企業訪問 2005.12/vol.8-No.9

店舗と通販を両輪にオフィス用品を展開
 最近、オフィス用品の広告を目にする機会が多くなった。文具メーカーの広告ではなく、様々なものを取りそろえたオフィスワーカー向け販売会社の広告だ。世界的に展開し有数の売り上げ規模を誇るオフィス・デポの日本法人、オフィス・デポ・ジャパンのマーケティング本部 本部長の稲辺裕樹氏に、活気づく同業界で実績を上げていくための事業方針などについて聞いた。

稲辺 裕樹氏   オフィス・デポがアメリカ・フロリダ州で最初の店舗を出したのは1986年。オフィスで使うものをすべて集めて安価で提供するカテゴリー・キラーとして登場した。それまでは地域ごとの小さな文房具店しかなく、定価販売が中心。メーカーからの大量直接仕入れによるバイイングパワーを生かした手法が効果を発揮し、またたく間に全米ナンバーワンの存在に駆け上がったという。
 今では、23か国で事業展開し、社員約4万7,000人、店舗数は約1,200を数える。販売チャネルも、店舗のほか、カタログ、大手法人との契約ビジネス、eコマースと、幅を広げている。オフィス・デポ・ジャパンの稲辺裕樹氏は「eコマースによる売上高約3,500億円は、アマゾン、デルに次いで世界第3位に相当する規模になっています」と語る。
 
日本のマーケットに合わせ

 オフィス・デポの日本進出は1996年。アメリカ並みの床面積を誇る大型店舗からスタートしたが、地価の高い都心のオフィス街では経費に見合う売り上げの確保は難しいことから、軌道修正を図ったという。
 アメリカは車社会のため商圏が広く、大きな店舗ではそれだけ購買単価も大きい。それに対して日本の場合は、オフィスから車で買い物に来るわけではないので、購買単価も低い。また、地区によって客層が違うため、売れ筋も変わる。近くに大学があればノートやペンが多く売れ、マンションが近くにあれば主婦たちがティッシュペーパーや水を買っていくといった具合だ。
 「日本ではマーケットに合わせた、きめの細かさが必要です。お店の規模も、ロケーションも、置く商品の種類も、何が最適かを見つけるため、試行錯誤の時期がありました」
 現在は、東京、横浜、大阪で21店舗を展開している。
 オフィス・デポの特徴の一つは、品ぞろえの多様さだ。文具やビジネス機器、OA用品はもちろん、飲み物やお菓子、タオル、洗剤など、オフィスで働く人たちが必要とするものなら何でもあると言っても過言ではない。カタログにずらりと並ぶ1万を超すアイテムは壮観だ。
 販売チャネルの多様さも、大きな特徴。店舗展開の一方で、カタログ販売にも力を入れており、通販の売り上げは店舗と肩を並べる規模になっている。「商圏があるお店に対して、カタログは地域に関係なく全国をカバーできます。うまくすみ分けできれば」。
 さらに、各国で実績を上げているWEBを使ったeコマースも、「伸ばしていかなければならないチャネルですね」。ただし、オンラインのみに注力すればよいというわけではなく、WEBの検索性やカタログの一覧性など、それぞれのチャネル特性を生かした展開が今後より重要になっていくだろうという。

ユーザーを意識した広告

 それでは、広告・宣伝活動においては、どういう点を重視しているのだろうか。「現状ではマス広告は基本的にレスポンスメディアだと考えています」と稲辺氏は率直だ。カタログやWEBサイトへのレスポンスをいかに上げるかが第一目的で、それに加えて認知度をアップさせたいのだという。「新聞の場合は、手元に残って参照できるレファレンス性、それに信頼性も評価しています」
 具体的な広告表現に関しては、ターゲットとなるユーザーを意識しているという。3月の15段広告はコアターゲットである比較的小規模なオフィスワーカーに向けてのまっすぐなメッセージだ。一方、9月に3段スペースで8回掲載した広告は、同社を必要としている人がまだまだいるのではないかという思いを、「○○の、オフィス・デポ」という特大コピーに表したものだ。社長、総務部員、飲食店主、ナース、ワーキングマザー……、様々なオフィスで働くユーザーに対応したアイテムを用意している同社の特徴を踏まえ、「商材やチャネルの持つわれわれの多様性をなるべく分かりやすくストレートに訴えていこうとしたら、こうなったのです」という。
 これからの事業展開について、稲辺氏は、「われわれの原点である店舗をやはり積極的に出していきたい。店舗を出せば、商圏のお客様、来店されたお客様に対して認知度が高まり、そのお客様がカタログを持っていって通販を利用してくださる、またWEBサイトにもつながるという、プラスのスパイラルが生まれればと思っています」と話す。
 さらに、品ぞろえの点でも、「グローバルなネットワークを生かして、いいものをより安く提供すると同時に、ユニークな商品がほしいというニーズにも応えていきたい」。
 日本進出10年目を迎えるオフィス・デポ・ジャパンの挑戦は止まりそうにない。

3月8日 朝刊
様々なターゲットに向けたオフィス・デポ・ジャパンの広告(左上から下へ順に、9月6日、7日、9日、14日、15日、16日、21日、26日 朝刊)

(増田)
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