特集 2006.4/vol.9-No.1

クロスメディアをどう発想するか
新聞広告によるリスティング広告への誘導

 検索ワードに連動して検索結果画面に広告が掲出される「リスティング広告」が注目されているが、新聞広告からリスティング広告という連動も試みられ始めている。その事例を博報堂DYメディアパートナーズ新聞局インターネットプロジェクトチームに寄稿してもらった。

 2004年度の広告統計でラジオ広告費を追い抜いたインターネット広告費。接触時間からとらえればテレビ以外のメディアではトップになるなど、進境著しいインターネット広告と新聞広告の連携――いわゆるクロスメディアとしての取り組みを目指し、2005年度より社内のプロジェクトチームで議論を重ねてきた。議論の当初では、異なる閲読者層、視聴状況、また異なる取引環境と、新聞メディアとオンラインメディアを組み合わせるクロスメディア企画であるがゆえの相違点に悩まされたが、プロジェクト内であらためて両メディアの機能、特性等を定義することにより、両者の特性を補完するクロスメディア企画の立案・実施に至った。

企画概要と実施まで

 今回の企画では、検索ワードに連動して検索結果画面に広告が掲出され、それらがクリックされて得意先のマーケティング・サイトへと誘導する、インターネット広告のなかでも成長著しい「リスティング広告」と呼ばれる手法と、新聞広告掲載を重ね合わせた。
 具体的なクロスメディアの効果としては、目的意識を持って検索してくるウェブユーザーを、得意先の指定サイト(ランディング・サイト)へ一人でも多く誘導することと、事前に買い付けを実施している検索ワード自体への興味関心を、広範なリーチを擁する新聞広告の効果で向上させることを意図して企画された。
 企画のセールスにおいては、自社サイトへのトラフィック向上を意図してインターネット広告を積極的に実施しており、かつ現在市場展開している車種において、新たなる切り口からのアプローチを模索していた三菱自動車のご協力を得られることとなった。具体的には2月13日から17日までの5日間連続で読売新聞東京夕刊にリスティングキーワードを告知する全2段広告を掲載した。また2月10日から2月末日の期間で、「ミニバン」「セダン」というワードを軸にしたリスティング広告の展開を実施した。

新聞広告と連動した検索結果

 今回の実施結果を見ると、新聞広告の出稿とその期間でのランディング・サイトへの流入数(クリック数)、およびターゲット・ワードの検索数が、マスメディアでのコミュニケーションがないときと比較して、大幅に伸長していることが認められた。
 具体的な数値を挙げると、クリック数においては新聞広告出稿のなかったときの約3.8倍、検索数におけるそれは約2.3倍という実績を残し、新聞広告出稿がウェブユーザーのアウトランダー・サイトへの流入を促進したとの理解をいただいた。
 クリック数、検索数とも新聞広告掲載のタイミングでの伸長が認められたが、特にクリック数は新聞でのコミュニケーション内容とそのときのクリック数の間で明確な相関関係が認められた。この現象は、新聞広告認知者が広告のイメージ的側面のみならずメッセージ内容までを理解し、その理解をさらに確認する、あるいは探索する目的でウェブサイトの閲覧まで到達した、AISASモデル(注)のサーチステップの現れではないだろうかと推測され、新聞広告特有のクロスメディア効果といえるかもしれない。
 また前述の結果を得意先社内において報告したところ、今回の取り組みについてのクロスメディア的な側面が評価され、引き続き新聞掲載とリスティング広告の企画が継続となったという副次的効果についても付け加えたい。

(注)AISAS = ネットでの購買行動のモデル。Attention(注意)→ Interest(関心)→ Search(検索)→ Action (購入)→ Share (共有)の頭文字を取ったもので、商品を認知し、興味を持った消費者は、まずネット等を活用した情報収集(Search)を行い、その結果、購買行動を起こすと言われる。

2006.2.13・15・17 夕刊
2006.2.14・16 夕刊
検索サイトのリスティング広告(例)
ランディング・サイト


改善点と今後へのつながり

 今回のクロスメディア企画事例においては、広範なリーチを持つ新聞広告が、成長著しいインターネット広告と組み合わせることにより、その効果を増進させることができるという企画意図が実証された。今後は選定される新聞ビークル(朝刊か、夕刊か等)や表現サイズによるクロスメディア効果への影響を、実績を積みながら見定めていくべきである。また今回実施することはできなかったが、サイト流入後(ポストクリック)のウェブサイト内での行動を追跡することにより、マスによる流入後の行動を推測し、クロスメディア効果の深層的側面を検証したい。
 その他クロスメディア企画を今後実施するポイントとしては、新聞広告およびインターネット広告の両者に精通したクリエイターの存在・協力なしには効果的な取り組みが難しいと思われる点が挙げられる。従来のようにメディアごとでの制作実施ではなく、施策全体を意識した上でのクリエイティブ・コントロール、かつメディア・コントロールができること、それが成功するクロスメディア企画への近道である。これを今回の取り組みの教訓として踏まえ、新聞広告がクロスメディア的な展開のなかで引き続き有効なプレーヤーである事例を今後も積み上げたい。
 最後に、効果指標が明確に現れるクロスメディア企画を立案する際は、常にマーケティングコストの観点からよりシビアに結果が求められることを強調しておきたい。



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