、広告掲載直前の3月2日に全線開通したばかりというタイミングでした。「最近の新聞で、台湾の高速鉄道の開通や台北の地下鉄などの記事を見ていた。この広告は車両の優秀なことをアピールするよい広告だと思う」(男性60歳以上)という自由回答に見られるように、そのタイムリーさが、読者が今回の広告をよりスムーズに受け入れるための下地作りに役立っていました。社会の動きをうまく味方につけたBtoS広告だったといえるでしょう。

(東)
もどる