今月のデータ 2005.7・8/vol.8-No.4・5

通販市場の活況を探る
 衣類・健康食品・化粧品……現在、手に入らないものはないとも言われる通信販売。この“店舗”を通さずに、ダイレクトに企業と消費者を結びつけるビジネスモデルは、景気が一進一退を続ける中、着実に、しかもしっかりとその存在感を示している。そこで、今回は様々な調査結果から、活況を呈する通信販売と利用者の関係を明らかにし、その将来像を展望する。


伸び続ける通販の売上高

 日本通信販売協会によると、2003年度の通信販売の売上高は推計で2兆7900億円、五年連続で過去最高を更新している(図1)。
 売上高がほぼ一貫して伸び続けている通販市場だが、利用者の数も増えているのだろうか。2001年からの経年変化で見ると、1年間に通信販売を利用した人は、毎年35%前後で変わっていない(図2)。だが、利用者を年間利用回数別に見ると、「5回以上」の高頻度利用者が年々増えており、リピーターが増えていることがわかる(図3)。
 次に、利用者の購入傾向を探ってみる。年間の通販会社の利用社数は「4社以上」の割合が2004年は2割を超え、平均利用社数も年々増えている(表1)。年間の通販に費やす合計金額でも同様の傾向が見られ、高額利用者(「5万円以上」)の割合が高くなり、2004年の平均利用合計金額は過去最高であった(表2)。ただし、1回あたりの平均利用金額に変化はない(表3)。
 つまり、消費者1人当たりの利用が頻繁になったため、総利用金額が増え、結果的に通販の売上高も伸びてきたと推測される。

通信販売売上高の推移

(利用した人に)何回利用したか/この1年間に通信販売を利用したか(インターネット通販を除く)

1年間の利用通信販売会社数の推移

1年間に通信販売を利用した合計金額の推移

1回あたりの平均利用金額の推移

多様なニーズに対応

 それでは通販利用者はどのような商品を購入しているのだろうか(図4)。男女別に購入商品が異なるのはもちろん、年代による差も大きい。女性20〜40代では概ねどの商品もスコアは高めだが、中でも「婦人服」「衣類」「化粧品」が四割前後と高い。一方、男性で比較的高いのは「雑貨・小物類」「電気製品」。また、男女とも30代を中心として「子供服」が、年代が上がると「健康食品」が、高くなっている。
 購入商品の推移を見ると、数多い対象商品の中で上位に入る品目自体はあまり変わっていない。ただし、その中での購入率の変化は顕著で、「化粧品」「健康食品」のスコアは時代のニーズもあって大きく伸びている(図5)。

最近1年間に通信販売で購入した商品

通信販売で購入した商品の推移

約半数が「会社の信頼性」を重視

 では、利用実態や意識に特徴はあるのだろうか。2004年度の一般個人調査によると、利用回数は男性の4分の1が1回だけの利用なのに対し、女性は5回以上が3割以上となっている。年代別では、男女とも30〜40代の35〜40%が「5回以上」に集中し、ボリュームゾーンになっている。やはり働き盛りの勤労者や子育てに追われている主婦は、自宅に居ながらにして購入できる通販の便利さを享受しているのだろうか(表4)。
 また、通信販売を申し込むときに利用者はどんなことを重視しているのだろうか(表5)。上位を占めたのは、当然のことだが、購入する商品についての項目で、「商品の価格」「商品の質」が七割以上と高い。ただ、注意したいのは3位の「会社の信頼性」である。約半数の48・3%が重視している。やはり、目に見えない相手だけに、利用者にとって信頼の置けない相手では財布のヒモも固くなるのは当然だろう。
 利用回数別に見ると、多く使っている人ほど、ほとんどの項目でスコアが高くなっている。中でも、「会社の信頼性」や、「商品の交換など取引条件」「支払い方法」「送料」では、「5回以上」利用している人の方が「1回」利用者よりも10ポイント以上高くなっている。またヘビーユーザーほど、購入する商品と直接の関係がない「会社の信頼性」や「広告媒体の信頼性」「個人情報の保護」という点も重視して通信販売を利用していることがわかる。
 右肩上がりの売上高と利用者比率の停滞が同居する通販市場にとって、未利用者へのアプローチに加え、リピーターへの企業としての信頼性のアピールが、今後成長し続けられるかどうかのカギを握っていると言えるのではないだろうか。

最近1年間に通信販売を利用した回数(利用者のみ)

通信販売を申し込むときの重複点(性別、年間利用回数別、複数回答)

2004年一般個人調査(東京)
調査期間 2004年6月25日〜7月15日
調査地域 東京40km圏
調査対象 15〜69歳の男女個人
サンプル数 4,200
サンプリング 住民基本台帳を基にした
二段階無作為抽出
調査方法 訪問留置法
有効回収数(率) 3,023(72.0%)
調査企画・設計 読売新聞東京本社広告局
レターヘッド・
実査
ビデオリサーチ
2004年ACR調査(東京)
調査期間 2004年5月10日〜5月23日
調査地域 東京30km圏
調査対象 12〜69歳の男女個人
サンプル数 3,600
サンプリング 住民基本台帳を基にした
二段階無作為抽出
調査方法 訪問留置法
有効回収数(率) 2,612(72.6%)
調査企画・設計 ビデオリサーチ
レターヘッド・
実査
ビデオリサーチ

(橋本)

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