特集 2000.05/vol.3-No.2

「家」の時代

近未来ハウスが提案するもの

家電がネットワークされる意味

「家を買う」から「建て替える」まで

家を守るから人を守るへ

 IT(情報技術)は第三次産業革命とまでいわれている。そのITをテコに、商品開発や販売方法、省エネ、省資源への対応、そして生活関連サービスの見直しといった変革がさまざまな企業で起こっている。これまではエンターテインメントや商取引の分野が先陣を切ってきたが、ここにきて変革の舞台はより生活に密着したところに移ってきた。
 90年代の規制緩和の一方で、省エネ・省資源、消費者保護の観点からのさまざまな立法措置、高齢化社会の到来など、社会構造の変化に伴う課題が、そのまま企業活動への要請にもなっている。こうした社会的要請を企業はどう乗り越え、みずからのビジネスを再構築しようとしているのか。
 今回の特集では、“家”をターゲットにした商品やサービスを提供する企業の試みを取材した。
●家電のネットワークが夢物語から現実のものとなってきた。家電のネットワーク化は、インターネットや放送など外の世界とつながることと、家電を管理できるという二つの側面を持っている。家庭内のテレビや冷蔵庫がインターネットやオンラインサービスのインターフェースになり、家に居ながらにして医療サービスが受けられる遠隔医療も可能になる。外からは携帯電話や携帯端末から、家電のコントロールができるようになる。また、家電を一台一台ではなく、全体として管理できるため、単体では限界に達してきたと言われる家電の省エネも可能にする。松下電器産業の近未来住宅ショールーム「HIIハウス」は、こうした近未来を提案する。
●さまざまな家電をネットワークするとき重要なのは規格の標準化だ。エコーネット・コンソーシアムは、省エネや高齢者対策という目的から、特にエアコンや冷蔵庫などの「白物家電」のネットワーク標準化に取り組んでいる。
●積水化学工業は住宅のネット販売を始めた。単にインターネットで家を売るというだけではなく、従来の住宅販売の枠を取り払い、販売ルートの見直し、アフターサービスなどのCS(顧客満足)、住宅のリサイクルまでを含めた戦略を打ち出している。
●ITで家を取り込んでいこうというこれらの企業に対し、綜合警備保障は人的サービスの側から家にアプローチする。警備保障会社はオンラインで家を守るホームセキュリティーを早くから手がけているが、警備というサービスに求められるものが、「システムで家を守る」という安全のニーズから、「いつでも呼べるシステム」という安心のニーズに変化しつつある。
 生活が変わるということは、世の中が根底から変わることでもある。90年代の長い不況と多くの試行錯誤を経て、企業は、来るべき時代のモノの売り方、サービスのあり方の糸口をつかまえたように見える。
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