CURRENT REPORT 2007.4/vol.10-No.1

音楽とのコラボで検診を啓発し大腸がんの撲滅をめざす
 厚生労働省発表の「人口動態統計(平成17年)」によれば、2005年の全国の死亡数は108万3796人だったという。そのうち悪性新生物、つまり「がん」による死亡数は32万5941人、死亡総数の30.1%を占め、死因順位の第1位となっている。
 しかし、かつては恐ろしい病気であったがんも、近年はがん発生のメカニズム解明や治療法の確立などで、不治の病ではなくなってきている。体内にがんが発病しても、早期発見さえできれば、ほぼ完治できるようになったのだ。
 そこで、(財)日本対がん協会後援のもと、大腸がん検診の受診促進・早期発見を啓発する“BRAVE CIRCLE”大腸がん撲滅キャンペーンを展開するオリンパスのコーポレートセンター 宣伝部 部長・馬越正就氏に、キャンペーンの概要と、がん検診の重要性について話を聞いた。


オリンパス コーポレートセンター 宣伝部 部長 馬越 正就氏 ―― 一般的にはオリンパス=デジカメの会社というイメージが強いようですが
 オリンパスが手がける事業には、大きく三つの柱があります。一つは内視鏡を中心とする医療分野。次にデジカメやICレコーダーを中心とする映像・情報分野。さらに、産業用顕微鏡や非破壊検査装置を中心とするライフサイエンス分野などです。
 その中でもデジタルカメラは皆さんの目に実際に触れる機会が多いので、オリンパス=カメラメーカーのイメージを持たれていると思いますが、実は一番大きな売り上げをあげているのは医療分野です。
 弊社は1950年に世界で初めて胃カメラの実用化に成功しましたが、以来、ファイバースコープ、ビデオスコープへと着実に進化させ、現在、消化器内視鏡は世界で約7割のシェアを誇っています。錠剤を飲むように、簡単に体内を検査できるカプセル内視鏡の実用化も近づいています。

――オリンパスが大腸がん撲滅キャンペーンを行う意義は
 元々、がんの撲滅にオリンパスはいろいろな形でかかわっています。弊社が製造する消化器内視鏡にも、胃がんをはじめ、様々ながんの早期発見・治療をサポートするという使命があります。
 その一方で、大腸がんで死亡する人が増えているという現実があります。過去20年間で2倍以上に増加し、2015年までに肺がん、胃がんを抜き、男女を合わせた日本人のがん罹患数の1位になると予測されています。
 大腸がんは、検診によって早期発見できればほぼ完治できる病気です。しかし、初期の段階にはほとんど自覚がないこともあり検診受診率が約18%と低迷しています。
 そこで、オリンパスとしても世の中の人々に大腸がん検診の大切さを呼びかけ、根づかせていくことが消化器内視鏡のナンバーワンメーカーとしての責任ではないかと考え、2月から「BRAVE CIRCLE(勇気の輪)」と名付けた大腸がん撲滅キャンペーンを始めたわけです。

――音楽とのコラボレーションも話題になりましたね
 今回のキャンペーンは、年齢的に大腸がんにかかるリスクの高い、団塊の世代を主なターゲットにしています。
 そこで、フォーク世代である彼らに一番メッセージが届きやすい、ザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦さんにキャンペーンソングを作っていただきました。加藤さんの音楽仲間であるANRIさんと平原綾香さんにもキャンペーンに賛同していただき、活動に加わってもらっています。
 おかげさまで「いつCDが出るの?」という質問や、着うたを配信している会社からの問い合わせが結構あります。今のところその予定が無いので申し訳ないのですが……。将来的にはチャリティーコンサートなどが実現すればうれしいですね。

――デジカメなどの商品広告とは宣伝手法も大きく異なったと思うのですが
 いや、逆にとても似ていますね。今回のキャンペーンでは、TVスポット、新聞、ラジオ、Web、交通広告を使いましたが、中高年の方が実際に動線として触れるメディアとして選択しています。今回に限らず、広告を打つ際は、いつもメディアニュートラルの視点を考慮しています。
 新聞広告には新聞というメディアが持つ「信頼性」を一番に期待しています。じっくりメッセージを伝えるには最適なメディアではないでしょうか。惜しむらくは、カラーで掲載したかったですね(笑)。

――キャンペーンは今後も継続していくのですか
 線香花火で終わるのではなく、やはり長期的に継続をしていくべき性格のキャンペーンだと思っています。
 まずは、大腸がんの怖さと検診の重要性をご理解いただくこと。中長期的には大腸がんによる死亡数の減少が目標です。
 アンケートを取ると、自分ががんであるかどうかを知ることが怖いという方が意外と多いんです。ですから、キャンペーンタイトルの「BRAVE CIRCLE」には「自分の健康にきちんと向き合う勇気を持ちましょう。そして、その勇気の輪を周りの人々に広げていきましょう」という願いも込めています。その輪が徐々に広がり、ムーブメントになれば、本当に素晴らしいでしょうね。


(佐藤)

取材メモ
 今、日本ではおよそ3人に1人が「がん」で亡くなっているという悲しい現実がある。がんで死なないためには、何よりもがんの早期発見・早期治療が重要だが、だからこそ、検査と同時に処置も行える内視鏡について、我々も正しい知識を身に着けておく必要があるだろう。
 読売新聞でも、昨年から厚生労働省の後援とオリンパスメディカルシステムズ(株)の協賛を得て、内視鏡を使った医療技術の現状や内視鏡検査・治療の有用性を啓発するシンポジウム「がんの早期発見・早期治療に向けて」を開催している。今年も2月25日の仙台を皮切りに、札幌、名古屋、大阪、広島、福岡の全国6都市で開催し、健康に関心を持つ大勢の来場者を集めた。
 なお、シンポジウムの模様は、朝刊紙面でも複数回にわたって紹介している。
仙台開催風景
2007年2月 仙台開催風景
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