特集 2006.10/vol.9-No.7

Web2.0時代に生きる新聞広告
Webへのアクセスと新聞広告が果たす役割

 マス媒体で見た情報の詳細をウェブサイトで知る──インターネット(ウェブサイト)が企業・ブランドと生活者のインタラクティブな関係を構築する重要な接点、いわば生活のインフラとして位置づけられる中で、企業のマーケティング活動・広告展開におけるクロスメディア戦略の効果はどのように見ることができるだろうか。ビデオリサーチ インタラクティブの五十嵐達氏に寄稿してもらった。


 株式会社VRインタラクティブでは、自主調査『WebPAC』を2001年から実施しています。この調査は、インターネットユーザーのマーケット特性を多角的に分析することを目的としたもので、どのようにインターネットを利用しているかのさまざまな質問に加え、各種媒体の接触状況や所有・欲求商品、ライフスタイルなど多種多様な設問で構成されています。
 WebPACの対象者は、インターネットオーディエンスデータ、いわゆるインターネット視聴率を調査する『WebReport』の対象者も兼ねています。WebReportは、全国1万人以上のパネラーのPCにインストールされた調査ソフトによって、いつ、どのサイトにアクセスしたかのデータが収集されるものです。WebReportのアクセス先データとWebPACのプロフィルデータとあわせ見ることによって、性・年代などの基本属性だけでなく、どんな消費性向の人たちがアクセスしたのかまで分析ができることが特徴です。(調査概要は末尾参照)
 今回は主にWebPACのデータから、マス広告のウェブサイトへの誘引力と、その中での新聞広告の力について見ていきたいと思います。

ウェブサイトにアクセスするきっかけは?


図1 Webサイトにアクセスするきっかけ
 ウェブサイトへのアクセスは、どんなきっかけで行われているのでしょうか(図1)。「テレビ番組」が最も高く、その後「雑誌広告」「新聞広告」を含む6項目が2割台で続いています。記事、広告にかかわらず、マス媒体からの誘引力があることがわかります。新聞と雑誌は、それぞれ記事と広告でスコアに大きな隔たりがないのに対し、テレビでは番組と広告(CM)の間に差が発生しています。これは、印刷媒体の保存性という強みに加え、印刷媒体と映像媒体では、ウェブで収集したい情報内容が違っているためと解釈できるでしょう。
 新聞広告、雑誌広告、テレビCMのいずれかをきっかけとする割合は35.4%、3人に1人はこれらのマス広告をフックとしてウェブでの情報収集を行っています。この35.4%の人たちを「マス広告反応者」と呼ぶことにします。「マス広告反応者」を100としたときのそれぞれの広告媒体の重複度合いを示したものが図2です。こうしてみると、マス広告反応者は新聞だけ、雑誌だけ、といった単媒体の広告に反応するのではなく、いろんな媒体の広告を見て、ウェブサイトへのアクセスのきっかけにしていることがわかります。「新聞広告」に注目してみると、マス広告反応者のうち57.8%が新聞広告をウェブサイト訪問の起点にしています。この層を「新聞広告反応者」と称します。新聞広告反応者のうち、新聞広告のみをきっかけとする人は3分の1弱、2分の1弱は雑誌なりテレビなりとの2媒体重複、4分の1が3媒体すべての重複者です。

新聞広告反応者は二重構造になっている

 ところで、「新聞広告のみの反応者」と「新聞+他媒体広告との重複反応者」はプロフィルに違いがあります。例えば、「新聞のみ」は男性50歳以上での割合が多いのに対し、「新聞+α」で多いのは男女とも30・40代、またウェブで検索をする目的は、「仕事や勉強の情報収集のため」は共通しているが、「暇つぶしのため」の検索行動は「新聞+α」は行うが「新聞のみ」はあまり行わないなどです。つまり二重構造になっており、「新聞広告」反応者としてひとくくりにとらえてはまちがってしまう恐れがあります(注)

(注)「新聞広告のみの反応者」「新聞広告+他媒体広告との重複反応者」の差異についてのリポートは、読売新聞広告局の研究室「よみラボ」に掲載しています。

新聞広告に強く反応しているのは?

