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広告リポートfrom America

(Tue Apr 08 10:15:00 JST 2014/2014年4・5月号 from America)

ブランディングの鍵は「ライブ」と「アメリカ」
井上 武範   ニューヨーク駐在

  コンサルティング会社、インターブランドの「ベストグローバルブランド2013」によると、世界で最も価値の高いブランドはアップルで、その価値およそ983億ドルとされる。以下グーグル、コカ・コーラ、IBMと続き、トップ10のうち8つを米国ブランドが占める。

  広い国土にたくさんの民族が集う米国でブランドを確立するのは容易でない。マスメディアもソーシャルメディアも万能ではない中、共通体験を生み出す場として注目されているのがライブイベントだ。

  中でも2月のアメリカンフットボール王座決定戦「スーパーボウル」は、生中継番組の平均視聴者数が1億人を超え、米国最強のコンテンツとして名高い。ペプシはそのハーフタイムショーの冠スポンサーに昨年から復帰した。また、翌3月に行われたアカデミー賞授賞式にも今年からスポンサーとして参加している。スーパーボウルとは桁が違えど、こちらも4千万人以上の視聴者を集める一大イベントだ。「Live For Now」のタグラインを掲げるペプシにとって、こういったイベントはLiveでありNowであり、かつ一体感を得られる打ってつけの機会だ。生で見るのが基本のため、CM飛ばしのリスクも少なく、ソーシャルメディアでの拡散も期待できる。

  一体感を求める動きは、他社の広告にも現れている。靴メーカーのニューバランスは昨年6月、新聞各紙に「アメリカで製造するのはすばらしい考えです。だから私たちは決してやめません」と題した全面広告を出し、国民の愛国心に訴えかけた。同社のスニーカーは米国製モデルが日本でも人気で、米国では販売する靴の4分の1を国内生産している。この広告はこう続ける。「企業が米国生産に回帰するニュースにこのところよく接します。75年以上それを続けてきたわが社は彼らを歓迎します。『メイドインアメリカ』はアドバンテージでもマーケティング戦略でもありません。良い製品を国内で作り、その結果経済を支え、雇用を創出する。ただ単純に良いことなのです」。こう言われては、違うスニーカーを買うのに少々後ろめたくなるかもしれない。

  クライスラーが今年のスーパーボウルの放送中に流したCMも、アメリカを前面に押し出して話題になった。伝説的ロック歌手のボブ・ディランが、「アメリカンプライドは決して輸入できない」と語り、最後に「ドイツにはビールを、スイスには時計を、アジアには携帯電話を作らせておけ。おれたちが車を作る」と結ぶ刺激的な内容だ。

  同業のキャデラック(ゼネラルモーターズ)も「アメリカのガレージ」をキーワードにしたテレビCMを放送している。数々のガレージを背景に、「ライト兄弟もアマゾンもHPもディズニーもマテルもラモーンズも、みんなアメリカのガレージから生まれた。アメリカのガレージの実力をあなたは知らない」と語りかけるもので、締めくくりにガレージからキャデラックのセダンが飛び出してくる。

  クライスラーに対しては「自社がイタリア企業(フィアット)傘下にいることを忘れている」とか、キャデラックには「ガレージ発祥の筆頭格のアップルが抜けている」との意地の悪い指摘もあるようだが、「アメ車」の価値を思い起こさせてくれたことは確か。米国民にはなおさらだろう。冒頭のブランド価値調査では両者はトップ100からもれてしまったが、今年日本や欧州勢に割って入るようなことがあるかもしれない。