特集 2004.11/vol.7-No.8

企業とスポーツの新しい関係−アテネ五輪とオフィシャルパートナーの取り組み−
栄養摂取の指導を通して日本代表選手をサポート

 日本代表選手のパフォーマンス向上のために、JOCと選手強化支援のためのプロジェクトを立ち上げたのが味の素KKだ。日本代表選手をアミノ酸でサポートした狙いについて聞いた。
 
選手のサポートが第一義

 JOCの栄養補助食品カテゴリー(粉末・タブレット)でオフィシャルパートナーになっているのが、味の素KK「アミノバイタル」だ。同社は2003年6月からJOCと組んで、アミノ酸でアテネ日本代表をサポートする「ビクトリープロジェクト」を立ち上げ、選手や指導者に疲れを残さない栄養摂取の方法やトレーニング段階に応じた栄養指導を行い、各競技団体の合宿にも帯同した。また、プロジェクトリーダーがアテネに出向き、選手に日本の食材を用意するなど側面からもサポートを行った。
 プロジェクトを立ち上げた理由をアミノバイタル部の松本氏は、「広告キャンペーンのために選手と契約したととらえられがちだが、そうではない。選手のサポートが第一義だった」と強調する。「こちらからアプローチしたわけではなく、『アミノバイタル』を以前から評価していただいて、室伏選手や北島選手などJOCのアスリートが飲んでいたという事実があって、オリンピックに向けて彼らをサポートしていこうというのが、最初の発想です」。また同部の小川氏も、「2人の選手に『ビクトリープロジェクト』の頂点、象徴としてアドバイザリー契約を結ばせていただきましたが、それだけが活動ではない。日本代表選手のパフォーマンス向上のために始めたことなんです」と語る。

アミノバイタルのパッケージ
(2004年7月17日 朝刊) (2004年7月24日 朝刊)

合宿所で栄養指導セミナー

 「ビクトリープロジェクト」の正式名称は「味の素KK/アミノバイタルJOC選手強化支援ビクトリープロジェクト」という。「選手強化支援」とあるように、JOCといっしょに選手を栄養面から強化していく。そのために結ばれたのがJOCとのオフィシャルパートナー契約だ。
 パートナー契約を結んだのは2003年2月、プロジェクトの設立発表は同年6月に行われた。活動の中心となったのは、各競技団体を対象に行った栄養指導セミナーだ。それも、プロジェクトリーダーが各合宿所に赴き、練習を見ながら、あるときは車座になりながら、栄養摂取の方法の重要性をひとつずつ説き、選手の質問にも答えていった。セミナーを始めてわかったことは、日本代表選手の中にもトップアスリートにしては食事や栄養への意識が低い人がいることだ。
 人間の体は60〜70%が水分で、約20%がたんぱく質でできている。このたんぱく質を構成する“部品”が約20種類のアミノ酸で、このうち9種類が人間の体内で合成できないもので、「必須アミノ酸」と呼ばれている。中でも重要なのが、BCAAと呼ばれるロイシン、イソロイシン、バリンの3種類のアミノ酸と、アルギニン、グルタミンだ。BCAAは筋肉の補完をし、アルギニンは元気の素になり、グルタミンは体の治癒作用を高める。この5つのアミノ酸のコンビネーションが非常に大事とされる。

商品を理解し体感してもらう

 「アミノバイタル」は、もともとは臨床の点滴薬として使われていた高純度のアミノ酸を食品にすることができないかという発想から生まれた。ところが薬事法の問題があり、広告ではアミノ酸の効能効果は標榜できない。日本代表選手に栄養指導を行うと同時に、「アミノバイタル」を実際に体感してもらうことが今回の活動のベースにあった。
 「『アミノバイタル』の特徴はリピート率が非常に高いことです。ドラッグストアのデータを見ると、ほかのサプリメントのリピート率は25から30%ぐらいですが、この商品は45%ぐらいある。効果を実感した人も8割を超えています。それゆえ、トライアル率を高めることが重要なのです」(松本氏)
 「アミノバイタル」は実際に試してもらうのが一番だということで、95年の発売当初からこれまで、ホノルルマラソン出場者を始めとする市民ランナーや中央大学水泳部のサポートなどを続けてきた。また、新聞広告などを使いサンプリングも行ってきた。今回のオリンピックに向けた広告も、企業広告として新聞広告を中心に展開した。
 「15秒や30秒のテレビCMでは、アミノバイタルの背景にある話は伝えきれない」(小川氏)、「ブランドパーソナリティーで大切にしているのは、『サイエンティフィック』『ストイック』です。まじめに、あまり他人に委ねず、自己鍛錬的というイメージと科学的に実証されたエビデンスを伝えていくことを基本に持っていたい。テレビを使って派手なキャンペーンを展開しても、私たちが意図していることは多分伝わらない。やはり、関与度の高い人たちにきちんと理解してもらいたいし、『ビクトリープロジェクト』のような普及活動が今後も中心になると思います」(松本氏)、「ビジネスマンにも、ぜひ飲んでもらいたい。疲れがたまるのはスポーツ選手だけではないですから」(小川氏)
 オリンピック本番には、このアミノ酸サポートと同時に、日本食の食材を選手村に送っている。「食とアミノ酸」の会社である味の素KKの「食」のネットワークを生かして調達したものだが、日本からの直行便がないアテネは、日本の食品が極めて手に入りにくいというのがその理由だ。また、選手村にはプロジェクトリーダーが出向き、「アミノバイタル」と一緒に、栄養相談を受けながら、直接選手に渡した。アテネオリンピック後も、日本選手の競技力向上に少しでも貢献するべく、各競技団体への栄養指導を通したサポートは続けていくという。




マーケティングの範囲が広がったオリンピック
電通 スポーツ事業局スポーツ1部主務 山本知幸氏→


ファースト・アドバンテージをどう活用するか
日本コカ・コーラ→


店舗体験とクルーを重視したオリンピック協賛
日本マクドナルド→


オリンピックの最新ニュースを車内中づりで連日速報
富士ゼロックス→


JOCオフィシャル新聞パートナー「読売新聞」の取り組み→
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