こちら宣伝倶楽部 2005.12/vol.8-No.9

広告主から見た今年の出来ごと

イラスト メディアの発達したおかげで、知らなくてもよいことまで知らされ、エピソードの連打は時のたつのを早める。そのおかげで腰の定まらぬような日を増やし、仕事のおさまりがじゅうぶんでないままに、次から次へとシーンだけ移し時のたつのがどんどん早くなっていく。今年はまだ完全に終わったわけではないが、忘れてしまうにはちょっと引っかかる事件が多かった。

金を出す、金を払わぬ

(1)テレビ局は金だせば買えるという話
 2月にCX、10月にTBS、テレビは大衆メディアだから騒ぎも大衆レベル化して話題をあおりたてた。堀江33歳、村上46歳、三木谷40歳が火つけ役、業界のやや旧態依然に目ざましの効果。電波の公共性をうたうが視聴者にはその実感は薄い。あおってゆさぶってマスコミがマネーゲームをつりあげる。  
(2)インターネットがラジオをぬいたという話
 広告費、インターネット広告がラジオ広告をぬいた。その伸び率は153.3%。4大媒体といわれたものの一角が入れ替わるというが、5大媒体の時代が始まると考えるべき。ネット業界初の1,000億円企業も誕生した。広告収入の増加をねらい集客力の向上をネット各社はねらう。トップの広告収入は389億円。
(3)CM飛ばしという新しいメディア接触の話
 録画してあとから見る。DVDレコーダーを使えばCMを飛ばせる。そのハードを広告主企業が供給する。過半数は80%以上の飛ばし、その広告損失額は540億円とも。この問題を広告主側から広告業、放送会社側に話し合いの申し入れするもやや温度差。団体事務局の問題意識とフットワークに差があると思われる。
(4)NHKの受信料不払いと放送不信の話

 不正と不信がたまってNHK受信料支払い拒否が約130万件、払わぬ人には公開番組の入場拒否や簡易裁判所を通して督促状を送る、職員の一割削減計画におよび、ついには人気のプロジェクトXも打ち切る。「職員で未払いないかNHK」 これは新聞でみつけた読者川柳。NHKでなくテレビ界とCMの信用に響く。
(5)企業価値という新しい株主理屈の話
 テレビ局への大型投資で各局の苦悩が続いている。投資する側があげるいろいろな理由のなかで耳に残るのは「企業価値をあげる」ということ。ひょっとしてこれは平凡な商品をつくり安売り商法にはまりこみすぎた多くの企業やブランドにとっても心当たりのあることだ。

新しい仕事環境をつくる

(6)新聞力についての大手足並みぞろいの話
 今年の新聞大会のテーマは「新聞力」。これをうけて「新聞広告の力」が広告分野でテーマになった。大手5紙が共同のシンボルマークを作って、各社で発行の啓発マガジン10月号で新聞広告の力を特集。各社に共通の問題意識のあることの証明。この足並みの今後に期待したい。
(7)ねつ造記事と他紙反応の話
 8月、特定社の新聞で、選挙と地方局がらみの記事のねつ造がクローズアップされた。NHKや消費者金融ともすっきりしない前歴があり、ねつ造を他の各紙はトップ扱いでとりあげた。競争関係の足の引っぱりあいではないと思うが、新聞とその広告への不信は増幅されたと思う。
(8)通販売り上げと顧客満足に関する話
 日本の通信販売は、昨年の実績で3兆400億円(前年比9%増)と業界発表。うち会員企業416社の売り上げは2兆2,700億円で、その46.2%はネット経由だという。このままだとわざわざ町や店へ出かける理由、動機づくりが究極の課題になる。大手メーカーから無人レジも発売された。サービスとは一体何か。
(9)大手広告会社の早期退職者募集という話
 広告不況というより不安定期、ついに業界最大手の広告会社でも100名の早期退職者を募集という記事にびっくり。ケースによっては上限3,000万円の退職金上のせとも聞いた。一体いくらの給料、いくらの退職金、その金はどこから出るのかなど、広告主は考え込んでしまう。
(10)企業とスポーツ・文化支援の話
 マラソンの野口みずき選手を応援している。ドイツで日本新を出しての優勝は立派だったが藤田監督からの手紙で「空港での優勝会見の後半は所属企業からのチーム廃部の公表」とのこと。スポーツ選手の寿命は長くない。企業が約束した社会責任のふんばりどころだ。プロ野球も大変だ。経営の社会責任が改めて問われる。

冷静になって考えること

(11)3年計画というCMのCMに関する話
 民放連では8月28日を「CMの日」として、全国133社のテレビ各社がCMのCMを向こう3年間自腹で流すことにした。テレビCMが消える日などという噂(うわさ)をはねのけて、CMの価値向上をめざす。CMスキップはCMの料金制度と、ビジネスモデルに影響してくる。
(12)「雑誌なんて」という広告の話
 インターネット広告はそう遠くないうちに雑誌広告の実績に近づく。昨年11月にやっと雑誌の公式部数がでるようになったが、まだまだ全社全誌ではない。若者の活字ばなれとコミックに支えられた体質は多難に見える。そんな中で「雑誌なんてなくてもいい。あった方がいい」の大手出版社の広告にはちょっとびっくりした。
(13)結局万博は何だったのかという話
 愛知万博、入場者2,205万人弱、うち愛知県と岐阜県人の合計がちょうど50%、入場料収入は約600億円。外国からは台湾、韓国、中国で46%。つくばは抜いたが大阪にはとてもおよばない。万博が広告をおもしろくしたという話はない。発展途上国のイベントになる。
(14)衆院突然選挙の圧勝に関する話
 なんだか今回のはヒステリックな選挙だった。学んだことはメッセージはシンプルがよろしいということ。たたかれてもそれを貫いた方がよいということ。外資系のPR会社などあてにして、大衆うけしない外国語を大上段にふりまわさない方がよろしいということ。広告人はいろいろ学ぶことの多い選挙だった。
(15)民営化ビジネスで広告はどうなるかの話
 道路や郵便の経営スタイルが変わる。期待もあるけど不安もある。よく似たケースに腕ききのクリエイターの広告会社ばなれがある。もう広告会社に一流のクリエイターはいないと断言する人もいる。彼らとて大樹からはなれて民営化するわけだ。クリエイターの会社や営業への不信が原因としたら内部固めが課題になる。

もどる