特集 1998.5/vol.2

規制緩和時代のマーケティング ―ビッグバン本格化―
事例2 新聞のタイムリー性を生かした住宅広告 古徳真人氏

 最近の住宅メーカーに関連した規制緩和でエポックメーキングなものは三つある。一つは「地下室」。一九九五年から一定の条件の下、住宅の延べ床面積の三分の一までの地下室を容積率に算入しなくてもよくなった。残る二つはいずれも昨年からで、「準防火地域(注1)の木造三階建て共同住宅」と「ツーバイフォー(2×4)四階建て」が認められたことだ。
 「即効性があったのが地下室でした。敷地が狭い方にはあこがれの空間だから、市場を喚起したんですね。実際、当社の地下室付き住宅の受注は規制緩和の翌年度には倍増しました」と三井ホームの広告宣伝課長、古徳真人さんは言う。
 後の二つは、なお細かい規制が残っているため直接の需要増には結びついていないものの、長期的にはやはり有望だ。
 まず「準防火地域の木造三階建て共同住宅」だが、都心の賃貸住宅には容積率を生かしきれていないケースがかなりある。また、定期借家権等が導入されれば、ファミリー向け賃貸市場はさらに成長するのではないか。市場拡大をにらんで、同社では今年四月から賃貸住宅を専門に販売する部署を設けている。
三井ホーム紙面 一方、「ツーバイフォー四階建て」は、需要の高い都心部ではまだ認可されていないので、むしろ「建築の規制が材料規定(注2)から性能規定(注3)へと変わった大きな流れのなかで認可されたと理解すべきです」(古徳さん)とのことだ。同社はツーバイフォー住宅のトップメーカーであり、もともとこの住宅方式は細かいところまで規格化、標準化されている。四階建てを商品化するというよりはむしろ、ツーバイフォー住宅の性能面における優位性をアピールできる点に大きなメリットがあるという。
 新聞広告について古徳さんは、「他の広告媒体と比べて非常にタイムリー性がある。特に規制緩和関連の商品にはニュース性がある新聞広告が最適。また、住宅の専門誌と違い新聞は、読者のなかで家を買いたい人が百人に一人だとしても後の九十九人に広告で何を届けるか、ということが大きな意味を持つ。それが累積されて、やがて本当に建てようというときに当社に目が向いてくるのではないか」と力説する。実際、「地下室」、「ツーバイフォー四階建て」発売時も、新聞広告からは資料請求など読者の強い手ごたえを得たという。タイムリーな情報に読者が反応した例であろう。今後も、同社の新聞広告を使ったニュースに注目したい。

注1)準防火地域とは、大都市圏を中心とした一般住宅地域など火災の拡大を防止すべきだとして指定された地域。
注2)材料規定とは、特定の工法、材料、寸法等の仕様による建築の規制方式。
注3)性能規定とは、一定の性能さえ満たせば多様な材料、設備、構造方法を採用できる建築の規制方式



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