ojo interview 2007.10/vol.10-No.7

帆足 英里子氏
帆足 英里子氏

 本誌連載中の「栞ちゃん」では、遊び心いっぱいに、肩の力が抜けたホッとするページをデザインしている。
 「国井(美果)さんの文章をもらうと、まずモチーフを探しに旅に出るんです。ちょっと箸休め的なリラックスゾーンになればいいなと、私の思う“ゆるさ”をぶちまけている感じですね(笑)」
 漫画家に憧れて絵ばかり描いていた子どもの頃から、人とは違うモノの見方を心がけてきた。多摩美術大学ではクリスチャン・ボルタンスキーなどの現代アートに傾倒したが、就職先としては「食いっぱぐれがない」広告の仕事を選んだ。
 「自分なりの発想や切り口を生かせると思ったんです。広告はテーマが制約された中で、人によって全然違うものが出てくるじゃないですか。そういうのもおもしろい」と、99年にライトパブリシテイ入社。資生堂マキアージュ、ユニクロ、三越などの広告で活躍する一方、個性的なブックデザインにも定評がある。初めて手がけた乙一の「GOTH」(角川書店刊)では、表紙カバーの裏面に青木ヶ原樹海に横たわる女性の死体写真をプリントし、作品の世界観を広げる意外な仕掛けで話題を呼んだ。
 「本の装丁では、私がやりたいことを突き詰めたときに面白いものができると思っていますが、広告はみんながいいと思うものを求められますよね。でも最近では、広告とはこういうものだという常識を捨てて、栞ちゃんのように自由な感覚でやれればいいのかなあとも思いますね」
 ただし、新聞広告ではオシャレやカッコ良さを追求するよりも、「正座をしながら、心して臨む感覚」があるという。
 「一生懸命読んでくれるお年寄りのために文字を読みやすくするとか、優しい心で作りますね。また、白い紙に淡々と刷られるものと違って、新聞紙だからこその質感や深みも出せると思います」
 指名の仕事も増えている若手アートディレクターは、「もっといろいろな仕事をして有名になって、いい家に住めるようになりたいですね」と屈託なく笑った。

文/横尾一弘  写真/清水徹

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