今月のデータ 2004.9/vol.7-No.6

消費者の安全・安心意識を探る
 BSE問題、年金問題、国際テロ問題など世の中の不安が高まる中、消費者の安全・安心に対する関心と情報公開を求める声が近年ますます高まっている。そこで、今回は様々な調査結果から、消費者の安全・安心意識とそれに応える企業の情報発信のあり方を探る。

図1 今の日本が安全で安心して暮らせる国だと思うか
図2 安全・安心とは思わない理由

世の中の不安が高まっている

 内閣府はこの6月に「安全・安心に関する特別世論調査」を実施した。まず、「今の日本が安全で安心して暮らせる国だと思うか」(図1)について見ると、思わない人が過半数おり、安全で安心して暮らせると思っている人を大きく上回っている。思わない人の理由を見てみると、社会問題、治安、テロ、医療や食品への信頼感低下など、近年の世相を反映した結果と言えよう(図2)
 次に消費者の安全・安心についての関心がどう変わってきたのか探ってみる。
 国民生活に関係する項目について、どの程度重要であるかを尋ねた内閣府の国民生活選好度調査を見てみよう。全60項目のうち安全・安心に関する15項目の重要度の順位は、1978年には上位から中位にかけて広範囲にちらばっていた。しかし、直近の2002年には1位〜19位の上位3分の1にすべてが収斂している(表1・図3)。このことからも、現在の国民の関心事として、「安全・安心」はますます重要なキーワードになっていることがわかる。

表1 生活の中で重要なことは何か
表1 生活の中で重要なことは何か
*表はエクセルデータでご覧になれます。

図3 安全・安心に関する項目における重要度の順位の推移

 1つの例として、食品の安全性についての調査結果を見てみよう。今年4月の読売新聞社の世論調査によると、8割近くの人が食品の安全性について不安を感じている(図4)。そして、安全性を高める対策として、「生産者やメーカーの意識の向上」に次いで、「情報公開の促進」を挙げた人が半数に上っている点が目を引く(図5)

図4 最近、食品の安全性について、不安を感じているか
図5 食品の安全性を高めるためにはどんな対策が必要か

消費者の企業評価

 安全・安心のために情報公開を求めている消費者は、企業の情報公開の現状をどうとらえているのだろうか。
 経済広報センターの「生活者の企業観に関するアンケート」調査によると(図6)、年々企業の情報公開の質や量が「不十分」(「不十分である」+「どちらかといえば不十分である」)と感じる人の割合は減ってきており、企業の情報発信の努力が目に見えるようになってきているとも言える。それでも依然として7割以上の人が「不十分」としているのは、まだまだ企業の声が消費者に十分届いているとは言えないことの表れだろう。
 公開が十分でないと思う企業情報の種類を見ると(図7)、「不良品や不祥事」「企業の社会的責任に関する方針」「財務内容」「消費者保護」「経営者の発言」「企業の理念」「経営戦略」といった企業活動の根幹にかかわる考え方や取り組みに関する情報が上位を占めている。消費者は企業の誠実な声を求めていることが読み取れる。
 では、消費者は企業の情報をどのようにして入手しているのだろうか。同調査で主な入手源を見ると(図8)、「企業のホームページ」や「会社案内などの企業の制作物」といった消費者が意識的に働きかけなければ入手できないものよりも、日常接する機会の多い「新聞」と「テレビ」の2大メディアから情報を得ている割合が圧倒的に高い。さらに、一番役に立つ企業情報の入手源を見ると(図9)、「新聞」が6割を超えて断然多く、「インターネット」「テレビ」を大きく引き離している。
 安全・安心を重視する消費者の信頼感を得るためには、日常的に接している信頼性の高いメディアを使って、誠実な声を発信し続ける努力が企業には欠かせないと言えるだろう。

図6 企業の情報公開の質や量は十分であると思うか
図7 公開が十分でないと思う企業情報  図8 企業情報の主な入手先
図9 一番役に立つ企業情報の入手源


(橋本)

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