表1 ターゲット別のマス広告・新聞広告反応状況
表1 ターゲット別のマス広告・新聞広告反応状況


 ここからは、「マス広告反応者」(=新聞/雑誌/テレビの広告いずれかが起点)と「新聞広告反応者」との差異を見ていく中で、新聞広告の果たす役割・機能を検証してみます。まず、ターゲット別にみて、どの属性で強い反応を示しているかを確認しました(表1)。性・年代別でみると、マス広告反応率は男性では30代がピーク、女性では20・30代をピークとした構造になっています。マス広告反応者に占める新聞広告反応者の割合は、男女とも年代が上の層ほど高い傾向を示しており、高年齢層におけるウェブサイトアクセスに対する新聞広告の影響の強さが読み取れます。
 自宅内でのPCインターネット接触時間との関係性をみると、接触時間量が多くなるほどマス広告反応率は高く、それだけ情報に敏感だといえるでしょう。一方、新聞広告反応率は、インターネット接触30分未満とそれ以上のユーザー間で有意差はありますが、30分〜1時間未満/1〜2時間未満/2時間以上の区切りではスコアに大きな差はなく、またシェアについても接触時間量で大きな格差はないことから、新聞広告反応はインターネットユーザーの利用レベルにさほど影響を受けていないことがわかります。つまり新聞広告は、ネットのライトユーザーに対しても、ウェブサイトへのアクセスを誘引できる力があるということです。
 ヘビーユーザーであれば、マス広告が誘引しなくてもいずれネット上で情報に接する可能性もありますから、ライトユーザーに力を持っていることこそ、生活のインフラとしてのウェブに力を発揮するといえるでしょう。
 その他、当たり前のことかもしれませんが、平日朝刊の閲読時間が多いほど新聞広告反応率が強くなる、という相関も如実に見受けられます。

新聞広告反応者のインターネット行動の特徴は?

 インターネット時代の購買行動プロセスとして注目されている「AISAS」モデルに合致するような設問をチョイスして、マス広告反応者と新聞広告反応者のインターネット行動の特徴をまとめてみます。
 総じて、全体にくらべると双方ともインターネット行動に対して活発な姿勢を示していますが、その中でも新聞広告反応者のキーポイントは何なのでしょうか?
■親和性のある商品ジャンル  
 “Attention”“Interest”といった概念には決して一致した設問とはいえませんが、「関心を持っている商品・サービスの広告」において、マス広告反応者の上位10カテゴリは以下の通りです。
(1)国内旅行案内 (2)デジタルカメラ (3)書籍・雑誌 (4)プラズマ・液晶テレビ (5)菓子 (6)パソコン本体 (7)映像ソフト(ビデオ・DVDなど) (8)音楽ソフト(CD・MDなど) (9)身のまわり品(衣類) (10)乗用車
 この中で、新聞広告反応者でより高い、つまり新聞広告と親和性が強いカテゴリとして、「国内旅行案内」のほか、「書籍・雑誌」や「パソコン本体」などがあげられます。
■検索行動(Search)
 「検索する頻度」に関しては、週4日以上の検索行動率は「マス広告反応者」「新聞広告反応者」とも5割弱を占め、大きな差異はありません。「インターネット検索する目的」の選択肢である「商品を購入・検索するため」の割合も、ともに過半数を示し、スコア間格差は見当たりません。
 「見たいウェブサイトへの到達方法」として、マス広告反応者・新聞広告反応者とも85%までが「ポータルサイトや検索サイトで検索して」と回答していますが、「マス媒体で見聞きしたURLをダイレクト入力する割合」は、ともに3割強を示し、全体を10ポイント以上上回っています。マス広告の力は、ダイレクト入力において発揮されるようです。
■インターネット上での購買行動(Action)
 「アクセスしたEコマースサイトジャンル」でも、実際にこれらeコマースサイトジャンル上で購入・契約まで至った割合で見ても、全体<マス広告反応者<新聞広告反応者、となっています(表2)。マス広告、特に新聞広告が生活者の購買行動を喚起していることが証明されたといえるでしょう。
■情報の発信(Share)
 自らブログを制作・公開したり、SNSに参加するなど、CGMとして情報発信しているのは、全体では10%、マス広告反応者・新聞広告反応者ではともに14%を占めています。相対的には高いですが、この意味を分析するにはもう少し時間をかけてウオッチしていきたいところです。
 インターネット行動についてまとめると、新聞広告に限らずマス広告によりウェブサイトにアクセスするユーザーは、インターネットをうまく使いこなしていることがわかりました。新聞広告に限ると、インターネット上での体験を昇華しウェブサイトでの購買行動まで通貫する確率が高い点などが特徴としてあげられます。

表2 EC(eコマース)サイトでの購買行動
表2 EC(eコマース)サイトでの購買行動


【『WebPAC』調査概要】
【『WebPAC』調査概要】




リスティング広告と新聞広告の相性
KDDI マーケティング本部宣伝部長 村山直樹氏→


プラットフォーム化するWebとマス広告の役割
HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長 永井一史氏→


住まいの購入パターンの変化と新聞広告
ミサワホームホールディングス 販売企画部 宣伝企画グループ マネージャー 原田 不二雄氏→

個人インフルエンサーが評価する情報源
ブルーカレント・ジャパン 取締役社長 本田哲也氏
バイスプレジデント 前川浩樹氏→
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