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Pick up 定型調査

(Thu Mar 21 12:00:00 JST 2013)

一年に一度のタイミングでメッセージ性の高い広告を掲載した河合塾
河合塾

多くの受験生が命運をかけて挑む大学入試センター試験。新聞では翌日の朝刊に問題と正解が掲載されます。今年は1月19日と20日に行われ、21日付朝刊で5ページにわたった問題・正解の次の面に、「河合塾」の全15段モノクロ広告が掲載されました。「自分の夢まで、自己採点しないでください。」というコピーを中心に、センター試験を終えた受験生に向けたメッセージを簡潔に載せたこの広告について、読者の反応を紹介します。

河合塾

1月21日 朝刊

絶好のタイミング、シンプルさで目立つ

  広告接触率(広告を「確かに見た」+「見たような気がする」人の割合)は79.1%で、これは予測値を15ポイント以上、同条件でカラーだった場合の予測値も上回る高い数値です(図1)。自由回答の「シンプルでおもしろい。シンプルで逆に目立つ」(男性50代)といった意見にある通り、文字以外の要素を排したデザインにより高い注目を得たことがわかります。

図1 広告閲覧状況

  広告評価では、興味度と好感度が平均を10ポイント以上上回る高いスコアを獲得しています(表1)。「とてもほっとする理解しやすい広告だ。河合塾に興味をもった。ごちゃごちゃ宣伝しないのが逆によい」(女性40代)という意見が表すように、好感に加え、河合塾への興味も生まれています。

表1 広告評価

  広告の印象で高スコアだった項目からは、この広告は「タイミングがよい」(平均+25.5ポイント)、「目立つ」「センスがよい」(ともに+19.2ポイント)と受け止められたことがわかります(表2)。特に「タイミングがよい」は平均の3倍以上のスコアで、一年に一度しかないセンター試験二日目の正解の対向面での掲載は読者に強い印象を残しました。自由回答でも、「タイミングと掲載場所がすごく良いと思う。すごくシンプルな広告だと思うが、シンプルなだけに余計目につく良い広告だと思う」(男性40代)などの意見が寄せられました。

表2 広告の印象

自分たち向けだと感じた若年層、説得力を感じた親の年代層

  次に、広告の印象の主な項目を年代別に見てみます(表3)。15歳からが含まれる「29歳以下」は、今まさに大学受験生であったり、大学入試がまだ比較的最近の経験として残っていたりする人に当たり、河合塾のターゲットに最も近い年代層と言えます。この年代が最も高いのは「自分たち向けの」や「役に立つ」で、広告のメッセージを“自分ごと”として受け止めている傾向が伺えます。

表3 広告の印象(年代別)

  一方、「説得力がある」が最も高いのは50代、「よい広告を出していると思う」が最も高いのは60代です。29歳以下は自分ごととして捉えていたのに対し、これらの年代は親世代の目線から受験生に対するエールを好意的に受け止めたのでしょう。二つの世代でそれぞれの反応が見られる、というのは読者層の広い新聞ならではと言えそうです。

人生のエールでもある

  ただ、それに収まらない共感の声も寄せられています。「『自分の夢まで、自己採点しないでください。』このコピーに『ドキッ』としました。受験生向けのものだと思いますが 受験生だけでなく誰にでも通じる言葉だと思います」(女性60代)、「受験生だけでなく人生の中でつまずいてしまうことは必ずあるから、多くの人が見て心にとどめて夢にむかっていけるといいと思う」(女性40代)。人生のエールとしても捉えられたこの広告は、河合塾の企業広告という枠に収まりきらないスケールを持っていたということになります。

(岩野琢也)