(Tue Apr 08 10:30:00 JST 2014)
読者に定着した日本医師会の小枠広告はどんなタイミングで掲載されているか
日本医師会
日本医師会は2011年4月から、朝刊1面、コラム「編集手帳」横の「突き出し」広告を週1回のペースで掲載しています。広告内容は、風しん、熱中症、花粉症など、時期によって変わります。これがどう読者に受け止められているかを、新聞記事量や記事内容の変化とともに考察します。
定期的な小枠広告掲載で、読者に定着してきている
2014年2月までの計109広告の広告接触率(「確かに見た」+「見たような気がする」)の推移が図1です。20回ごとの平均値で見てみると、掲載開始直後は55.7%で、読売新聞の調査での小枠広告全体の平均値56.1%とほぼ同レベルだったものが、直近は62.3%となっており緩やかな上昇傾向にあります。
「定期的に出しているのか日本医師会の広告を時々同じページの同じ位置で見かけ、目に付く。広告内容のタイミングがよい」(2014年1月29日、女性60代)などの自由回答に見られるように、1面の同じスペースに継続して定期掲載することで読者に定着していったと考えられます。
「ノロウイルス」記事量が増加する前は予防的注意喚起、増加後は流行中の注意喚起
4回にわたって掲載された「ノロウイルス」注意喚起広告に注目して見てみます。2013年11月27日と12月11日は「注意! 冬に多発するノロウイルス食中毒」としてこれからの季節に注意を促す内容です。年が明けて2014年2月12日、2月19日に掲載された広告は、「ノロによる食中毒が流行しています。」となり、流行のまっただ中での注意に変わります。
「ノロウイルス」というキーワードが新聞記事内に登場した回数は11月から増え始めます(図2)。この段階で最初の2つの広告が掲載されています。記事は1月がピークの200件、2月が続く98件で、盛り上がりは1〜2月でそのころに後半の2つの広告が掲載されています。
J-MONITOR定型調査の結果を見ると、広告接触率が4つすべて平均より高い60%台で安定しているほか、「役に立つ」「タイミングがよい」「話題性がある」も高スコアで推移しており、流行前もピーク時も関心が高いことがうかがえます(表1)。時期によって異なるのは「目立つ」で、記事での登場回数が増えた2月掲載分が前半2つより高いスコアとなっています。「ノロウイルスは、新聞紙上等で話題になっていますので注意しなくてはいけないなと思っています」(2月12日、男性50代)という自由回答もあるように、記事がよく出る流行のさなかで広告を見ると、異なった反応が出るのではないでしょうか。
「インフルエンザ」予防情報が記事のときは予防接種、流行期に入ると乾燥注意
次に、「インフルエンザ」関連の2つの広告に注目します。11月20日にインフルエンザ予防接種を勧める広告、1月29日には、流行期入りしたので乾燥に注意するよう促す広告が掲載されました。この掲載タイミングを記事見出しとともに見てみると、11月〜12月上旬は予防に関する情報がメーンであり、1回目の広告はこの最中に掲載されていたことがわかります(表2)。12月末になると流行期入りを知らせる記事が出てきて、その後は各地で患者数の増加や流行の広がりを伝える記事が続々掲載されています。2回目の広告は、流行期入りを経て各地で患者数が増加していくタイミングに掲載されたことがわかります。
J-MONITOR定型調査の結果では、広告興味度、「タイミングがよい」は2回とも平均より高く、「予防接種」と「流行期注意」というその時々の話題に合った広告メッセージが、しっかり読者に受け止められたことがわかります(表3)。広告接触率は、2回目の「流行期注意」の方がやや高くなりました。
多くの人の共通関心事についての広告は、反響データが時期を問わず高くなりますが、世相の影響を受ける読者マインドは常に一定ではありません。今回は記事での露出量や内容の推移から、そのときどきの読者マインドを推測し、広告反響とあわせみることを試みました。