特集 2005.10/vol.8-No.7

メディアニュートラル時代に効く広告
企業の「本気度」を伝えるメディア

価値を伝えられるメディア

――テレビ視聴率は効果指標になる?
 視聴率だけで番組の価値やメディアとしてのテレビの価値を測ろうとは思っていません。テレビに限らず、新聞や雑誌も、広告の見られ方や広告を見たときの印象といった「広告の質」を大事にしたいと思っています。メディアのスペースや時間を買うことが広告ではないし、目立てばいい、商品名を覚えてもらえばいいというのも広告ではないと思うからです。
 今はモノやサービスが溢れている時代です。商品名を連呼してもほとんど何も伝わりません。また、奇をてらった広告も氾濫しています。ただ見せればいい、目立てばいい式の広告に人々は辟易しています。まして、人間性回帰、エコ、心の豊かな社会という方向に世の中がシフトしているときに、たった15秒のCFや1枚の広告で自分たちの商品やサービスを語るのは、あまりに厳しい。だからこそ、商品メッセージやコーポレートメッセージをしっかり伝えていきたいと思っていますし、商品の中身の価値まで伝えていけるメディアを大事にしたいと考えています。

CM
――新聞と同日に、日本テレビの特別番組として「Tokyo美人物語〜本当のキレイを探す旅〜」を一社提供されましたが。
 それも、基本的には同じ考えで、「マキアージュ」の世界観をきちんと伝えたかったからです。自分たちの世界を本編も含めて全体でつくったほうがよりしっかり伝わる。それで1時間半の特別番組を1社で提供させていただきました。

――単に広告が届くだけでは価値は伝わらない?
 そうです。いまメディア戦略は大変悩ましいところに来ています。確かにテレビは、なければ家庭が成り立たないと言われるくらい強力なメディアです。しかし、それに頼るだけで私どもが提供している商品の価値が十分伝わるのか。商品やサービスが持っている「絶対価値」、要するに資生堂の商品やサービスだけが持っている価値を伝えるためのメディアは、いま何があるか。そういう意味で、今回の新聞広告には非常にいい評価が出ていると思います。
 また、雑誌もライフステージや年代別に明確にセグメントされた世界観を持って作られていますから、メッセージがよい形で伝わっていくメディアだと思っています。そういう意味で、活字メディアには非常に期待しています。

作られた媒体イメージ

――インターネットについては、どう評価していますか。
 新聞、雑誌からネットは入りやすいと思います。ただ、かつていろいろ試みたのですが、広告を見てサイトに来た人は、深い情報を期待して来ていません。広告で十分伝えられる情報しか見ていない。であれば、雑誌や新聞広告の中で完結できると最近は思っています。逆に言うと、ふだんからネットを見ている人が、ネットを動かしているのではないかということです。「ネットはより深い情報を教えてくれる」「よりよいターゲットの集まりだ」という見方には疑問を持っています。
 いまはインターネットとの対比で活字メディアは苦しい状況にあるように言われがちです。ITだ、双方向だと言われる流れの中で、活字メディアは少しオールドなイメージが先行していますが、決して新聞も雑誌も時代遅れのメディアではないと思っています。それは作られたイメージです。
 逆に、新聞や雑誌こそ、真実を語るメディアだと思っています。一つひとつの商品記事にしても、専門の記者や編集者がプロフェッショナルとして書く、まさに誠実で、社会性と信頼性が高いメディアです。伝えたいメッセージを、聞いてほしい人にきちんと伝えるのが広告の本質だとすれば、新聞や雑誌はこれからの時代こそ大事なメディアになってくると思います。

誠心誠意を込めた広告を

――新聞広告にインナー効果を期待していますか。
 当然、期待しました。コーポレートメッセージは、お客さまに対してだけでなく、社内に対しての決意表明でもあるわけです。その決意の本気度が伝わるのは、新聞広告だと思っています。得意先、社員にも新聞広告であれば一斉に伝えることができます。先ほどコーポレートメッセージは、お客さまにとっては会社が勝手に作ったものと言いましたが、これを会社の中でいうと、本社が勝手に作ったものという話になります。それを一刻も早く、社員も、得意先も含めて浸透させるのは、本気度が伝わる新聞広告をおいてほかにありません。

――「マキアージュ」の広告には、当日放送される番組の告知が入っていませんが。
 この広告には商品特性もほとんど入れていません。皆さんのために新しいブランド「マキアージュ」を作りましたという資生堂の思いを伝える誕生広告です。言ってみれば、これも企業メッセージです。ここに番組の告知を入れるだけで、企業の欲が見えてきます。誠心誠意ではなくなります。読者には、それがわかる。メディアの連動も、より深い価値が伝わっていくのであれば連動させるべきだと思いますが、そうでなければ連動させても広告主の勝手な思い込みで終わってしまうということです。広告に多くを勝手に期待し過ぎてはいかんと思うのです。伝えたいこと以外の情報を入れれば入れるほど、広告が伝えようとしているものは伝わらなくなります。もっと一つひとつ誠心誠意を込めて広告を作るべきだと思うのです。それが、その広告の価値の最大化につながる。ブランディングとは、そういうことだと思います。

←前のページへ



対談「新聞広告の力」とは何か
電通 常務執行役員メディア・コンテンツ第1本部副本部長  杉山恒太郎 氏 ×
電通 コミュニケーション・デザイン・センター クリエイティブディレクター 高松 聡 氏→


インパクトのあるメディアにも、読ませるメディアにも
三井不動産 都市開発第一事業部 事業グループ 主事 米持理裕 氏→


企業のビジョンを伝え、生活者と対話するメディア
日本コカ・コーラ コーポレートブランディング&コミュニケーションズ本部 グループマネジャー 橋爪達也 氏→

新聞5紙共同企画「新聞広告の力」について→
AdVoice特別アンケート 読者は新聞広告をどうみているか?→
もどる